第6章 故郷バスティアへ No.2
「………」
「………」
「………」
ガルシア、ベル、ローランドの3人が家の前で棒立ちになっていた。
「………」
「………この家?」
「……さぁ?」
ベルはガルシアの問いに首を傾げた。
【「……さぁ?」じゃ、ねーだろが!】と思ったが口には出さなかった。なぜなら、目的の家かどうか疑いは晴れなかったのだ。
しかし地図によれば、この家に間違いないんだよなぁ…他に家らしいものはないし…。
ガルシアは「キョロキョロ」見渡す。家らしいものは発見出来なかった。しかし、このオンボロだし…隣を併用して牛を飼っているし、しかも臭いし、まるで典型なダメ宿舎しか見えない。いっそうのこと逃げ出そうかなぁ…。
ガルシアは一瞬、考えだが「ものの試しだ!」と思って家に向かいドアを開けた。
「ギィ…」
まるでオンボロのように軋む音がする。
中には薄暗い空間で、何とも言えない不気味な雰囲気を出していた。
「お邪魔しまーす…」
「ギィ、ギィ」と軋む音がする。
「誰にもいない…」そう感じたガルシアは、ビビリながらも勇気を持って声を出す。
「誰もいないですかぁ?…居なかったら、帰りますよぉ…」
何とも情け無い…けれど仕方ないのだ。こんなオンボロで、こんな恐怖しか見えない雰囲気の所を好き好んで行くはずがない!
早いとこ退散しよう!
そう思ったガルシアは180度回転して入り口に向かおうとした。
「あの、帰りが遅いので向かおうとしたのですが…」
ガルシアはその声にビックリして、無意識に剣を振り下ろす。
「ドカッ」
ガルシアもビックリして汗びっしょりだが、男も違う意味で汗びっしょりだ。
「違うっス!違うっス!早まらないで下さい!
ロザンっス!覚えてないですか?」
ロザンは焦りながらも速い口調で弁明した。
「ゴメン!ゴメン!ビックリするもんだから、ビックリして◯ろしちゃうとこだったよ(笑)」
ガルシアは笑いながら軽く言ったのだが、当本人は「冗談じゃない!」という気持ちで真剣な顔をした。
「ゴホン!改めてましてロザンです。まぁ、ロザンなんて知らないと思うかもしれませんが、案内役をします。付いていて下さい」
ロザンは皮肉まじり言った。
「もぉ、ゴメンって…ロザンちゃん」
ロザンは無言でガルシア一同の先を歩いていた。たくっ冗談が通じないヤツ!
普通の一軒家はそんなに広くなく、すぐに立ち止まってしまった。
「ここです」
「………」
「……で?」
ロザンは当たり前のような顔でガルシアの方に向いた。
「壁です」
ムカッ
ガルシアは無意識に剣を手にかける。
「冗談!冗談ですって!次は本物を出します!」
ガルシアはかなりイラつたのだが「ここで怒ってはいかん!」と思い、グッと我慢した。
俺、ロザンに舐められてる?
次に移動する。ガルシアは「次に冗談言ったら◯そう」と決意して、剣を握りしめていた。
「このです」
「………」
ガルシアは無言で剣を握りしめる。
「まて!まて!冗談じゃないですって、ここで待って下さい!」
ロザンは焦った口調で、カーテンを引っ張った。すると「ゴゴゴ…」と共に壁が開いていた。
「なんじゃこりゃ!!」
ガルシアはよく見ると階段の通路があった。
「隠し部屋です。そのまま歩いて下さい」
ガルシアは一瞬「あまり、出会ったことないのに大丈夫か?」と不安に思ったが、ベルの母親なら大丈夫だろう。
と思い、階段を下った。
どれぐらい階段を降りただろう。やがて、階段を終える。そして、大きなドアが出てきた。
「冗談じゃないだろうなぁ」
ガルシアはベルの母親のことなら知っているが、まだロザンのことは信用にならない。
「マジです。本気と呼んでマジです!さぁ、目的の部屋はすぐそこです。行って下さい!」
ガルシアは一瞬「イラッ」としたが、良くなるためには我慢だと思い「グッ」と堪えた。
そして、大きなドアが開く。中にはこの世とは思えない新品の家具、広々とした広さがあった。
ガルシアは驚きで「ボーッ」としていると、何やらロザンの動きが怪しい。
ロザンのことを注意深く観察する。
「もういいっすね!」
と言った瞬間に顔を剥がす。
「お、お前は!」