第6章 故郷バスティアへ No.1
ー首都バスティア
大陸東部に位置する、バスティアは大陸随一と呼ばれる大都市である。
バスティアは家々が軒並み、まるで地平線のようなもので、まさに「圧巻」というイメージが良く似合っていた。そして交通網も盛んで、世界一と呼ばれるハブ都市である。
しかし「光ある所に陰があり」というように、陰が確実に存在し、治安の悪化が年々酷くなっていた。
しかも、治安悪化という名目で軍隊の増大が目に見えていた。
そんなバスティアを3人の男性が見つめていた。ガルシア、ベル、ローランドである。
その2人はバスティアの外から眺めていて、この町の壮大さに感動していた。
「やっぱり、バスティアだなぁ…」
「あぁ」
ガルシアとベルは感度し、その場所で立ち尽くす。
「お二人とも指名手配っしょ?バカなの?オツム大丈夫っすか?」
ピクッ
「なんて、呑気なんだろうか?」
ローランドは鼻の穴を「ホジホジ」しながら、呑気な声で言ってくる。
コイツ、◯ろしたろうか…?
「うるさいわい!」
ガルシアは思わず声を荒げてしまった。ストレスになるのも、そこに原因があった。
それは毒舌を吐くローランドである!
最初は遠慮したものの、すぐに化の皮が剥がれてしまった。
事あるごとに毒舌の連発で周りを苛つかせてしまっていたのだ。
だが、頭の回転が良いのか、怒りと沸点の手前で止めてしまう…そして、ドンドン、フラストレーションが溜まる一方である。
「見てろよ…」ガルシアはそう誓った。
「あの…もしかして、ベル様ですか?」
その声が聞こえて振り返る。その男は初老ではあるが、中太りでどこにでも居そうな顔立ちをしている。ハッキリ言って目立たない姿でこちらを見ていた。
「あぁ、俺はベルだが、あんたこそ誰だ?」
ベルは白い目でその男を見ている。
どう見ても怪しい…絶対何かがあるぞ!油断をしようもんなら取り返しがつかないからな。
「申し遅れました。私は「ロザン」と申します。副頭領から伝達を聞いていました。副頭領からよると「行く準備が必要になるので、必要最低限は用意するように」とのことなので、何でもお申し付けて下さい」
ガルシアとベルは副頭領と聞いて「ビクッ」とした。
隣国とはいえ、ここまでするとは…やっぱりスパイは恐い!この隣国の恐ろしさを改めて知った…まぁ、ベルは違う意味で「ビクッ」としたのだが…。
「とはいえ、こう言ってもアレなんですが…スパイの関係上、町の中を一緒に行動することは出来ません。なので、今から言うことを聞いて下さい。まずは…」
ガルシアはロザンと呼ばれる男のいうことを真面目に聞いた。その話によると今から行くのが「ルク」という町で町の端にある宿屋が隠れみのになるらしい。
ガルシアはロザンの説明を一言一句逃さないように真剣に聞いていたのだが、一方でベルを見ていると鼻を反対方向を見ながら鼻の穴を「ホジホジ」していた…。
ガルシアはロザンの説明を終えると白い目で、ベルに向かって言い放った。
「じゃあ、一から説明してみい?」
ベルは「えっ」という顔をした。
そりゃ、そうだ。ベルはガルシアが「しっかり説明してくれるだろう…」と思っているから聞いていない…段々、腹が立った!ガルシアは声を荒げる。
「お前、舐めてるの?そりゃ、お前には直接関係ないかもしれん。けれど、ドラコの立場にたってみい?立場ならそんなことできんはずだ!」
ベルはしゅんとした。
ガルシアは何だか、いたたまらない気持ちになり、反省の弁を口にした。
「まぁ何だ…悪かったなぁ。こちらこそゴメン。過ぎたことは仕方ないよ。今から挽回すれば良いし…」
それを聞いたベルは一瞬で明るくなり、スキップしながら歩き始めた。
もうやめようかなぁ…?