第1章 はじまり No.2
「やっとか…」
俺、ガルシアは首都バスティアとマスティア共和国を行ったり、来たりと3往復。正直、諦めかけてマスティア共和国に帰ろうかと思ったが、旅人に「マスティアは、暴動なっているから危険だよ!今は行かない方が無難だね」と言われて、渋々行けなかった。親しい地に帰ろうと思えば暴動。なんで、ついていないんだ…
つくづく、運に見放されような感じがした。
けれど、暗闇の中にも光が差したように運が向いてきた!閉店した、あの店主が首都バスティアにお店を構えるそうだ!
その情報を聞きつけ、急いで首都バスティアに向かった。そして、とうとう、首都バスティアに着いたのだ。
ローマノ王国の首都バスティアは、広大で活気がある。凄い賑わいだ。けれど、広大しすぎて店舗の数も多すぎる…調べ直しても、数日はかかるだろう。仕方がない。根気よく話していこう。
決心を決めた。ガルシアは一人一人話して回った。
そっけない態度で「知らないよ」と言うもの、喧嘩越しで言うもの、「ゴメン!知らないな」と断りを言って、交渉してくるもの…色々である。
ガルシアは心が折れ、本気で旅に出ようとした矢先、今は懐かし(?)のベルとの再開になったのだ。
ガルシアは聞き込みを終え、失意のどん底にいる中、夕食をとっていた。そして、夕食を終え帰ろうとした時、聞き慣れない声が聞こえてきた。
「ガルシア…ガルシアじゃね?」
「…あ、あ、そうだよ」
どこかで見たことがある。遠い昔の記憶を探ってみる。「ダメだ。思い出せない」頭の回転が早くなる。
「やっぱり、ガルシアか!!俺だよ。ベルだよ!」
「ベル…?」まだ思い出せない。けど、見たことがある。何となくの面影が…あっベルだ!
「ベルか!久しぶりだな!」
この男の名は「ベル・アンダーソン」昔からの幼なじみで大親友だ。昔から仲が良かったが、ある日突然居なくなってしまった…色々探してみたが見つからない。ベルが居なくなったのは村の七不思議の一つとして語り継がれている。
「で、どこに行っていたんだよ」
「まぁ、まぁ、色々あるんだよ!」
ベルはガルシアの肩を腕組みをして笑いかけた。
「久々の再会だ!これから飲もうぜ!」
ガルシアは、それを聞いて大事なことを思い出した。それはこの目的であるカレー屋を見つけて、食べることである。いくら十数年の親友と出会っても帰ることが出来ない。不動の優先順位第一位だ。
「ゴメンな…すぐには行かれないのよ」
「エッ!?なんでだよ!?」
ベルは驚いて聞いた。
「いや〜カレー屋なんだけど…そこら辺で通用するレベルじゃないんだ!その店主、カレーに命かけててさ。半端じゃないんだせ。それが遂に、このバスティアに出すと耳にして飛んできたんだよ!」
ガルシアは喋りながら段々と興奮した。
だって、あのカレー屋のお店だぜ!まずいはずはない!
「そのカレー屋。知ってるぜ」
ガルシアはベルの言葉を聞き、目をバキバキ開いて、こちらに向いた。まるで、ホラー映画のようだ…
「それ本当か?」
「お、おう…間違いねーぜ…って、その顔どうにかならんか?怖いわ…」
ベルは引いてしまった。ガルシアは「ゴメン!ゴメン!」と言って、慌てて顔を作り直す。完成!【百万ドルの笑顔】
「いやいや、一瞬で作り直す方が怖いわ」とベルは心の底から思った。
「まぁ、いいわ。ガルシアは探すのに困っている、俺はその場所を知っている…取引しよう」
「うーん」と考えるとベルは肩に腕を組みながら、ニヤニヤして
「あそこの場所は繁盛しないためにも分からんとこにあるからなぁ…ただし、条件がある。その条件を飲めば、すぐに教える。さぁ、どうする?」
「ぐぬぬ…」とガルシアは苦虫を噛み潰したように「分かった」と答えた。
「OK!取引は成立!今晩、付き合ってもらうぜ。それが条件だ。さぁ、今から飲もう!」
二人は腕を組みながら夜の町に消えていった…