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ガルシア戦記  作者: 千山一
第1巻 バスティアの魔族
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第5章修行開始 No.5

「はぁ、はぁ…」

山を登り始めて数時間。さすが体力自慢のベルも黙って黙々と歩く。そして、ソラもフラフラになりながらも必死でついていく。


「もうすぐじゃ。この道を登り切り、降りられたら町に出る。そこが今日のゴールじゃ!」


バッツは、なんとか励ましながらも声を掛けている。


「もうすぐって…あと、どれくらいなんだよ」


ベルの声も段々小さくなっていく。ベルは旅に出ており、体力には自信があったが、この山には心が折れそうになってしまった。


「うーん…あと、10時間?」


バッツは、チャーミングな笑顔で答えた。そして、それを聞いたソラは「ガクッ」と膝が折れしまった。どこが「もうすぐ」なんだよ!まだまだ、じゃねーか!!


ガルシアも殺意を感じたが、体力が無くなってしまったため、黙って黙々と歩いた。しかし、ツッコミを入れたいのがもう一人いた。


「まだまだ、じゃねーか!」


それがベルである。ベルは、ない体力から絞り出してツッコミを入れた。


「だから、励まそうと思ってボケたんじゃ!」

「そんなんいらんわ!」


バッツとベルは、言い争いをしている。

そんな要らないって…ガルシアは「ふとッ」サラに向けた。いやいや…黙っていたが、サラは殺意さえ感じるぞ…。


「待て!待て!ここで、ここで言い争いをしても仕方ない。ここには休憩スポットがある。ここで言い争いをすればいい!」


バッツとベルの言い争いは「ピタッ」と止まった。そして、身なりを整えて無言のまま歩いていた。

まぁ、疲れているのも分かるが、イライラするのがいただけないなぁ…。

けど、ベルはこんなにキツいのに「やめた!」と言わないのは何故なのか?それとも、サラが怖いのか?改めて、サラの恐ろしさを知った…。ふと、ベルの様子を見る。ベルはソラの荷物を肩代わりにしたのだ。

「おっ!」と思って、心が暖かくなるのを感じた。


ー数時間


ようやく、大きい広場が出てきたのでガルシア達のメンバーは休憩に入った。

さすがに、言い争いをする元気がない。

休憩に入ると、今日の予定地の計画を話を始めた。


「まず、ここが最大の難所じゃ。日が昇る前に町に順調に行けば安泰じゃ。だが、もし途中で野宿する、大幅に遅れることになった場合、徹夜決定じゃ!いいか、ここが踏ん張りどきじゃぞ!」


バッツは真剣な目で語っていた。

凄く真剣だから分かるけど、どうも、フラグぽいよなぁ…?

しかし、その時が突然現れた。ケルペロスの襲来である。

本来、ケルペロスはカンタンに蹴散らせて行くのだが、なんせ、山の途中で体力も残っていない。しかも、二匹である。


「一人で仕留める。もう一人には、三人でどうにかするんじゃ!」


バッツは剣を構えた。ケルペロスはビビったのか、たじろぐ。

一方、ガルシアの方のケルペロスは、ベルと交戦中だ。


キン!


ケルペロスの首を跳ねようと思ったが、ケルペロスの歯が上手いこと挟まり身動きが取れない。


「クソ!思ったより、動かねーな!」


バッツも二人を見守っている。と、その時、バッツと対戦しているケルペロスが、突然ソラの方に突進してしまったのだ!


「しまった!」


一瞬、バッツの動きが止まった。ケルペロスはバッツは、剣を握りしめ振り下ろすが、あと一歩の所で間に合わない。

だが、さすがソラである。

ケルペロスの急所を定めて貫いた。ケルペロスは断末魔に似た鳴き声で消えてしまった。しかし、女性なのか、勢いあまってバランスを崩し、崖から落っこちてしまった。


「あっ!!」


ガルシアは無意識に叫んでしまった。そして、

その束の間、ソラを救出しようとベルが飛び降りる。ガルシアは慌てて、崖の方へ走ってしまった。

そこには、信じられない光景があったのだ。

それはソラが蔓に捕まって、それを見ながらベルが落ちてしまっているのだ…。


「アーーーー………ドボンッ」


ベルは川がクッションになったおかげで、どうに助かったみたいだ。


「………」


ソラは上を向いて、ガルシアに「どうしよう…」と訴えてかけている。


まぁ、ベルは監視役たちが回収するとして、どうにかソラを助け出し、計画通り行こうと思った矢先「パッ」と手を離し「ドボンッ」と水飛沫を上げたのだ。


「落ちるんかい!」


ガルシアの空しいツッコミは、大きな声とともに響き渡っていた。

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