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ガルシア戦記  作者: 千山一
第1巻 バスティアの魔族
16/199

第5章修行開始 No.4

「あっ、それとって」

「はーい」


ベルとソラは一緒になって作業している。

ガルシアは「おっ」と思わせる場面に遭遇した。それはベルとソラの「二人」が一緒になって作業しているからである。

ガルシアにとって、まさに親みたいな感じがして涙を堪えるのが必死だった。

…まぁ、親ではないけど。

二人の仲を邪魔してはいけないと思い、少し遠ざける。微笑ましい光景だ!

しかし、この微笑ましい光景をぶち壊す人物が現れた。

その人物の名は「バッツ」である。


「おっ!おふたりさん、仲が良いのう!ヒュー!ヒュー!」


バッツは二人の仲を切り裂いていく。その二人はお互い顔を赤く染め、お互いの距離が遠ざかった。

正直、殺意が湧いたが、これ以上、雰囲気が悪くならないようにグッと堪える。


「ん?なんじゃ?つまらんのう」


頼むから喋らんでくれ!心の底から叫んでいたが、初日からすれば少しずつだが、進歩しているようである。

4人のパーティーは食事を終え、今日終える段取りを話し始めた。


「今日で4日目、ちょっと無理して長い距離歩くぞ!」

「えーー!!」


ベルは明らかに不満そうな顔である。


「ほう、あの副頭領に同じことが言えるかのう?」

「う…」


ベルは声を詰まらせた。

お母さんが怖い!怖い!というが本当に怖いかなぁ…?ちょっと、怖い部分があるかもしれないが、昔のイメージのことを思うと想像がつかない。

ちょっと興味があるなぁ…。


「じゃあ、決まりじゃな!早速、出発するぞ!」


ガルシアのグループは準備をして歩き始めた。そして、ソラはベルに対して振り向いた。


「こうなるが分かったんだから、余計なことしなくていいのに…」

「うるせー!」


ガルシアはベルに対して長年の疑問をぶつけてみた。


「昔から、お母さんが怖い!怖い!と言っているが、そんなに怖いの?」

「ああ、怖い!」


ベルは思い出すだけでブルブル震える。


「そりゃ、怖いよ!怖いってもんじゃない!始めは反発もあったけど一瞬で収まったわ…。噂じゃ、反乱する人々を次々に葬り去ったとか…」


ベルは真剣に応えた。

あっ、マジだね…。


ガルシアは江上国のことを振り返る。

もともと、江上国は反乱が起き、ドロ沼の関係であったが、そこに光の矢が刺した。

バッツではある。バッツは次々と敵を倒し、江上国を統一した!

だが、バッツは統一したが、江上国のシステムは不安定で、いつ江上国がバラバラになるか、不透明であった。

ここで、絶大な力を発揮したのが、当時、副頭領であった「リナ・アンダーソン」である。つまり、ベルのお婆さんだ。

リナは、慌てふためくバッツを見て「ここで、やらなかったら、誰がやるの!」という奮い立たせて、バッツがトップとして陰で支えて、システムの構築に全身全霊、捧げた。

そして、江上国のシステムが安定し、息子が育ち、奥さんも満足いく人が現れて「もう満足。そろそろ引退しようかなぁ?」と思っていた矢先、大きなことが起きてしまった。

それは、江上国の陰の番長である「リナ・アンダーソン」が亡くなったのである!

副頭領が突然、居なくなった。

それは、凄く衝撃的で「もうこの江上国はダメになるのでないか?」と国民の不安が殆どであった。

しかし、それを見越して次の世代に託した。それは、初代バッツの引退。そして、2代目就任である。

リナはサラのことを高く評価しており、もしもの時、サラがトップになったら、この江上国は安泰だと感じた。そして、修行時代、ありとあらゆる帝王学を学ばせるのであった。

ここで大きな誤算が生じた。サラのトップ就任ではなく、副頭領就任であった。

つまり、夫がトップに座り、影で支える。この事を知っている人は皆、驚いたのである。

そして国民が悲しみ、不安に苛まれいる所を2代目の就任する。

しかも、絶対的なシステムで絶対的な指導者が現れる。この亡くなったストーリーは見事しか言いようがないのだ。

で、この張本人であるベルがここにいる。

たしか、ベルの弟がいたはずだが、ベルの弟が継ぐべきなのに、どうして江上国のトップ、ベルが継がないといけないのか?

凄く疑問が残る。

…まぁ、本人に会えるんだし、その時に聞こう。

ガルシアは山道を歩いていた。

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