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ガルシア戦記  作者: 千山一
第1巻 バスティアの魔族
14/199

第5章修行開始 No.2

チュンチュン


「ふぁ〜」


日が明け始めの頃、ガルシアとベルは集合場所を目的として歩いていた。旅立つにしてもまだ早い。目を擦りながら欠伸をしていた。


「ふぁ〜」


これで何度目だろうか。最初は数えていたのだが、途中からアホらしくなって数えていない。こんな、朝早くに旅立つなんて…殺意が湧く。

ブツブツ言いながら、隣を歩いてるベルの様子を見る。

ベルは半分寝ながら歩いていた。

「ムカッ」

ガルシアは反射的に頭を叩く。

「パンッ」

気持ちいい響きだ!ガルシアの手の平はジンシンして心地よかった。


「イッテーな!!なにすんじゃ!コラー!!!」


ベルは怒りを露わにしながら、胸ぐらを掴んだ。ガルシアは無表情で言い放った。


「ゴメン。眠たそうだったから頭を叩いた…けど、なんでこうなったんかなぁ?…こんなに朝早くに準備しなくちゃいけなかったのになぁ…」


ベルは固まってしまった。

そりゃ、そうだよ!せっかく、決まっていたのに、ベルが駄々こねて「朝早い!」だの「もっと遅くしろ!」だのブツブツ言うから、バッツがキレてしまって1時間早く、集合場所になってしまったんだよ!


「昨日は悪かったよ…」

「別にいいよ」

「だって、バッツが、あんな事をいうから、売り言葉に買い言葉になってしまったんだよ…」

「もう、いいって!」


段々、腹が立ってきた!

ベルのせいで不幸になってしまうんだよ!その時、昨日のことがよぎりながら、ロイドから言われてた「ベルのこと嫌いにならないでね」という言葉を思い出す。

まぁ、なんだかんだいっても嫌いになれないよなぁ…。

そんな時、集合場所近くにある女性が立っていた。

女性は、身長は170センチ、茶髪で長い髪なのか、後ろ髪を束ねていた。

その女性は気づいたらのか、歩いてこっちに向かってくる。


「出発する方ですよね?はじめまして【ソラ・ルーレンス】と言います。宜しくお願いします」

「お、お…こちらこそ、はじめまして」


その女性は「ソラ・ルーレンス」。

初対面のソラは美形で笑顔が素敵な方だ。ふいをつかれたのかドキドキしていた。

…もしかして、恋のよ・か・ん?


「チェンジで」

「おい!」


ソラは、ベルに思いきっりツッコミを入れる。…なんだか危険な匂いがするなぁ…。


「私が、ちょっと美形だからと言って、そんなことないんじゃない?」

「だって、独占先行だし、性格悪いし…」


ドカッ、ガラガラ!


門の壁が崩れる。


「えっ、今なんて?」

「何もないです…」


ベルはその一言だけで無言になる。やっぱ、撤回!!危険な匂いがする!


「ところで、ガルシアさんでしたっけ?急に予定が早まる事になって急いできたんですけど、何かありましたの?」

「いや…それが…」


事の顛末を話した。始めはニコニコ聞いていたが、終わる頃には顔面が赤くなり、湯気が飛び出てくるんじゃないか?ぐらい赤くなっていた。


「ベル?」


「この世に居たんだ」と思えるくらい、ソラの表情は鬼の形相になっていた。


「は、はい…」

「そこに正座しなさい!!」


約1時ぐらい、ソラはベルに対して説教していた。1時間だぞ!!離れる訳もいかず、ジッと無言で立つ苦しみ!分かるか!


説教が終盤に差し掛かった頃、バッツが現れた。


「そろそろ、説教は終わったかの?」

「もう、お義爺さんもお義爺さんです!こうなったらお義爺さんも座りなさい!」


バッツはしぶしぶ正座した。ん?今、お義爺さんって言ったよな?

これは文化の違いか?


「あの…バッツのことをお爺さんって、言いましたよね?」

「えっ?言ってませんでしたっけ?正式にベルの婚約者になりましたの」

「え?えーーー!!」


ガルシアは目を開いてビックリした。パッとベルの方を見るとベルは白目を向いている…。

本当に知らなかったんだ…そりゃそうだ、世間では、親が夫婦の縁を決めることは無くなってしまっているが、天下の副統領のサラさんだ!黙って無理やり繋げるに違いない!しかも、一生離婚なしの条件で!


「ソラはいいの?」


ガルシアは恐る恐る聞く。しかし、ソラはあっけらかんとして質問に答える。


「いや、全然。むしろ、光栄ですわ。憧れのサラ様の側に居られるなんて…」


あっ…ダメだ。こちらもサラ教徒の人だ。サラ教徒とはアメと鞭を使い分けながら、人のコントロールしていく。本来なら、その犠牲になっていないが、ごく稀に熱狂的な生徒がいる。それがサラ教なのだ。本人はそのつもりもないのだが…勢力は拡大していた。


「まだまだ、怒りが収まりませんわ!正座しなさい!」


まだ、続くのか…?辛い公開説教は続く。

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