第4章故郷No.5
ガルシアは長い廊下を歩いている。バッツは、英雄かつ町長だからといって無駄に広い。どんだけ広いんだよ!年のことを考えてくれ!
やがて、トイレの場所に着く。
お金持ちであってトイレは無駄に広く、学校のトイレのような場所だった。
ガルシアは「フーッ」と一呼吸を置く。
「もういいっすよ」
その声を聞いたのか、天井から姿を現す。その男は身長は、やや高めで細身の格好をしている。見た目は中年なのだが、若者の姿にしか見えない。クッソー!見た目は俺と変わらないじゃないか!
「ロイド・アンダーソンさんですよね?」
「ああ、そうだ。うちの息子がお世話になってるみたいだな!本当にありがとう!」
ロイドは「キリッ」と姿が一変、両手で握手をして笑顔になった。
「いえいえ、こちこそっすよ!…ところで、その情報どこで調べたんっすか?もしかして、最初からバレてたんっすか?」
ガルシアは嫌な予感がした。ベルのことだ。まさか、そんなことはないだろう…けど、もしかして…
「うん。バレているよ」
「やっぱり〜!!!」と心の中で叫んだ。うん!墓場まで持って行こう!と心に誓った。
「最初から知ってたけどね。まぁ、どれぐらい把握しているのか分からないけど…まぁ、妻には筒抜けだろうね」
「………」
ガルシアは凄く焦る。マズイ!マズイぞ!ベルのママに知られているってことは何処まで知っているんだ!最初の方の一人の時は他の人には言えない犯罪だけど、二人で組むようになって(不本意だが)犯罪はしていないよな。よし!探りを入れるぞ。
「あの、知っているっていましたけど、どのぐらい知っているんっすかね…例えば、一人で旅をしていたとか…」
「ん?そりゃ、知らんわ。ベルが逃亡して二人になったぐらいかな?」
セーフ!セーーフ!!良かった〜!このことは墓場まで持って行くわ!本当に良かった〜!!
ガルシアは自分の危機を回避し、安心したのか、他人のことが気になる。
ん?てことは…
ガルシアの脳裏に「ふとッ」浮かんだ。
「もしかして、バッツ…もとい、お父様はこのことを知っているっすか?」
もしかして、バッツがこのことを知っているとしたら、ほんと無駄足なんじゃ…
「いやいや、知らないよ!…けど、他のスタッフは知っているけどな」
「えっ!知っているんっすか!?」
ガルシアは他のスタッフは知っているんだ…という安堵と驚きで声高くしてしまった。
「しっ!見つかるだろ!…いろいろあんだよ!」
「いろいろって、なんすっか?」
ガルシアは「ジーッ」とロイドの方に向けた。ベルもベルだが、オヤジもオヤジだ!本当に親に似ている…もう騙されんぞ!追求するまで、足掻いてやる!
「昔はいろいろというワードで深く考えなかったが、今はそうはいかないっす!さぁ、事細かく追求してくれっす!」
「いろいろだよ!」
「だから、何がいろいろっすか!?」
「ったく、しょうがねーな…わーたよ!まぁ、いいか…そろそろ出て行かないといけないと思ったしな。説明するよ!脱走して、この家に住んだ時…」
この話はこうだ。
ロイドが脱走し始めた頃、ロイドは誰にも分からないように食料を盗んでいた。しかし、秘書長が家の物が無くなるのがおかしいと感じ、調べてそのことが発覚した。
もう、逃げようとかなぁと考えた矢先、秘書長が見つけ、交渉したいと言った。ロイドは「どうしょうかなぁ?けど、一様、応じてダメだったら逃げればいい」と感じて交渉したが、それが思いのほか好条件でこの家に留まることにした。この好条件は次の通りである。
1、ロイドには空気になってもらう(いわゆる、無視みたいな感じ)ただし、バッツが発覚した場合は、条件が無効になりロイドは見えるようになる。
2、ロイドは食料、金など、あらゆる家の全て盗むことを禁止する。ただし、祭典を設けているので食事は無料で提供される。
「だいたい分かったっす。要はお父様には全てなかったことにしろってことですよね」
「その通り!ベルのこと宜しくね。あっそうそう、もしかしたら、旅に出るかもしれないけど、ベルのこと嫌いにならないでね」
「…決定事項じゃないっすか?それ」
すんげー嫌な予感がしてきた。強制的に旅に出ないといけないのか…?それだけは嫌だ!ましてや、みんなが恐れる副頭領のことだ。慎重に行かなければ…。
「ははは、もしも時だよ。もしもだよ」
「本当っすか?嫌な予感がするなぁ…もう、そろそろ帰らないと…今度、ベルも交えてゆっくり聞かせて下さい」
「おう、今度な」
誰も知らない。急展開になることを…。