第4章 移民王の誕生No.2
俺は前王から使っていない町の広場にやってきた。町の広場は町に囲まれており、100mの大きさになる。
しかも新しい王が誕生すると言うことで珍しさと“誰がやっても同じでしょう…”との感情が入り混じって異様な雰囲気になった。
ザワザワ…ピューピュー…
「この短時間でよく集まりましたね。立派だと思います」
ラウルは窓越しに町の広場を見上げた。
ラウルの見つめていた町の広場は大勢の群衆が“いまか!いまか!”と興奮して待ち望んでいた。
「しかし、この肝心な時に新しい王様ときたら……」
ラウルは怒りを通り越して、ため息まじりでソファーに向けた。そこには“ボケーッ”と寝転がるガルシアの姿がそこにはあった。
「…ガルシア王。ちょっと来なさい」
ラウルは手招きして窓の方に行った。俺も“面倒くさいなぁ…”と思いつつ、黙ってゆっくり歩いていた。
「どうです?市民が集まっているのですよ。しかも、この新王の声明と共に………」
ラウルは淡々と喋ってはいるが、どこかで気持ちが高揚したのか無意識にうわずっていた。
「ふん…まるで虫ケラのようだ」
「………アナタ、◯しますよ」
「冗談!冗談!ラウルちゃん!すぐに怒るんだから///」
ラウルは一瞬、殺意のような感じはしたが、俺は“ヤバイ”と思い、すぐ土下座と謝罪をした。
ーー……なぁ、無様じゃね?
俺の心の中ではデーヤンが“やかましいわ!”と心の中で叫ぶ。
俺には長年得意な技術がある。それは誰にも悟られずに過ごすことが出来るのだ。
「まぁ………いいでしょう。さぁ、ガルシア王様、そろそろお時間です」
ラウルは気持ちを切り替えて前に下がり、お辞儀をした。俺も“うむ”と会釈をし、ドアに進んで歩いた。
ーーおっ、お前の秘書って気づかねーなぁ。
“当たり前じゃボケ!こんな事でバレたら世の中生きてけんのじゃ!”
ギギギィ……
俺はドアを開き下の入り口まで歩いていき、階段の1階まで降りていた。
「ボス!」
その声を聞こえた俺は目を輝かせていたカミルが近づいてきたが、それを静止する騎士達が警戒感をあらわにした。カミルは“シャーッ”と威嚇をよそに俺はカミルから解除するよう言い、すぐに止めた。
「なんなんっすかね…シャーッ」
カミルは隣にいた騎士達に対して必要以上に威嚇した。
「………ゴメン。手短に頼む」
俺はドン引きしながらカミルの方に向いた。それに引き換えガルシアの心の中いたデーヤンは爆笑していた。
「なんでしたっけ?……あっ、王様への昇格おめでとうございます!俺、すんげー嬉しいッス!」
カミルもキラキラした顔でお辞儀をした。
「……まぁ、嬉しくないけどなぁ。あっ!カミル、お前には大事な事があるんだ。この式が終わったら来てくれ」
「了解しました!では、行ってらっしゃい!」
俺は後ろ姿で片手を上げて歩き続けた。そして、秘書のラウルが近づきそっと小さい声で耳打ちをした。
「すぐに本番ですよ。ニヤつくのはどうかと思います」
「あぁ、ゴメン!ゴメン!」
俺は慌てて澄ました顔になりドアの前に立った。
「行きますよ。では…」
ラウルは勢い良くドアを開き、会場にいた大衆が大きな歓声で迎えられた。
ここが勝負である!緊張と興奮でワクワクしてきた!




