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ガルシア戦記  作者: 千山一
第1巻 バスティアの魔族
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第4章故郷 No.3

足がガクガクする。

まて!まて!まて!バッツだと!?

仮にもバッツだったとしよう。その娘さんは、実質のNo.2の姉さんで、副頭領であるサラさん!?ううう…混乱してきた。


「おい!おい!大丈夫か!?」

「ん?あああ、大丈夫…いや、大丈夫っス…」

「本当に大丈夫か?…不安じゃないか…」

「ははは、大丈夫!大丈夫ッス!」


いかん!いかん!英雄であるバッツを困らせてはならん!元はといえばベルが悪い!ベルが隠すから悪い展開になるんだ!まだまだ、あるはず!問い詰めなければ…っと、その前に確認をとらないと…。

ガルシアは「クルリっ」とバッツの方に向いて話を始めた。


「取り乱してすいません。まさか英雄である、バッツさんだったとは…凄く尊敬しています!

…ところで、娘さんって副頭領であるサラさんじゃないですか?…あっ、噂ですよ!噂!もしかしたら、そうじゃないかなぁ?と思って…」


ガルシアは注意深く観察する。訓練で培った詐欺師ならともかく素人は一瞬でも表情は変化するはず、それを見逃さないように注意しなければ…。


「な、な、何言っているんじゃ?は、は、は。むす…サラしゃんは違んじゃないかなぁ?は、は、は…」


あっ、思いっきり動揺しているね…。

一瞬、「ジトー」と白い目で見つめていたが、すぐに切り替える。まだまだ聞きたいことがある!それは…カレーを食べることである!!!

『…まだ、そんなこと言ってるの?もう諦めようよ』と思っている人がいるかもしれないが、うるさいわい!行ける可能性があったら、行きたいわい!

そのためには上の人間である、バッツが検問の抜け道を知っていれば…。


「そうだったんですね。サラさんじゃないんですね。てっきり、活躍しているからサラさんだと思いましたよ。ハハハ…じゃあ、撤回しなきゃ」


ガルシアは笑顔で応えた。危ない!危ない!地雷を踏むとこだった!もちろん、カレーの店である、バスティアに行ってカレーを食いたい!

けれど、バッツを怒らせて「最悪、追放!」となれば、何処に行く当てもない…もう北は嫌だ!凄く寒いし、心の奥底に閉まってある「バスティアに行って、念願のカレーを食う!」という願望が遠のく可能性がある。

それは絶対ダメだ!


「ところで、峠山に着いたということは行く当てはないんじゃろ?」

「あっ、はい」

「だったら、ウチに来たらいい。なんなら、あんたさんが良かったら、ずっと居ていいんじゃよ?」

「いやいや、そこまでは…別の家探します」

「そんな遠慮せんでいい。ほれ、ベルの方はウチに泊まるといっとるし」

「いやいや…」

「なんなら、一生居てもいいんじゃぞ!!」


バッツは顔を近付いてきた。…圧が凄いやん。こりゃ、早く抜け出せないと永遠になるぞ!

早くベルに知らせなければ…。

そしてベルがうまく抜け出せるように、ベルの予定を聞く。


「あの…ベルのことでビックリしたんですが…いつ頃帰ってくるんですか?出来れば、直接話をしたいんですが…」


何も間違ってはいない。尋問すると見せかけて脱走する手はずを整えているはず…間違っていないよね?


「ん?ベルか?そうだなぁ…脱走した罪が重いからなぁ…最低でも2週間は監禁じゃろ」


「…脱走って」そんな「脱走」というワードが出てこないし、2週間も監禁って…恐ろしすぎるでしょう?


「ほれ、ワシの家に行くぞ。さっさと行くんじゃ!」


バッツは失神しているベルの胸ぐらを掴み、歩いていた。そしてガルシアを連れて、バッツの家まで帰宅をする。ベルは監禁部屋に入るのだが、バッツの目を盗もうと隠れて脱走の準備をするが、行く道、行く道、何故か知っている人に出会う。最初は「偶然かな?」と思っていたが明らかに監視役だ!

「ううう、見られている」と思って断念する。「よし!あと、少しでベルが出てくるはず!そこで打ち合わせをしょう!」と心に誓う。

そんなこんなんで2週間は過ぎた。


「…いちちち、やっとシャバに出られたぜ」


ベルは顔の頬を擦りながら座っている。そりゃ、そうだよ!軽く考えているが、あまりにも重大だぞ!意味わからん…。


「で?俺に話があるって言ったけど?」

「お、おう、そうだ。けど、その前に大丈夫か?2週間も監禁って、下手したら死ぬぞ?」


ガルシアは心配そうに見つめた。


「大丈夫!大丈夫!鬼ババに比べたら、可愛いもんよ。2週間じゃなくて、1ヶ月だし」

「1ヶ月って…」


想像を絶するイメージが浮かんでくるが、あえて考えないようにしていた。何故なら同情してしまうからだ。ガルシアは無言で「ポンポンッ」と肩を軽く叩き同情する。


「…なんだよ。同情するなら金をくれ!」


どっかで、見たことがあるような言葉を言った。すると「トントン」とドアを叩く音が聞こえてくる。


「突然で申し訳ございません。大主様がお呼びなっております」

「分かった。今から行く」


ガルシアとベルは無言のままで歩いていく。すぐ脱走の計画も立てないといけないし、ここは従っておこうと考えたのだ。今後の脱走計画が上手くいくのか?行かないのか?を運命が決めなければならないと思うとゾクゾクする。

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