第1章 はじまり No.1
ある遠い昔、大陸東部のロマーノ王国にある、首都バスティア。バスティアの気候は比較的に動きやすく野宿でも苦にならない土地で、人も温厚な人が多いと大陸の噂で聞いていた。
けれど、ロマーノ王国につかわしくない、イライラした青年がいた。その青年の名は「ガルシア・グラス」。金髪にスラっとした筋肉隆々とした顔立ちだ。
もう一人ビクビクした、もう情けなさそうな顔は「ベル・アンダーソン」。茶髪の髪型で、これも又スラっとした顔立ちだ。
で、ここはどこかと言うと「牢屋」。
『えっ!牢屋!!』
ビックリするかもしれないが、れっきとした牢屋。ここロマーノ王国の牢屋はちょっと特殊で、ここの王様が軽犯罪なら屋上の部屋で一晩中「反省したら良いよ(^^)」
と、ふざけた…もとい、ありがたいお言葉で成り立っていた。
では、ここで物語をスタートしていきましょう。
ーーー
ガシャンガシャン…
深夜、巡回中の兵士があたりを見回している。納得したのか、左手に持ち上げたランプをゆっくりと通り過ぎていった。
「ガルシア…機嫌直してくれよ」
焦っているのか、泣きそうなのか分からない複雑な声で隣にいるイライラしている青年に声をかけた。
「…よくこの状態で言えんなぁ。ベルさんよ!」
まるで子鹿のようにビクビクしている青年はベルだ。
「そ、そんなことないよ!ガルシアのために、いっぱい考えてきたから!」
ベルはパニックになって考えもしないような事をしゃべった。
「ほ、ほう…では、考えていることを、ここで喋ってもらいましょうか?」
「・・・・・」
ベルは考えごとをして黙りこくっている。。。
「・・・・・・ごめん、ないや///」
それはそれは、温厚なガルシアでも敵わない、百万ドルの笑顔で返してきた。
「ないんかい!!」
広い部屋中に響き渡るようなツッコミを入れた。どうしてこんな事になってしまったのだろうか?頭の中で思い巡らす。
ベルと出会う前から…そう、数時間前にロマーノ王国の首都バスティアを歩いていた。何故、歩いていたかって?何を隠そうと、幻のカレーを求めて探していたからなのだ。
話を戻そう。ロマーノ王国の南に位置するマスティア共和国を旅していた。
思えば、偶然通りかかった店で幻のカレーに出会い、運命的な物を感じてしまった!
それかというもの旅を中断して暇があればそのお店に足しげく通って、長期に渡る滞在になってしまった。
そのカレーは通っても飽きが来ない!最高の食べ物だった。しかし、不幸という物は突然来るものだ。店が閉店してしまったのだ。
俺はパニックになり泣き叫んでしまった。そして失意の気持ちになり、部屋に籠ってしまったのだ。けれど、どんなに落ち込んでいても腹が減る。
俺は仕方なしに隣接するの店に入った。
俺は早速、店主が自慢するカレーを注文する…まだ、心のショックが逃れていなかったのか、「普段なら満足して食べられる」があの店を比べたら雲泥の差と感じられた。
そして、ガルシアはため息をついた。
「腹は減っているが何故か食いたくない…」そんな心境で手に持ったスプーンすくっては離し、すくって離しをして遊んでいた。
「あの店、閉店らしいなぁ」
そんな時である。隣の席に座っていた男性二人がしゃべっているのを俺は聞き耳を立てていた。
「あのカレーの店だろう?あの店メチャクチャ美味かったからなぁ…で、閉店の理由って知ってるの?」
「いや〜それが分からんらしいのよ」
俺は「調べんかい!」と思ってツッコミを入れたが、自分も聞いて回ったが確かな情報がなかった。
「けど、噂じゃ首都バスティアは大都市で貴重な食材があるらしいから、店を閉めてバスティアに行くみたいらしいぜ」
それを聞くと、突然立ち上がってその二人の男に近づいてきた。
ダダダダッ!
「えっ!なになになに⁉︎」
ガルシアが真剣かつ目がバキバキな顔で男に近づいてきた。そして「ヤバイ…死んだ…」と思えるぐらい男は恐怖を感じていた。
「その話、本当か?」
「えっ?」と思ったが、ここは素直に聞かないと殺されると感じたので正直に応えた。
「店長が閉めることですか?」
「それ以外にないだろう!?」
ガルシアは声を荒げた。こっちは恐怖のあまり頭が真っ白になる。
「えっ…本当です。ここのお店を閉めて、バスティアに店を構えるんじゃないかなぁと…お客さんが噂していました」
男は内緒ドキドキしていた。だって、間違っていたら、この男に何をされるか分かったもんじゃない!
突然、両手で肩を掴んだ。「ヤバイ!ヤバイ!ヤバイ!」男はパニックになる。
「ありがとう!ありがとう!」
男は顔をキョトンとしていた。何故なら、ガルシアは男の目の前で号泣していたのだ。ガルシアは「ハッ」と我に返り近くにいた、ウェイトレスに声をかける。
「お姉ちゃん、この人に何か奢って!」
「えっ!いいですよ」
奢ってもらうのが嬉しいが、後々の事を考えるとメチャクチャ恐ろしくなる。
「いいって!いいって!命の恩人だから、ここは奢らせてくれ!」
ガルシアはニコニコして返してきた。
「え…じゃあ、言葉に甘えて…ありがとうございます」
「こっちがありがとうだよ。ガハハハ」
ガルシアは豪華な笑い声を出した。そして、急に真顔になり「本当にありがとう!」と感謝の気持ちを伝えた。
そして「ふとっ」と閃いたのか、こんな質問をする。
「えっと…名前なんだかなぁ?」
「マックですけど…」
それを聞いたガルシアは目の前にいる全員に叫んだ。
「あと、ここにいるみんなには、マックさんからの奢りだ!ジャンジャン頼んでいいそうだ!」
それを聞いた店の全員が「ウォーーー!」と歓喜の輪が広がった。注文を聞くもの、酒を頼むものそれぞれである。
ガルシアは「ポンッポンッ」とマックの肩を叩き、自分の部屋へ帰っていった。そして、荷物をまとめ、店を出ようとした。すからずマックは慌てて止めに入る。
「奢って頂きありがとうございます。けど、今は夜ですよ!バスティアまで、メチャクチャ遠いから部屋で休んだ方が無難ですよ⁉︎」
ガルシアはそれを聞いて「ニコリッ」と笑顔で返して遠い目を見て言った。
「ありがとう。でも、1日でも早くカレーロードが待っているんだ。だから行かなくちゃ!」
ガルシアは「ニコリッ」と笑って、ゆっくりと店を出る。
バタンッ
ドアを閉める音が響き渡った。
「…カレーロードって、何?」
隣いた男に話かけてみる。
「さぁ…カレーの道じゃないの?」
二人とも黙りこくってしまった。
「まっ、奢ってもらった事だし、今日は飲むべ!」
二人は「ガッチリ!」と腕組みをして、店の輪に入る。まだ、誰も知らないのだ、誰も奢った形跡がないことを…。
のちに、語り継がれるであるマック事件の全貌が明らかになる。一人青年が巻き起こした事件がやがて、暴動になり新しい国家を作ってしまったのだ。
ここに座る、マックこと、ドルチア連邦共和国はここに誕生したのだ!
この話は又、今度で…