200年間ずっと……
短編です。
文字数
600字近く
朝起きると、知らない家にいた。
鏡には私じゃない人が映っている。
高校の学生証がある。私じゃない名前。
でも、私はこの名前もこの顔も嫌いじゃない。
水を飲もうとした。
けど、水は滑らかに私をよけて、落ちていく。
物を壊しても元に戻る。3時間くらいあれば、元に戻る。
お腹は空かない。外に出れば、車も何も走っていない。
学生証を頼りに高校へと向かった。
誰もいない。この身体の人は何年生だろうか。
調べるとこの学生証の子は何十年も前に卒業していた。
駅に行けば、無人の電車が走っていた。
電車に乗って、私はどこかへと向かう。
ある駅を降りる。
落ちていた車に乗り、自転車に乗ったあと、険しい道を歩いていく。
辿り着いたところに、誰かがいた。私だ。私の身体。
崖の上に立っている。
「200年もずっと、私たちはこの世界にいる。外の世界と置いてある物はほとんど同じだけど、2人以外誰もいない世界。外とつながってるから200年で景色は結構変わった。」
「私なの?」
「私もあなたも自分が嫌いだった。だから、自分じゃないあなたの身体になった。だから、もう傷付けない。私はあなたが好きだから。あなたも?」
「……うん。私はあなたも、この身体のことも好き。」
「また、崖を飛び降りる?3時間経てば、元の場所に戻っているけど。痛くも苦しくもないし」
「いや、一緒に手を繋いで歩こう。この世界を探検しよう?」
私たちは2人で歩いていく。
おわり。
読んでくださりありがとうございました!