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システム管理

おれたちはパーティーをするためにマンションに戻った。


「ナイルここだよ」

「え? こちらに住んでるんですか?」

「ああ」

「す、すごいです!」


そうだよな。

こういう反応になるよな。

お金持ちしか住めないっていってたもんな。


おれは、顔認証してマンションに入った。

そして、エレベーターのようなものにのって部屋までいった。

ちなみに部屋に行くには、W5N110だ。

これはナターシャがこの間もこの番号をうっていたので覚えた。

このエレベーターのようなものにのっても何も動いてる気がしない。

番号をうって扉が開くとついているのでどうやって動いているのかまったくわからない。

ちなみに、一瞬外が見えるときもあるがほとんど見えないので高さもわからないのである。


扉が開いた。

おれのフロアだ。

そう、この階の部屋はおれとナターシャの部屋がある。

おれの部屋につくと、顔認証で扉を開けた。


「おかえりなさいませ」


クレアが出迎えてくれた。

クレア~

おれはついクレアに抱きついてしまった。

クレアをみて安心したのだ。


「アオイ、お疲れのようですね」

「クレア、ただいま」


おれはふと、われに返った。

あ、ナターシャもいるしナイルもいた。

ふたりは顔を赤らませて目をそらしていた。

おれは慌てて、クレアにナイルを紹介した。


「あ、クレア、紹介するね」

「はい」

「こちらはナイルというんだ」

「ナイルさんですか」

「はい、ナイルと申します」

「おれたちと一緒に水の調査をすることになったんだ」

「そうなんですか」

「だから、今日はお友達になった証にパーティーをしようと思ったんだけど……」

「はい、ナターシャさんから連絡をいただきましたので料理を用意いたしました」


そういうと、クレアはリビングに案内した。

テーブルの上にはまるでホテルに来たかのような料理が並んでいた。


「クレア、すごいな」

「そうですか?」

「わぁ! すごいです」


ナイルもあまりの料理に驚いているようだ。


「お好きなところに座ってください」

「アオイ、こちらにどうぞ」


クレアはおれを席に案内した。

どうやら、おれの席は決まっているようだ。

ナターシャがおれの右横に座り、ナイルがナターシャの隣に座った。

クレアはおれの左側に座った。


「お口に合うかわかりませんが召し上がってください」

「はい、いただきます」

「いただきます」

「クレア、ありがとう」

「いえ」


おれも食べ始めた。

もぐもぐ……。

これはおいしい。


「クレアは料理もうまいな~」

「そういっていただけるとうれしいです」


もぐもぐ……。


「こんなおいしい料理食べたことありません」


ナイルががつくように食べていた。


ガツッガツッ……。


「ナイル、そんなに慌てなくても大丈夫だ」

「あ、はい」


クレアはナイルをみて優しく微笑んでいた。


食事をしながらナイルの話をきいた。


「ナイルはどこに住んでいるんだ?」

「わたしは、一番低いマンションに住んでいます」


ナイルの顔が暗くなった。


「ナイル、一番低いマンションは嫌なのか?」

「え? いえ」


ナターシャが答え始めた。


「アオイさま、一番低いマンションということは稼ぎが少ないということになります」

「え? そうなのか?」

「はい、この都市は稼ぎで与えられるマンションが決まります」

「そうか、でも最初は稼ぎがなくて低いマンションに住んでた人が稼ぎが多くなったらどうなるんだ?」

「それは、その都度引っ越しします」

「ええええ! 引っ越すの?」

「はい」

「あ、だから一番低いマンションに住んでる人が稼ぎが少ないってことか」

「はい、そのとおりです」

「ちなみにまったく稼ぎがない人はどうするんだ?」

「そんな方はいません」

「え? そうなの?」

「システムが判断して、すべての人に職業を与えています」

「なるほど、システム管理されているんだ」

「はい」

「でも、それだとシステムは間違っているな」

「え? なにがですか?」

「だって、ナイルは水中で花を育てられるんだぞこんなすごいことはない」


ナイルは嬉しそうだ。


「たしかにそうですね」

「システムがナイルをちゃんと判断できてないんだ」

「そうですね」


クレアが聞いてきた。


「アオイ、ナイルさんは水中で花を育てられるんですか?」

「ああ、そうなんだ」

「それはすごいです」

「水中で綺麗に育っている花をみてナイルに声をかけたんだ」

「それは、早く商品にして売ればナイルもこのマンションに住めるはずです」


ナイルはクレアの言葉に驚いていた。


「そうでしょうか?」

「はい、きっと売れます」


おれは、たしかにそうだと思った。


「クレア、もしこの花が売れたとしてこのやり方はナイルのものだという特許みたいなものはあるのか?」

「特許とはなんでしょうか?」


ああ、特許がわからないのか。


「ん~水中での花の育て方や売買をする権利はナイルのものだけにしたいってことだ」

「ああ、それならあります」

「あるのか?」

「はい、ちゃんと手続きをすれば真似をした人が現れたら即この都市から追放されます」

「え? 追放されるの?」

「はい」


ひぇ~

意外と怖いこの都市。


「さっそく、手続きをしよう」

「はい」

「今からできます」

「え? そうなのか?」

「はい、画面から手続きができます」

「なんでも画面からできるんだな」

「はい」

「じゃあ、ナイルさっそくナターシャに教えてもらって手続きをしよう」

「はい、よろしくお願いします」


そういうと、さっそくナターシャはナイルの画面を見ながら手続きをしていた。

その間、おれはクレアと食事を楽しんだ。


「アオイ、あ~んして」

「うん、あ~ん」


恥ずかし気もなく、クレアが食べさせてくれるから口を開けて入れてもらって食べていた。

こんな幸せでいいのだろうか。


「はい、あ~ん」

「あ~ん、クレアおいしいよ」

「よかったです」

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