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刻印士の奴隷商生活  作者: ルケア


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21/30

21話

 麦の収穫を終えて、秋がやってきた。今年の秋も農民の出稼ぎ組が多数出てきている。今年もご苦労様である。去年までとの違いは、なんといっても治療院の混み具合だ。今年は冒険者組もフル稼働に近い5勤1休を教え込んだため、それと農民の出稼ぎ組がかち合って治療院の前には行列ができている。銀貨1枚の簡単な治療にしたって、30人も40人もいれば、行列になってしまう。幸いなのが、ベッドで寝込むような患者は来ていないことだ。ベッドは6つしかないから早いもの順である。6つが全部埋まったことなんてまだ一度も無いのだが。


 なにはともあれ、治療院は大繁盛だ。収益も過去最高を更新している。これがまだスタンピードの入り口であることを考えれば、スタンピード本番はどうなってしまうことやらだ。かといって、これ以上早くさばく方法なんて解らないし、問題が起きるまではこのままで行ってしまおう。


 そして、今年も情報収集は欠かしていない。東西南の情報を治療の合間に聞きこんでいる。俺だけ治療の列からはみ出て情報収集だ。治療はチビ達に任せるようにしている。対処不能の場合は呼ぶように言ってあるので大丈夫だ。


 そして、今年の情勢だが、東側は開拓村での収穫が豊作になっているらしかった。近年稀に見る豊作で、農民は潤っているそうだ。それでも出稼ぎ組は来ている。来年はどうなるか分からんため、貯えは必要との観点からだ。おまけに開拓村にまで、辺境伯領で取れた保存肉が届いているらしく、東からの奴隷の流入は今年も少なそうだ。


 また、南の方だが、去年から盗賊団の動きが活発になっているとのことだった。領主の私兵たちがいくつか壊滅させたそうだが、以南より難民崩れの盗賊が後を絶たないとのことだ。南部では戦争中だが、かなり長いこと戦争をしているな。もしかして、収穫時期の小競り合いのことなのだろうか。農民にはそれも立派な戦争だもんな。区別がついていないだけのような気がする。ただ、新年祭に戦争奴隷が流れてきたことも考えると、小競り合いでも、かなり大規模な小競り合いなんだろう。面倒なことこの上ない。よって、南部では麦の栽培が6,7割不作になってしまっているとのことだ。盗賊の犯罪奴隷が今年はたくさん流れてくるんじゃなかろうか。それに口減らしも多そうな感じだ。今年も奴隷の獲得には困らなさそうだ。


 んで、去年大変だった西部だが、今年もそれは変わらないらしい。特に南西部は2,3割の不作でかつ、重税が敷かれており、悲惨な様相らしい。…これ、戦争で儲けたい頭の悪い貴族が重税を敷いているだけなのではないか説が、勝手に頭の中に湧いてきたぞ。しかもあながち間違ってなさそうなところがなおひどい。南西部からの奴隷の流入は今年も多そうだ。その点、北西部は2,3割の不作だが、悪い噂は聞かないらしい。こっちは領主の貴族の頭が悪くないのだろうか。それとも例年通りの慣例主義タイプだろうか。どっちにしても、北西部からの流入は、まずまずと言ったところなのだろう。


 全体的に見ると、口減らしの数は去年よりも多そうな感じだ。…あれよりも多いのか。今年は辺境伯領都の食料の供給が万全だから、捨てられても困ることはなさそうだが、買う方にしてみれば、ラッキーなのかもしれないな。今年もたくさん魔法使いを仕入れることにしよう。ついでに西区のオズマンド奴隷商館でも新年祭に一応見に行こう。去年の見逃した奴隷を仕入れているかもしれないし、奴隷紋を書きに行っているときは、鑑定していないからな。結構な数の幼い子供も仕入れていたから、魔法使いも、その他有用な先天技能持ちをしっかり購入していこう。


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