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11話

 あれから1か月、予定通りと言ったらいいのか、森の外にオークが出始めた。それに伴い、チビ達は奴隷商館の方に引っ込め、ランデル達8人だけで冒険者業を回していくことになっている。本格的にスタンピードが始まったと言っていいだろう。さすがにチビ達の年長は違うだろうが、まだ8才の子たちもいる。1体だとしても、オーク相手には荷が重い。チビ達は冒険者ではなく奴隷なのだ。奴隷商館が自分の商品をダメにする可能性の高い選択肢をとる必要はない。オーク相手は冒険者になってからでも十分である。


 オークが出だしてから、治療院の方はいつも以上に繁盛している。4人の回復魔法使いが帰って来たのにも関わらず、俺の魔力は毎日底を付く勢いで減っていく。特に農民の出稼ぎ組が大きな怪我をするようになってきている。冒険者の方も、オーク相手に痛手を貰う確率が上がっているのか、大銀貨での支払いが必要になるほどの怪我を負う者が増えている。貴族の私兵はさすがの練度であるようで、大けがを負うような兵士は余りいない。もちろんいない訳ではないので、そちらの方も魔力を圧迫している。


 それでも、怪我を負ってでもオークの討伐をするのは儲かるのだろう。ランデル達もマジックバッグを4つ全部使って討伐をするくらいには儲けが出ている。4つすべてを使っているのを2回ししているらしく、午前に1回、休憩をして午後に1回マジックバッグを満パンにして帰ってきている。飲み代ぐらいは大盤振る舞いしても良いくらいには黒字黒字しているので、オーク様様である。


 ちびっこ回復魔法使いたちも治療院を頑張ってくれている。最近は小さな擦り傷ぐらいならば受付で銀貨1枚で治させている。4人ともいつも魔力が無くなりかけてふらふらしながら治療院に帰っていくのを見ていると、頑張っているなと思う一方、レベルもしっかり上がっていっているので魔力の方もどんどん上がっていっているだろう。ただ、まだ重症の治療はできないみたいだから、イメージが足りていないのかもしれない。


 さすがに前世の理科の授業をするわけにもいくまい。というか、できない。知っていても、教科書なんかはないし、教え方なんかもわからん。そう思うと教師って仕事はよくできるなと思う。解らない人間に教えるっていうのは難しい。俺も魔法の練習方法を教えたが、感覚でやっただけだからな。魔法を使ってそして自分の中の魔力の動きを認識させる。それからひたすらただただそれを動かす訓練を行わせただけだ。よくそれで皆使えるようになったものだとは思う。俺の感覚では教えたというより、使えるようになったと言った方が良いのかもしれない。


 あとこの1か月で頑張ったことといえば、貴族の私兵に話しかけてみることだ。貴族の私兵ではあっても、元は平民だろうから大丈夫だろうと勇気を持って話しかけてみると、意外と話しやすかった。農民の出稼ぎ組の情報を補完するように話を聞いてみたのだが、大体の話はあっているということが分かった。ただ、思ったよりも南東部の盗賊の頻度が多いような感じだった。そして、大規模な盗賊団も出没していたようなのだ。農民の出稼ぎ組が言っていたことも間違ってはいなかったが、商人ばかりを襲っている盗賊団が結構な数討伐されたと言っていた。そうなってくると、もしかしたら南東部の農民が潤っているというのは間違っている可能性が出てきた。南東部の農民が潤っていたら、護衛がいるであろう商人を襲うよりも村を襲うのではないかと思うのだ。商人が護衛をつけていないのであれば違うのだろうが、つけているのであれば、農村を襲った方がリスクが少ない様に感じるのだ。盗賊団の規模が大規模ならば潤っている農村を奪えれば、冬を越すことも容易だろう。どちらにしても、大規模な盗賊団が討伐されたとなると、犯罪奴隷が流れてくるかもしれないな。


 ただ、犯罪奴隷は余り魅力を感じないんだよなぁ。農奴隷としても使えないし、基本的に東の開拓奴隷に流すだけになるだろう。商人が連れていたら、奴隷紋が無ければ書いて終わりという商売になりそうだ。まあ、儲からんわな。


 それよりも、掘り出し物があるとすれば冬の年越祭だろうな。口減らしを売りに来る農民がいるからな。ただ、うちに売りに来るかどうかは別だし、売りに来られてもそれはそれで困ってしまう。しかしそれよりも嬉しいのが、露店売りなのだ。西区のオズマンド奴隷商館で話を聞いたのだが、奴隷商館に直接売りに来るのではなく、露店で売り、買い主が奴隷商館に持っていくパターンが多いそうなのだ。それの方が、奴隷が高く売れるし、買い主も奴隷商館を通さない分安い。奴隷紋も刻むだけなら安いし、奴隷紋が無くても奴隷として使えるから奴隷商館で奴隷紋を刻まない人もいるそうだ。俺としては、そこで使えそうな、先天技能を持っている奴隷を拾いたいところではある。スラムでの自売りも含めて、良い奴隷をなるべく多く買いたいものだ。


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