表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/3

ウルフマン(その二)

 ――藤村は、自らイジメグループに手を下した訳ではない。

 いや、厳密に言えば藤村がグループを壊滅させたのだが、『ウルフマン』の存在を知らない人間から見れば、藤村は何もしていないように見えた。


「将吾。帰ってたの?」

「母ちゃん。ああ、今さっきな」


 将吾の母親がパートから帰ってきた。将吾は、母親と二人暮らしをしていた。


「…………」

「母ちゃん?」


 母親の、少し不自然な反応を見て将吾はとっさに身構えた。


「嘘でしょ。どうせまた学校サボって一日中家でダラダラしてたんでしょ」


 母親の意味不明な発言に、将吾は顔を青くした。


「……は? 何ワケわかんねー事言ってやがる。普通に学校行ってたっつの」

「……どうだか」


 母親は、冷めた目で将吾を一瞥してから視線を逸らした。


「な、なんだよいきなり……」


 将吾は、呆気にとられていた。


「いや、まあ良いや。それより学校の上靴買うから金くれよ。サイズはきちーわ穴は空くわでもうボロボロだぜ」


 事実、将吾の上靴はもはや酷い有様である。

 しかし、母親は再び不自然な目つきを見せた。


「……いやよ。そんな事言って、どうせゲーセンで遊ぶお金に使うんでしょ」

「は……はああーっ!!?」


 将吾は思わず声を張り上げた。


「ふざけんじゃねーっ! 自分の息子をそんなに疑って楽しいか! 上靴はマジでボロボロなんだっつーの!」

「…………。上靴、『は』……? じゃあ、やっぱり今日学校サボったってのは本当なのね」


 母親のその目は、本気だった。ふざけて言っている訳では無いらしい。

 将吾は歯軋りをし、部屋の壁を蹴り飛ばすと自分の部屋へと戻っていった。


「……あの子……どうしてあんな嘘つきになっちゃったのかしら……」


 一人になったリビングで、母親は寂しそうに頭を抱えた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ