目立つ巨漢
僕の身長は180センチ。それだけ聞くと、クラスに一人か二人は居るイケメンと思うだろうが、僕の体重は120キロを超えている。
端から見れば、高校で相撲部に入っていても可笑しくない体型をしている。幸いなことに、僕が通う学園には相撲部は存在しない。
僕は、高校二年にもなれば余分な脂肪が落ちスリムになると思っていた。あまかった!何も努力をしていない僕が、痩せるわけはないのだ。
昼休みになると、学園の食堂で昼食を摂る。いつも僕が食べるのは、ランチのA定食を三人前。この食事の量は、一年の時から変わっていない。
入学したての頃は、食堂でかなり目立っていた。普通の高校生と言っても、昼食を三人前も食べる生徒は僕しか居ないからだ。
それでも、一年の夏くらいには僕の存在は飽きられて、いわゆるボッチになった。見た目は身体が大きくて目立つけど、何せ僕は人と会話をするのが苦手だ。
ある時、教室から出ようとした時だった。廊下で、男女数人が僕の陰口を言っていた。
「大悟は、ほんと無口だよね?」
「そうだな。話しかけてもノッてこないし」
「それに、顔が怖いんだよね」
「ハハハ、笑ったところは見たことがないな」
僕の耳に聞こえないなら陰口を言われていても気にはならない。それでも、聞こえてしまったら不機嫌にもなると思う。僕は、怪訝な顔で教室から廊下に出た。
身体がデカイので、廊下で陰口を言っていた男女がすぐに気付いた。男女の四人とも怯えた表情で廊下を走り去っていた。
(そんなに、怯えなくていいのに)
はぁ~!
僕には怖がらせてるつもりはないけど、何で皆は逃げるのか分からなかった。
「もう、帰ろう」
放課後になり帰宅部の僕は、そそくさと昇降口へと向かった。でも、身体がデカイので目立つけど。