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前科部!  作者: 蛇猫
進み始める日々と不安
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不機嫌

評価をくれえええええええ、ブクマも! レビューも! 感想も! くれえええええええくらさいいいいいいいいいい!


「とまあ、今日一日、皆の魅力を探してみたが結局、俺が誰を好きなのかは

 分かりませんでした。まる」


俺は放課後、幻中と久し振りに訪れた喫茶店みさごで反省会を行った。


「・・・すみません」


「いや、幻中が謝る必要はない。何か感じるかもしれないから皆の魅力を探してみる

 っていうのは凄く良い案だったし、皆の魅力を再認識出来たから良かったしな」


思えば、昔よりも俺の生活は賑やかで楽しくなった。これも、魅力的なアイツらと

付き合っているからこそ享受出来る生活なのだろう。


「・・・そう、ですか」


「後、これは確定ではないんだが」


「・・・はい」


「......小戸森も、俺のことが好きなのかもしれない」


俺は小さな声でポツリと言った。その直後、俺の顔はみるみるうちに熱くなっていく。

幻中に限って俺を自意識過剰だと笑ったりはしないだろうと思い、言ってみたが

やっぱり滅茶苦茶恥ずかしい。幻中はどんな反応をするだろうか。


「・・・? 今まで気付いていなかったのですか?」


すると、彼女は俺の予想外の反応を示した。


「え?」


「・・・え?」


「いや、え? もしかして、皆はずっと小戸森の気持ちに気付いてたのか?」


「・・・皆さんがどうかは知りませんが、私は以前から気付いていました。というか

 あれほど露骨に好意を見せているのに、今まで気付かなかったのですか?」


幻中の言葉が俺の胸に刺さって抜けない。


「一応、小戸森から告白っぽいことをされたことはあるんだが、その時は自分の

 気持ちがまだ整理出来ていないから、整理出来たときに改めて告白するって

 言われたんだ。でも、それからかなりの月日が経つのに何も言われないから

 てっきり、俺への好意は恋愛的なものではないという結論にアイツの中で

 至ったのかと思って......」


俺は動揺するあまり、かなり早口で喋ってしまった。


「・・・では何故、今日になって彼女の気持ちに気付いたのですか?」


幻中の質問に俺が今日、小戸森に囁かれたこととその内容を伝えると、幻中の表情が

僅かに強ばった。一体、どうしたのだろうか。


「で、どう思う?」


俺の問いに幻中が答えるのには少し、時間を要した。彼女は沈黙して何かを

考え始めたのだ。そして、数十秒後、彼女が口を開いた。


「・・・恐らく、いえ、ほぼ完全にそれは『いい加減、自分の思いに気付け』という

 彼女からのメッセージかと」


「マジですか」


「・・・はい。というか、他人の気持ちに敏感な貴方があれほど露骨にアピールを

 していた彼女の思いに気付かなかったのはやはり、不自然な気がします。実は

 気付いていたのでは?」


幻中が俺に訝しげな視線を送ってきたので、俺は激しく首を横に振った。


「た、確かに俺は一昔前のラブコメの主人公みたいに鈍感なつもりはないが小戸森の

 気持ちにはマジで気づかなかったんだって。改めて告白するって、言ってたのに

 告白されることもなかったし!」


「・・・本当ですか?」


全力で幻中の疑問を否定する俺に彼女はあくまで冷静に、それでいて疑念を込めた

声で再度、尋ねてきた。そう言われると、自信がなくなる。


「た、多分......」


「・・・多分?」


「いや、俺にそんなつもりは全くないんだが、もしかしたら無意識的にアイツの思いに

 気付きながら気付かないようにしていた面もあるかもしれないと思って」


「・・・仮にそうだとすると、貴方は卑怯な人ですね」


幻中は俺を責めるような口調で言う。彼女が俺をこんなにも責め立てるのは珍しい。


「何かお前、怒ってないか?」


「・・・いえ、別に」


「......そ、そうか。悪いな。俺の相談のためにわざわざ付き合ってもらって。

 此処の代金は俺が払うからさ、ケーキでも何でも頼んでくれ」


「・・・いえ、私は貴方に何度も相談に乗っていただいていますし、当然のことです。

 すみません。スペシャルパンケーキをお願いします」


「当然のことです、とか言いながら高価なデザートを頼んでいくスタイル止めろ」


「・・・何か?」


幻中が俺の言葉に圧を掛けてきた。


「ナ、ナンデモナイレス。ドウゾ、オスキナノヲオエラビクダサイ」


「では、追加でプリンアラモードと生チョコパフェを」


幻中が手をあげて店員に注文した。


「神経、図太くなったなお前」


昔の幻中であればまずあり得ない図々しさだ。


「・・・そうかもしれませんね。十中八九、貴方のせいでしょうが」


「やっぱりお前、何か怒ってるだろ」


不貞腐れているというか、拗ねたようなそんな感じの不機嫌さが彼女の言葉の

端々から伝わってくる。何か、彼女を怒らせるようなことをしてしまっただろうか。


「・・・ですから、怒っていません。それとも、何か後ろめたいことでも?」


「な、ないっす」


幻中が何か怖い。


「・・・であれば、私が貴方に怒る理由もない筈です」


「ま、まあ、そうなんだけどさ......」


「・・・まだ、他に何か?」


繰り返す。幻中が何か怖い。


「い、いや、別に。あ、そ、そうだ! もうすぐ、クリスマスだな。幻中は

 予定とかないのか?」


俺は思い出したように話を逸らした。あの話題のままでは分が悪い。


「・・・有ると思いますか?」


追記する。幻中が何か面倒臭い。


「いや、ほ、ほら、幻中も好きな人がいるんだろ? アタックしてみたらどうだ?

 やっぱり、攻勢を掛けないと恋が愛に発展することはないと思うぞ」


「・・・自分においての『好き』という感情を定義することさえ出来ていない貴方に

 言われるのも癪ですね」


「まもまも、何かやさぐれてない?」


さっきから調月レベルで言葉に棘があるんだけど。何なの? 薔薇なの?


「・・・私は至って普通です」


「さいですか......」


「・・・というか、そういう貴方こそクリスマスに備えて恋人の一人や二人

 作っておいた方が良いのではないですか?」


「幻中お前、恋人をクリスマスリースか何かと勘違いしてない?」


そんな簡単に恋人が作れたら世からは非リアが絶滅するし、そもそも恋人が二人も

いたら問題だ。


「・・・どちらもクリスマスに必須とは言いませんが、あった方が良いでしょう?

 それに、クリスマスの前には貴方の誕生日が有るじゃないですか。誕生日を

 祝ってくれる人はいた方が良いのでは?」


「親父と母さんと雪加が居るからその点に関しては大丈夫」


「・・・私も、祝わせて頂きますよ。というか先日、皆さんの誕生日を共有しましたし

 他の方も祝ってくれるのでは? 言い出した手前、アレですが誕生日に恋人なんて

 要らないかもしれませんね」


幻中はそう言うと、運ばれてきたスペシャルパンケーキを小さくナイフで切って上品に

口に運んだ。確かに恋人というものに憧れない訳ではない。しかし、何度も使い古された

言葉だとは思うが、今の心地よい皆との関係が崩れてしまうのが怖くもある。


「そもそも、好きの意味がまだあんまり分かってないからなあ......」


「・・・何でも良いんですよ。好き、という感情はその人間ごとに違います。心からの

 信頼でも、何時も自分を支えてくれることでも、相手への庇護欲でも、貴方がその

 要素を好きという感情だと思うのなら、それが貴方の恋です」


「結構、難しいな」


「・・・恋愛は如何なる小説より奇であり、如何なる数式よりも複雑なものですから」


恋愛経験豊富なおばちゃんみたいなこと言うなこの娘、と思いつつ今日の反省会は

この辺りで終わることにした。家に帰って気付いたが、そう言えば幻中の魅力を

探すことを忘れていたな。幻中の魅力は......



何故か、幻中の魅力を探すと少し恥ずかしい気分がした。

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