鳥の巣
あ、突然ですけど私のもうひとつの作品。『堅物悪魔と契約者 ~職を失い路頭に迷っていた俺の前に美少女悪魔が現れました~』もよろしくお願いします。面白いですよ!←自画自賛
「少年ってさ~」
「ん?」
「結構、イジられキャラなの?」
「はっ倒しますよ?」
可哀想な人を見る目でそんなことを聞いてきた蜂須賀に俺はそう応える。
「だって、さっき毒蛇さんと青ノさんに滅茶苦茶にされてたじゃん」
「俺が雪加に弄ばれ気味なのは認めますが、断じて俺はイジられキャラでは
ありません。イジられキャラというよりも蔑まれキャラです」
調月に毒を吐かれ、小戸森にジト目を向けられ、幻中に引かれ、雪加に呆れられる。
それが俺だ。決して、イジられキャラなんかではない。
「ええ.......」
困惑するような声を漏らす蜂須賀。何がおかしいのだろうか。
「・・・あながち間違いではないですね」
「玲奈ちゃんが肯定した!?」
「蔑まれキャラ......不思議としっくり来ますね」
「ジト目さんも!?」
「『蔑まれキャラ』、なんて生優しいものじゃないわ。これの正体は醜悪で
変態でおぞましくて、穢らわしい、闇そのものよ」
格好良いじゃないか。
「少年の扱い酷過ぎない!?」
「祐也は私のおもちゃ」
「毒蛇さんよりもひでえ奴が居た!?」
「コイツに勝つことが出来ないのは否定しません」
「ちょ、ちょっと待って。話に付いていけない。私が言うのもアレだけど
少年達個性強すぎない?」
蜂須賀は額を手で押さえながら、目を瞑って言う。というか蜂須賀
自分のキャラが濃い自覚はあったんだな。意外だ。
「ウチの部活は顧問も部員もヤバい人達ばっかりだからね~。だけど安心してくれ
蜂須賀さん。幸い、この部には常識人の代表であるこの僕......有馬岬がいる」
「上里の方がまだ常識人だと思う」
「同感ね」
「人のお菓子を勝手に食べる盗人が常識人ですか.......」
「岬はボケ」
「おい井上、『まだ』ってなんだ『まだ』って。明らかに有馬より
俺の方が常識有るっての」
「有馬、お前は今『顧問も部員も』と言ったな? お前は私をヤバい奴だと
言うのか。成る程。成る程。......後でじっくりその話を聞こうじゃないか」
俺達の集中放火で消し炭になる有馬。まあ、真面目に考えるとこの部活で最も普通で
常識があるのは井上だろう。幻中や小戸森、先輩辺りもかなり常識的ではあるが普通
ではないことは確かだ。
「やっぱり最近、僕の扱い酷いよね!?」
「強く生きてくれ、有馬」
「扱いを改善するつもりは無しかよ!」
そんな会話をしつつも、俺達は好きなように公園で自然観察をした。
「玲奈ちゃんの髪、やっぱり綺麗だね~。しかも、滅茶苦茶良い匂い!」
「・・・髪を弄るのはやめてください」
「恥ずかしがってる玲奈ちゃん、可愛すぎる。何この娘天使? 天使が居るってことは
此処は天国なのか? 私は知らないうちに死んでいた......? いやでも、こんな天使が
いるなら天国も悪くないなって梓たん思っちゃう」
「・・・えっと......」
まもまも、蜂須賀が梓節を炸裂させるせいで滅茶苦茶困っているじゃないか。
「玲奈×アズの百合、悪くない」
「お前はブレねえな!? というか梓たん。天使の称号は小戸森のものですよ」
幻中は天使というよりも女神って感じがする。
「其処でボクを出すんですか!?」
「小戸森、髪サラサラだな」
「ちょ、勝手にさわらないで下さい! セクハラ! 犯罪者! 変輩!」
変態と先輩を混ぜるな。
「え、何この娘可愛い」
「だっろお?」
「ボクをからかうのは止めてください!」
「......蜂須賀さんと上里の組み合わせもかなりヤバいな」
小戸森に憐れみの目を向ける井上。蜂須賀と俺を同列に扱わないで欲しい。
そんなことを考えていると、俺の肩をちょんちょんとつつく者がいた。
「少し、良いかしら」
大天使小戸森の対極に位置する少女。堕天使調月だ。
「どした」
「面白い物を見付けたの。付いて来なさい」
「アイツらはどうするんだ?」
俺は蜂須賀を中心に盛り上がっている自然観察部の集団を指差して聞く。
「・・・・」
しかし、俺の質問に彼女は沈黙で答えた。
「必要ない、か」
俺は雪加に少しの間、調月と別の所に行ってくることを伝えて静かに部活の集団から
抜け出した。そうして、調月に連れてこられたのは俺達が元居た場所からかなり離れた
場所で、地面はコンクリートではなく土で辺りにはたくさんの木が生えている。
「『面白い物を見付けた』って......お前、俺達が話してる間に一人でこんなところまで
来てたのか。というかそもそも、途中で居なくなってたのも知らなかった」
「其処は気付いて欲しかったわ」
「だってお前、陰薄いんだもん。キャラは濃い癖に」
「まるでお前ね」
・・・・。
「そろそろ、貴方呼びに戻して頂けませんか調月様。違和感が半端ないのです」
「それが貴方の性癖なの?」
「違わない!」
「否定をしなさい」
調月は溜め息を吐く。
「いや、でも本当に調月の貴方呼びは嫌いじゃない。貴方って呼ばれながら
罵られると実家のような安心感を感じるんだ」
「末期ね」
「何の!?」
「話が脱線したわね。面白いものというのはあれのことよ。見なさい......貴方」
調月の指は木の上を指していたので、そちらに視線を向けると其処には黒い塊のような
ものがある。下から見てもよく分からないので、少し離れたところから見るとその塊の
正体が分かった。
「鳥の巣か」
ハンガーが使われているところを見ると、どうやらカラスの巣らしい。
「ええ。貴方が喜びそうだと思って」
「てっきり、お前のことだから蛇の抜け殻かなんかだと思ったんだが」
「不満かしら?」
「いや、俺も長いこと野鳥観察をしてきたが鳥の巣を見付けた経験なんて
殆ど無いからな。普通に嬉しい」
調月もたまには良いことをしてくれるものだ。そう思いながら俺が巣をカメラで
撮影していると、彼女は口を開いた。
「それで、本題なのだけれど......」
「あ、鳥の巣を本題じゃなかったのね。何と無くそんな気はしてたけど」
「貴方の家に世話になるようになってから、かれこれ3週間以上の日数が経ったじゃない」
「もうそんなに経ってたのか。お前が俺の部屋を我が物顔で使うようになってから」
俺は苦笑する。
「迷惑を掛ける相手が貴方だけなら私は別に気にしないのだけれど、今の私は貴方の
両親にも迷惑を掛けているわ。だから、そろそろ自分の家に帰ろうと思うの」
いや、俺に迷惑を掛けても気にしろよ。
「でも、帰れそうなのか? お前、母親とは冷戦状態なんだろ? 幻中もらしいけど」
幻中も母親との同居を断り、マンションに残留したせいで母親と
睨み合いが続いているらしい。
「それが......昨日、私達が学校に行っていたときに貴方の家に私の母が
来たらしいのよ。貴方の父が対応してくれたみたいだけど」
「何それ初耳」
「そうなの? てっきり、彼から聞いているものと思っていたわ」
「親父、結構適当なところ有るからな。普通に忘れてたんだろ。どんなことが
あったのか教えてくれ」
「分かったわ。少し、長くなるけれど集中して聞きなさい......」
遅れたけど後悔してない。
・・・・・・・・・・・......すんませんでした。




