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前科部!  作者: 蛇猫
歪み始める日々と狂気
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久しぶり


「あ、祐也君久し振り~」


「お久し振りです。先輩」


「やあ、上里君。今日は随分と遅いじゃないか」


「・・・・」


「お久し振りです。てか、調月も何か言えよ」


俺は約1ヶ月ぶりに顔を会わせる自然観察部の部員達に挨拶をすると

調月の方を見てそう言った。相変わらずダルそうにしている。


「そうは言っても、貴方とは夏休み中も後半は毎日顔を合わせていたのだから

 久し振りでもなんでもないし、何を話せば良いのか分からないわ」


「いやまあ、うん。挨拶とか有るじゃん」


「......おはようとは言ったわよ?」


「それは朝の話だろうが」


朝の挨拶で一日の挨拶全てを済ませようとか怠惰にも程がある。


「あの、先輩?」


俺が調月に呆れていると、可愛い後輩が話し掛けてきた。


「何だ? 小戸森」


「えっと、調月先輩と夏休みの後半、毎日顔を合わせてたってどういう

 ことですか? お二人ってそんなに仲良しでしたっけ?」


あ、ヤベ。


「......部長、私はトイレに行ってきます」


調月は突然席を立つと白嶺先輩にそう言い


「どうにか言いくるめなさい」


俺にそう耳打ちをすると足早に部室を出ていった。アイツ、逃げやがったな。


「えっと、だな。俺と調月はどちらも本が好きなんだよ。だから毎日、本を

 貸し借りしてたんだ。家も近いしな」


家に帰ったら調月に復讐してやろうと決意しながら俺は小戸森に口から出任せを

言った。咄嗟に考えた割には中々、良い嘘ではないだろうか。


「成る程......あ、先輩そういうことでしたらボクも色んな本を」


「小戸森さん、騙されないで」


小戸森が顔を紅くしながら何かを言おうとしていると、白嶺先輩は

それを遮ってそう言った。急に何を言うんだこの人は。


「は、はい?」


「祐也君、嘘を言ってるような気がする。ほら私、人の感情を読めるって

 言ってたでしょ? それと同じで嘘を言ってるときも何と無く分かるの」


そういえばそんな能力も有ったなあ! 完全に忘れていたよ!


「で、でも先輩が嘘なんて言う筈が......」


白嶺先輩の言葉をどうにか否定しようとする小戸森。うう。心が痛い。


「いやでも、小戸森さん。芦原の嘘発見能力はかなりの精度だよ?」


「本当のことなんでしょうけど有馬先輩が言うと胡散臭くなりますね」


「辛辣だね!? ねえ、祐也君の専門家はまだ来ないの? 彼女が来たら大体

 解決すると思うんだけど」


有馬が笑いながらそんなことを言う。てか、俺の専門家って......


「ごめん。遅れた。皆、久し振り」


お前か、勘解由小路雪加。確かに専門家と言えば専門家だな。


「あ、久し振り~。来たばっかりで悪いんだけどさ、勘解由小路さんに

 聞きたいことが......」


「夏休みの雹霞と祐也の話?」


雪加は先輩の話を最後まで聞くことなく、先輩の質問を当てて見せた。凄いな専門家。


「え、何で分かったの?」


「祐也が困った顔をしていることと、さっき雹霞がバツが悪そうに廊下を歩いて

 いたことから推測した。あ、結論から言うと祐也と雹霞は同居している。以上」


雪加は先輩の『何故、自分がしようとしていた質問の内容を当てることが出来たのか』

という質問と先輩が最初にしようとしていた質問の二つに簡潔に答えた。ああもう

どうにでもなれ。帰ったら調月に嫌がらせすれば良いし。俺はそんなことを思いながら

嘘で騙した皆、特に小戸森に事情を詳しく話して謝罪した。


「......先輩」


「本当に騙して悪かった」


「いえ、それは先程何度も謝ってもらったので許したのですがもう一つ

 言って良いですか?」


「何だ?」


「調月先輩と同居していることを勘解由小路先輩にバレたくなかったから二人して

 居留守を使ったけど、結局合鍵で侵入されたとかセキュリティーガバガバ過ぎ

 ませんか?」


「それは思う」


俺は小戸森の言葉に反応して、俺の家の合鍵を皆にちらつかせている雪加を見て言う。


「でも私は、冷静で賢い祐也の幼馴染みだから雹霞と祐也が同居していることを

 知っても、どうせヘタレのあの二人に何かがある訳がないと思って慌てずに

 事情を聞いた。流石私」


「うわー凄いドヤ顔だあ。......ねえ上里君、そういえば幻中さんは?」


「休み。ちょっと精神的に疲れてたみたいでな。かなり休むことになると思う」


俺は有馬の質問にそう答える。


「何で祐也君は幻中さんのことをまるで自分のことのように知ってるんだよ......」


「ま、まあまあ、取り敢えず部活始めようか」


そう言って仕切り直す先輩の方を皆が向いたとき、小戸森が俺に近寄ってきて

先程調月がしたように


「さっきボクを騙したこと、許すとは言いましたけどタダで許すつもりは

 ありませんからね」


と、耳打ちをしてきたので体で払うと俺は言った。......が、その案は却下され

小戸森と本の貸し借りをすることになった。畜生。



「今日はよくも逃げてくれたな、毒蛇」


帰宅した俺は先に帰って俺の部屋で寝転んでいた調月に笑顔を

浮かべながら言った。


「黙りなさい。貴方だって言いくるめろと言ったのに結局、バラして

 しまったじゃない。無能にも程があるわ。後、その顔気持ち悪い」


「ほう。戦線から逃亡した分際で言うじゃないか。ソ連だったら重罪だぞ。

 ......宜しい。本来ならお前が4日粘っても出ないって言ってた色違いの

 モンスター、俺の持ってる奴からプレゼントしてやろうと思ってたんだが

 この話は無かったことにするか」


俺が残念そうにそう言うと、調月がピクッと反応した。


「待ちなさい」


「おう、何だ」


「......反省はしているわ」


ふてぶてしい表情でそう呟く調月。


「心が籠ってない。やっぱ、この話は無しだな。じゃ、ちょっと俺

 出掛けてくるから」


「チッ」


「お前の欲しがってる色違いは4ボックスに入ってるから勝手に交換しとけ」


「貴方を見直したわ。バレンタインは期待しておきなさい。10円チョコ

 くらいなら買ってあげるわ」


数秒前は舌打ちをしていたというのに、この態度の変わりよう。やはり、調月は

調月だな。後、10円チョコってどうなの。



さてと、今日は此処からが本番だな。


「よう、幻中」


「・・・!? 上里君? どうして此処に......」


「此処が俺の行きつけのスーパーだってことは知ってるだろ?」


「・・・はい。ですが何故、スーパーの入り口の前に立っていたのですか?」


何時もは海月のように透き通った美しい幻中の目。しかし、俺に質問をする

今日の彼女の目は少し曇っていた。


「......食べたくなった」


「・・・はい?」


「久し振りに幻中のきんぴら蓮根が食べたくなった」


「・・・成る程。貴方のレジ袋に蓮根が入っているのはそのせいですか」


「ああ。自分から頼むんだから、幻中に買わせる訳にも行かないしな」


俺が苦笑しながらそう言うと、幻中は溜め息を吐いた。


「・・・申し訳有りませんが、今日はカップ麺で済ませるつもりなので」


幻中は迷惑そうにそう言って俺を突き放すと、スーパーの中に入ろうとした。


「待ってくれ。この前の幻中はカップラーメンは体に良くないって俺を

 咎めてただろ?」


「・・・しつこいですね。私だって体に悪い物を食べたいときくらいあります」


「......悪い。少し、思考が自己中心的になってた」


俺はそう言うと幻中に頭を下げた。


「・・・そうですね。貴方は自己中心的です。今日だって私の料理が食べたいという

 理由で私の家に行き、私と話をするつもりだったのでしょう? 昨日は直ぐに私に

 家を追い出されて、何も聞けませんでしたしね」


幻中に此処まで分かりやすく強い口調で責められるのは初めてだった。


「本当に悪かった。確かに自己中心的で偽善的だったよな。忘れてくれ」


俺は自分のしようとしていたことが、他人の迷惑になっていたことに気付き

反省しながらスーパーを後にした。......後にした筈だったのだが。


「・・・待ってください。すみません。言い過ぎました。先程の言葉は

 貴方がお人好し過ぎることをからかった軽い冗談です」


俺が幻中を背にした瞬間、幻中が俺の手を強く握ってきた。


「......幻中の冗談を聞いたのは初めてだが、何と言うかアレだな。幻中ジョークは

 結構キツイな。てか幻中、冗談を言うならせめて笑ってくれ。真顔で言われた

 から俺、泣きそうになった」


暴言や嫌がらせ程度では全く傷付かない俺のメンタルだが、正論には滅茶苦茶弱い。


「・・・本当にすみません」


「いや、別に謝ることはないって」


俺がそう言うと、幻中は掴んだ俺の手をシルクのような手で更に強く握り


「・・・そうですか。私は、私の独り善がりな自殺を止めてくれた貴方に

 合わせる顔が有りません。なので、最初は貴方を拒絶してしまいました」


と、言った。


「ああ」


「・・・ですが、気が変わりました。上里君、食事と話に付き合って頂けますか?」


「勿論、というか本来なら俺がお願いする立場なんだけどな」


俺は苦笑する。


「・・・いえ、結果的にお世話になるのは恐らく私なので。それでは帰りましょうか」


そう言って俺達は幻中のマンションを目指した。親父たちに連絡も送らないと。


「・・・最近の私、面倒臭いでしょうか」


「ああ、かなりな。結構疲れる」


「・・・自覚はしています。すみません」


最近、後書きを書くことが減ってたので書きます! ......特に書くことはありませんでした!


皆さん、コロナは勿論ですがお体に気を付けて下さいね! それじゃ!

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