毒独髑
『じゃあ幻中さんは大丈夫だったのね。良かった......』
翌日、昨日俺達を助けてくれたあの緑髪の少女に俺は電話をしていた。
電話の向こうから安堵の声が聞こえる。
「昨日は本当にありがとうございました」
気付くと俺は頭を下げて礼をしていた。
『おうよ少年。困ったときはお互い様だ』
「お人好しですね」
『困っている人は絶対に助けなさい、ってママンにキツく言われてるからね!
当然のことなのだよ。ヤダ蜂須賀さん良い人』
「今、ナチュラルに名字漏らしましたけど大丈夫ですか?」
『あ』
駄目だこの人。
「ついでに聞きたいんですけど、名前は『梓』だったりします?」
『何で知ってんだよテメエ』
「いや、まもたんが言ってたんで」
『......じゃあ玲奈ちゃんは昨日私の存在に気づいてたの? 後、少年は
私と玲奈ちゃんの関係を知ってる感じ?』
緑髪の少女......否。蜂須賀は溜め息混じりにに聞いてきた。
「一つ目の質問への回答はNO。二つ目はYESですね」
『つまり玲奈ちゃんは昨日私に気付かなくて玲奈ちゃんから私のことを
聞いてた少年は気付いてた、って認識でオケ?』
「オケオケ。察しが良くて助かります」
厳密に言うと、蜂須賀の正体に気づいたのは彼女と別れてからだが。
『玲奈ちゃん、友達出来たんだね。まだあんまり話したことないけど少年になら
玲奈ちゃんを任せれそう。また時々連絡して。それじゃ』
蜂須賀はそう告げると、一方的に通話を切ってしまった。
「蜂須賀梓......」
特に意味もなく、俺はその名前を呟いた。親には勉強をしろと圧力を掛けられ、学校では
他の生徒から虐めを受けていた幻中。そんな彼女に出来た初めての友人。そして最後には
幻中よりも自分の保身を優先した人間。それがあの少女だ。そんな彼女が電話で幻中の
ことを気にかけていたのは何故だろうか。
......検討も付かない。頭が混乱してきた。こんな日は散歩でもしにいこう。そう思い
俺が玄関で靴を履こうとしているときだった。親父も母さんも仕事に行っている筈の
平日。突然、大きな音と共に扉が開き俺の胸に何かが飛び込んできたのは―――。
「......たすけて」
俺を床に押し倒し、抱きついたままの状態で紫髪の彼女は喉からそんな
言葉を絞り出した。
文字数が少ない? それじゃあ、感想欄で抗議してくれ!(孔明の罠)




