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前科部!  作者: 蛇猫
夏の始まり
73/108

無意識

まもにゃかさんの独壇場。


幻中の服が色んな意味で強すぎる事件や幻中に甘やかして貰うことにハマってしまう

というかなりヤバめの事件も起きたがそれ以外には特に何事もなく、俺達は目的の

駅に到着した。到着を知らせる車掌のアナウンスが車内に響く。


「・・・降りましょうか」


「お、おう......」


幻中の服もやっと直視出来るようになってきた。それでもまだ慣れないが。


「・・・此処から少し歩くようです」


改札を通って駅の外に出ると、幻中がスマホを見ながらそう言った。


「それじゃあ、歩くか」


「・・・はい」


俺達は標識に従って街をゆっくりと歩いた。無口な幻中との移動なので決して会話が

弾んだりはしないのだが、ただ歩くだけでも本当に楽しい。死ぬほど暑いことを考慮

しなければ、の話だが。


「まもにゃか、喉渇いた」


バッグの中を漁るがやはり飲み物はない。コンビニで幻中に出会うという予想外の

出来事に気をとられて、飲み物を買うことを忘れてしまったようだ。


「・・・自動販売機は......有りませんね」


「チッ、自販機なら駅のホームに有ったのに。何で飲み物を買い忘れてることに

 気が付かなかったんだよ俺。この真夏日に水分摂らないとか自殺行為だぞ」


俺は1時間前の俺に悪態を吐く。


「・・・緑茶なら有りますが、飲みますか?」


「いや、良いよ。幻中のだろ」


「・・・熱中症で倒れられたら困りますので」


幻中はグイッと俺に緑茶の入ったペットボトルを押し付けてくる。


「意外に幻中って押し強いよな」


「・・・貴方がそう思うならそうなのでしょう。ほら、飲んで下さい。

 魚は見たくても貴方が倒れる姿は見たく有りません」


何この娘カッコいい。惚れそう。


「まあ、そういうことなら貰うか。自販機が有ったら買って返すから」


俺は遠慮がちにペットボトルを受け取り、緩いキャップを外した。そして勢いよく

ゴクゴクと飲み下す。......あれ、今キャップ緩かった?


「・・・分かっているとは思いますがそれ、私が何度か口を付けたモノですよ」


「ブッ! ゴホッゴホッ」


幻中が放った予想外の言葉に俺は思わずお茶を吹き出しそうになり、それをどうにか

止めようとすると気管に入った。


「・・・大丈夫ですか?」


お茶が気管に入ってむせている俺に幻中は優しく近付き、背中をさすってくれた。

いやまあ、俺がむせている理由は幻中に有るのだが。


「ゴホックブッ......収まった」


「・・・もしかして、私の飲みさしだと言うことを知らずに飲んだのですか?」


「当たり前だろ! というか、幻中は自分の飲みさしを何故俺に渡した!?」


「・・・貴方が喉が渇いていると言ったので」


成る程。確かに正論だ。


「いや、違う! 正論だけど正論じゃねえっ!」


「・・・すみません。私の唾液が混ざったような飲み物を飲むのは嫌でしたね」


「いや、別に俺は全然良いんだけどさ! 幻中は良いのか!?」


後、唾液が混ざったとかいう生々しい表現止めて。


「・・・良い、とは? 別にお茶くらいならこの先幾らでも手に入りますし私は喉が

 渇いていません。それに先程も言った通り貴方が熱中症になったら私が困ります」


幻中は首を傾げながら言う。


「い、いや、その、お茶がどうこうの話じゃなくてさ。いや、ほら、えっと。

 色々有るだろ?」


「・・・色々、とは?」


俺の言葉に幻中はまた首を傾げる。あ、これ駄目な奴だ。


「ほら、あの、間接キスとか」


俺は言いにくそうに言った。


「・・・間接キス......あ」


幻中の顔が突然茹でダコのように紅くなる。其処に何時もの無表情な

幻中の面影はなく、とてつもなく恥ずかしそうに口を開けている。


「え、今気付いた?」


「・・・何のことでしょうか?」


しかし俺が瞬きをした瞬間、幻中の顔の色はリンゴのような赤から何時もの白に

戻っていた。表情も何時もの仮面を張り付けたような無表情だ。


「え、だって間接キス......」


「・・・知りません」


「え?」


「・・・間接キスなど知りません。どうでも良いです。貴方がそれに拘らないのなら

 私も拘りません。その緑茶は貴方にあげます。どうぞ、好きなだけお飲み下さい。

 ......少し喉が渇きましたね。一口頂きます」


無口な幻中にあるまじき早口で長文を話し、彼女は俺の手からボトルを奪い取るように

取って、ゴクゴクとヤケ酒のように俺が口を付けたお茶を飲んだ。あ、この娘完全に

開き直ってる。


「幻中......」


俺は呆れたように言う。まあ、幻中との間接キスなら悪い気はしないが。

それにしても何時も冷静沈着な幻中がこんなに感情的になるのも珍しい


「・・・上里君」


「......何でしょう」


「・・・私と貴方は間接キスなどという、よく分からない言葉は気にしません。

 私達はペットボトルを共有することにに何の抵抗もありません。良いですね?」


「あ、はい」


幻中に圧力を掛けられたのは初めてだったが、死ぬほど恐ろしかった。

本当は明日投稿しようと思ったんだけど、知人Aがまもにゃかさんを応援してくれてる

らしいので一日に二話投稿してやったぜ。

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