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前科部!  作者: 蛇猫
仮面と古傷
54/108

欺瞞

今週はこれだけになるかもしれません。


朝の校内は数え切れない声で溢れ返っている。


「昨日のニュース見たか? ヒタキンズの釜宮、不倫だってさ」


「はあっ!? マジかよ.....」


あれは、有名な芸人のスキャンダルに関する話題。


「え、アンタ井上のことが好きなの!?」


「う、うん.....夢華さんと別れたみたいだし、行けるかもって」


あれは、学校内における恋愛に関する話題。


「知ってるか? 二年の転校生のかでのなんたらっていう女子。

 眼帯してるらいぜ」


「勘解由小路、な。知ってるよ。結構有名だぞ、その話」


あれは、近頃引っ越してきた転校生の容姿に関する話題。


「雹霞はやっぱりツンデレだと思う」


「あ、あはは。確かに調月さん。何時もはクールだけど結構

 優しいもんね。前も祐也君のピンチを救ったことが有るんだよ?」


「何それ聞きたい」


あれは、自分達の知り合いに関する話題。皆、種類は違っても何かしらの話題を

持っているものだ。そして自分の持っている話題が皆の興味をそそる話題であれば

あるほど、その話題を教えられた人物は無意識にその話題を提供してくれた人物は

自分と馬が合うのだと錯覚する。つまり、人に好かれたければ大衆が興味のある

話題を大量に持っておくことが周りとのアドバンテージとなるのだ。


周りと共通であれば、人に好かれやすくなるのは何も話題だけではない。性格、口調

価値観など、殆どは周りに倣っておけば間違いない。確かに特定の物事に秀でていれば

その分注目はされやすいのだが、過度に目立ち過ぎたりマイナーな特技を持っていたり

すると、異端視される場合がある。結局、多数派の中に溶け込むのが無難なのだ。


「よ、お前も朝練か?」


自分の目の前に汗を掻きながら、笑顔で現れた自分の友人。

何時ものように多数の人間がする笑みを浮かべて彼の言葉を肯定した。


「そっか、じゃあ下駄箱まで一緒に行こうぜ」


友人は走って、下駄箱まで行ってしまった。この場合、自分も走って彼を

追いかけるのが正解だ。なんといったって彼は突発的に走り出すという行動から

暗にどちらが先に下駄箱に辿り着くかの勝負をしろ、と言っていたのだから。


生憎、走るのは好きではないが仕方がない。無駄に鍛えられた足で

彼を追うとしよう。


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