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前科部!  作者: 蛇猫
そして前科者『上里祐也』は鳥好きになった
37/108

ロスト・デマイズ・レミニセンス・ヘル


朽ちた荒野に少女が一人立っていた。周りに人などいる筈が無く

吹き荒れる砂嵐さえも彼女を置いていく。


「......疲れた」


少女は誰に届くことも無い言葉を漏らす。その言葉を誰かに聞いてほしい訳ではない。

救って欲しい訳でもない。只、自分が言葉を放つ事がまだできるという事実、

それが彼女への唯一の慰めになったのだ。そうして、少女は目的地も分からずに

歩を進める。せめて終わるのであれば人も、動物も居ない花だけが自分に

寄り添ってくれるようなそんな場所で静かに終わりたい。


「・・・・」


喉が乾いた。ついでに腹も空いた。それもその筈、もう1ヶ月も

飲み食いしていないのだ。少女がそんな状態でも辛うじて生きているのは

死ぬほど憎んだこの人外の体に有るのだろう。この体で生きれば生きるほど

この体の意地の悪さが分かる。


何処へ行っても煙たがられ、殺されそうになり、かといってどれだけ苦しみ

絶望したとしても、決して楽には死なせてくれるような優しいことは無い。

体が幾ら打たれ強くても精神や忍耐力は並みであり死にたくても死ねないジレンマや

痛み、渇望、空腹からくるストレスに頭がどうにかなりそうだった。


「......あれは」


暫く歩くと、この荒野には似つかわしくないものが見えた。

遠目に見たところ、確かにそれは生あるもののようだ。


「か、は。ああ」


少女が近寄り見てみると、それは『ヒト』であった。胸が裂けており

出血は止まっているようだが体の衰弱具合は絶望的なほど酷い。

恐らく何処かで戦い、この荒野に手負いで逃げてきて遭難したのだろう。

しかし、まだ視力はあるらしく少女の姿を見つけると『ヒト』は力無く手をあげた。


「......ん」


少女が戸惑いながらも力強くその手を握ると『ヒト』は安心したように

微かに笑った。それを見て少女はとあることを決断し『ヒト』の心臓がある

胸へと手を当てて『ヒト』の顔を窺うようにを見た。


「たの、む.....」


『ヒト』は自分の胸に少女が手を当てた意図と少女の後ろについている

蝙蝠のような羽を見て少女の意図を察し、声を絞り出した。

それに少女は頷き、次の瞬間には『ヒト』の心臓を完全に破壊した。


「・・・・」


逝った『ヒト』を見つめて少女は複雑そうな顔をする。治療は

絶望的。こうするしかなかったのだと自分に言い聞かせると少女は

静かに手を合わせた。神などという胡散臭いものを信じている訳では無いが

せめて安らかにと祈った。。そして、静かに『ヒト』の首もとに自らの口を

近づけて牙を突き立てると、静かに血を啜った。体がじんわりと熱くなってきて

次第に体を支配していた渇望と空腹が消えていく。


これこそが少女の正体。『吸血鬼』である。それに、只の吸血鬼ではない

『深紅の王』と呼ばれる、吸血鬼の亜種だ。人間からは、神敵や悪魔として

忌み嫌われ、迫害を受ける人ならざるものでもある。吸血鬼は人よりも

強く強大な力を持っており、一個体で並み以上の騎士50人を退ける能力を持っている。

そしてその亜種、深紅の王は一個体で精鋭の軍隊を退ける力を持っている。


残虐で狂暴で無法者、これらは全て自分達と姿形が違い、自分達以上の

力を持つ吸血鬼達を憎み人間達が作り上げたイメージだ。実際は個体差こそあれど

全体的に温厚な種族であり、名前の由来になった『吸血』とは彼らが進化のうちに

独自に獲得した、あくまで一つの栄養補給の方法だ。しかし、そんなことは

露知らず、吸血鬼達を悪と断じた人間達は兵器や戦争レベルの戦いを挑み

吸血鬼という種族は絶滅に陥ってしまった。


「......ありがとう」


吸血を終わり、すっかり回復した少女はそう言って人の亡骸を

手にもったまま勢いよく背中の翼で飛んだ。先程、吸血鬼にとって

吸血は悪魔で栄養補給の一つの方法だと紹介したが、吸血鬼の体には

独自の器官が備わっていて、血を効率よくエネルギーに変えることが可能なのだ。

乾きと飢えでとてもじゃないが飛べそうにも無かった少女は一人の人間の命を

犠牲に再び空へと飛ぶことが出来た。


「......北」


少女は自らの命を狙う人間が追ってきている南の反対方向へと

行き先を決めた。その間、飛翔しているのを人間に見付かる可能性は

あったが、なんとか緑豊かな草原地帯へとたどり着いた。


「......よいしょ」


少女は大きめの穴を掘り、抱えていた亡骸をその中へ丁寧に置いた。

本当は自分のような人外に埋葬されることなど望んでいなかったと思うが

他の人間に呑気に渡しにいけば殺される危険さえある。なんとか、妥協してもらおう。

棺桶の類いは無かったので、大きな葉や花で体を覆い、埋めるとその上に

山の一部をを砕いて手にいれた岩を土の上に乗せて、出来の悪い墓を作った。


「ゆっくりと、眠って」


少女はもう一度手を合わせて神ではない何かに祈ると再び北へと飛んでいった。

北には多種多様な趣味や人種を認め、差別を無くすことを目標にしている移民から

成り立った国があった筈だ。もしかしたら、自分のような人外でも、もう少しマシな

扱いをしてくれるかもしれない。そんなことを思いながら更に飛ぶ。山を一つ、

二つと越えていき、湿地帯を抜けて、森林の上に着き夜になり月が上った頃には

少女はだいぶ疲労していた。一度、地上に降りて休憩をしよう。少女がそう思い

羽を止めた時だった......。


「っ!?.....」


風を切るような音と共に少女の背中に痛みが走った。

羽が痛々しくも千切れて、哀れにそのまま少女は落ちていく。

地面に落ちると、また激しい痛みが襲い体全体に衝撃が走った。


「うっ。はあっ......はあ」


少女が背中を触ると、木の杭のような物が体に刺さっていた。


「んん、うっ! くう......」


言葉にならない叫び声をあげながら、少女は杭を抜く。

抜いた杭には酷く血がついており、自分がどれ程の傷をおったのか

見えない背中のことだが想像は容易だった。


「ふっ、気持ちの良いほど綺麗に落ちましたね。

 惜しむらくは、心臓は衝けなかったことですが......」


すると、少女が落下した森林の何処かから声がした。


「......誰?」


少女がそう聞くと丁度、少女の死角になる木の裏からさっと

祭服に身を包み、左目に眼帯をした青髪の青年が姿を表した。


「何故、吸血鬼等という神敵に神の使いである私が

 名乗らなければならないのですか?」


張り付いたような笑顔で青年は答える。


「神の使い......聖職者。分かった。自己紹介ありがとう」


少女が無表情でそう答えると、青年は顔を僅かにしかめた。


「やはり、吸血鬼に杭が効くのは本当のようですね。弾薬の節約に

 なって丁度良いですよ。私たちにおいて節制は美徳なのですから。ん?」


青年がそう言い終わり、少女を見ると其処には先程まで

喘ぎ苦しんでいた少女が消えていた。


「っ、後ろか!?」


「正解」


少女の声と共に青年は強い衝撃を受け、後ろの気まで吹き飛ばされた。


「がはっ......王国の騎士がかなり手負いにしたと言っていたので

 悠々と飛んでいたのは可笑しいと思いましたが......やはり。

 道中で人を食いましたね? 幾ら再生能力に優れた吸血鬼、それも深紅の王

 と言えども血液無しでそこまで回復できる筈がありません」


「貴方みたいにペラペラと自らの手の内を話すほど馬鹿じゃない」


少女は無理やり修復した羽と体を動かし、空中で戦闘体勢をとる。


「ええ、どうせ貴方はこの場で死ぬのです。あなた以外に有益でない情報を

 話して何が悪いのでしょうか? 今まで貴方とその一族が食ってきた

 人間の数を数え、神の元に消えなさい」


何処かに隠れているであろう、聖職者達が四方八方から木の杭を

少女に向けて放った。


「この言葉を何度人間に言ったのか、覚えてないけど.....吸血鬼は自分から人を

 襲ったりしないし、仮にそうだとしても生きるために血を吸うんだから

 野菜や肉を食べる貴方達も生物を食べてることに変わりない。人が肉を

 食べるのは罪じゃないけど、人を食べるのは大罪って......随分人間に

 とって都合の良い神様じゃない?」


少女は早口でそう言いながら、木の杭を全て避けた。

先程の傷を無理やり治したのが引っ張っているのか思うように力が出ない。


「我が神を侮辱するとは......本当に罪深い吸血鬼ですね」


怒りを通り越して悲しそうに青年は言うと、手から青い炎を出した。

その炎は蛇のような形をとって逃げる少女を追尾する。


「あ......」


少女がそう言葉を漏らすと、少女の真っ正面から杭が向かってきた。

咄嗟のことに体が動かず、そのまま杭は少女の左目へと突き刺さった。


「ふふ......」


青年が怪しくそう笑うと、蛇の形の青い炎が少女に接触し瞬く間に少女の

体を焦がしていく。


「かはっ......げほっげほっ.....」


左目から大量の血液を吹き出しながら、体を焼かれ少女は喘いだ。

体をどうにか修復しようにも力がでない。


「王手。蒼き神の焔、『聖炎』は吸血鬼を初めとする再生能力の強い

 悪魔を再生不能にする効果があるのです。まさに、死に抗う愚かな悪魔を

 消すための神の焔! まあ、追尾速度は遅いのですが今回のように必死に逃げようと

 して隙が多くなったところを突けば問題ないので些細なことです。いやあ、この焔の

 開発には時間がかかったのですがね? これで世界に未だ根付く害虫。吸血鬼を

 根絶やしに出来るなら安いものです。おや、もしかしたらもう聞こえてませんか?」


青年の考えた通り、青年の言葉は少女には届いておらず

ひたすら吹き出る血と、灰になっていく体に悲鳴をあげていた。

痛い、苦しい、助けて、人間でも、悪魔でも、神でも、怪物でも何でも良い。

そんなことを思いながら、少女は叫ぶ。つい、さっきまで死にたいと思って

いたことなんて忘れて生へと執着した。嫌だ、この思考を途切れさせたくない。

せっかく、あの人間に貰った血を無駄にしたくない。どんな形でも良いから

化け物になってしまったって良いから生きていたい。


助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて

生きたい生きたい生きたい生きたい生きたい生きたい生きたい生きたい生きたい

死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない

やめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろ

ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい

そうだそうだそうだそうだそうだそうだそうだそうだそうだそうだそうだそうだ

私は私は私は私は私は私は私は私は私は私は私は私は私は私は私は私は私は私は私は。


「......死にたく、ない」


―――少女がそう呟くと、辺りに大きな風が吹き荒れた。


「なっ......」


竜巻が起き、驚いた動物達が一斉に逃げ出し、木に隠れて

木の杭を撃っていた聖職者達も吹っ飛ばされた。青年は自らに強い力を

纏ってどうにかその場の土を踏み込み土はされるのを防いだが、それでも

驚きを隠せなかった。


「......此処は」


少女が気が付くと、周りの木は無くなっており辺りを見渡すと

少女を中心とする半径20メートル程のクレーターが出来ていることに気付いた。


「ば、化け物......」


青年は思わず、声をあげる。


「さっきも悪魔とか言ってたし、対して変わらなくない?

 ......え?」


そう言いながら自らの体を見ると、あまりの変わりように少女も驚いた。

左目は少女からは治っていることしか分からないだろうがそれだけではなく

元は紅葉色の少女の瞳は海の様に深く青い色に変わっていて、背中の羽は黒い

蝙蝠のような羽から、夜を連想させる巨大な青薔薇のような青色に変わり

縄が絡まったような不可思議な模様が浮き出ている。おまけに髪色は元の金色から

色が抜けたような灰色になっていた。少女の体は先程とは別物になっていたのだ。


「じゃあ......続き、する?」


「あ、あ。神よ......」


少女がそう言って青年を見ると、少女の青い瞳を見た青年は

譫言のようにそう呟き急に倒れてしまった。見る限り死んだ訳では無さそうだ。


「・・・・」


少女は青年をどうしようかと少し考えた結果。青年が着けている

眼帯を剥がした。剥がしたところ青年は目に特別怪我をしていた訳ではなく

少し痛々しい傷跡があるだけだったので、青年が外見を目的として

着けていたのだろうと少女は考え、躊躇いなくその眼帯を左目に着けた。

何故かは分からないが本能的に先程青年が倒れたのは己の左目を見たからだと

少女は感じたのだ。そして、理由無く人に危害を与えてしまうのは少女としても

耐え難いことだった。


青年は気絶しているだけで後、2時間もすれば目を覚ますだろう。

それに先程、飛んでいった青年の仲間の聖職者達もあまり酷いケガは

負っていない。何故か気絶しているだけだ。その様子を見て少女は彼らを

放置していくことを選び、妖しく光る青い翼を広げて夜へと消えていった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「あの、祐也? 俺達は今何を聞かされているんだ?」


「何時ものやつ」


謎の吸血鬼物語を聞かされて、反応に困っている親父に俺は言う。


「徹也が私の生い立ちを聞きたいって言うから......」


「言ってない」


真顔で親父は答える。遡ること20分前、お祭り好きの親父が

俺が前の学校にいた頃の知り合い、勘解由小路(かでのこうじ)雪加(せっか)と久し振りに

会ったからと言うことで、家に呼んで一緒に夕食をとっていたのだが......。


「なあ、勘解由小路さん。その眼帯。新しくしたんだな。

 この前は逆十字が描かれてる奴をつけてたが......」


「......もしかして、私が眼帯を着けている理由を聞きたいの?」


「いや、アンタが眼帯着けてる理由は知ってるから。

 只、新調したんだなって......」


「そんなにも聞きたいのなら、聞かせてあげる。

 この眼帯をつけることを定められた私の過去を......」


「いや、良いから。どうせ、また拗らせたことを......」


「そうと決まれば、テーブルに座る。早く」


「いや、ちょ......はい」


という流れで、語りたくてしょうがなかったコイツは

親父とついでに俺を無理矢理話に付き合わせていたのだ。


「私の眼帯は人を無闇に傷つけないために、着けている。分かった?」


「あ、はい。分かりました」


親父は棒読みで言う。


「俺に関しては昔、聞いたんだがな......」


因みに、コイツの話に出てきた死にそうになったときに覚醒して復活した力は

絶対権限(アブソリュートスキル)』と呼ばれる力の一つ『強欲(マモン)』の『憧憬の正体』

という能力によるものらしい。俺はコイツの言っている世界観は

良く聞かされていたので多少の知識ならある。


「それにしても、勘解由小路さん。会うのは久し振りだな。

 祐也は毎日、引っ越す前会ってたからそこまでだと思うが」


それは違うぞ親父。


「いや、転校した方の学校で色々有りすぎて体感半年くらいたってるから

 俺も滅茶苦茶久し振りに感じる」


実際、どんなトラブルがあったのか多すぎて一つ一つ思いださないと

すぐに浮かばない。


「祐也、ちょっと変わった?」


「ん? そうか?」


俺の言葉に雪加は頷いた。


「うん、何か疲れた感じがしてる」


「ああ、それは多分あれだ。新しい学校が色々と疲れるからだ。

 お前もこっちの高校に来るなら覚悟しとけよ?」


前の学校よりも全体的に軽薄ないかにもパリピ、みたいな奴が多い。

それも、結構害悪な。


「ははは、コイツ少し前には財布泥棒の冤罪をかけられそうに

 なったんだぞ? 俺も、その学校は敬遠する」


「誰がその学校に息子を入れたと思ってるんだよ......」


「俺」


ウゼェ......。


「そういえばお前は部活何処にするとか決まってるのか?」


「祐也と同じところ」


「ワオ、即答だな」


さっきから滅茶苦茶親父、うざいんだがしばいても良いか?


「となると、自然観察部か......」


少し心配な気もするが、コイツのことを考えると

逆に親切な人の多いあの部活は適している気がした。


「あの事はもう、学校に言ってあるのか?」


俺の質問に雪加はコクリと頷く。


「一応、教師全員で何かあったらサポートしてくれてそれでも、問題が

 あれば入れ代わりでサポートの教師を付けてくれるって......」


「なら、良いか。一応、向こうでも何かあったら言えよ?」


俺は少しばかり心配して言う。


「大丈夫。基本的に一人で大体のことは出来るし」


「そか」


俺がそう答えると、雪加は時計を見て口を開いて


「もう、結構良い時間。あまり、長居は出来ないからそろそろ帰る」


と、言った。確かに時間は8時前だ。


「お、そうだな。一応、勘解由小路さんの家は教えてもらってるから

 ちゃちゃっと車で送ってくるわ」


親父は釣られて時計を見るとそう言った。恐らく、会社で

コイツの父親に聞いたのだろう。


「ありがとう。徹也」


「や、全然大丈夫だ。それじゃあ少し送ってくるな、祐也」


親父は鍵置き場から車の鍵を取って言った。


「おう。じゃあ、雪加。またな」


「うん、祐也。さよなら」


雪加はそう言い残すと、親父と一緒に外へと出ていった。

先程まで、大変うるさ......賑やかであったこの場所はとても静かになり

俺は大きく息をついた。


「はあ......」


まさかのアイツが引っ越してくるとは思わなかった。

確かに、幼なじみが引っ越した先の学校にいるシチュはラブコメあるあるだが

まさか、それに出くわすとはな。いや、アイツを幼なじみと言えるかは

甚だ疑問であるが。幼なじみというのはどのラインからなのだろうか。


特にこのままダイニングにいる必要も無いので、俺は自分部屋へと帰った。

アイツが俺の家を探検していたとき、唯一入れなかった場所だ。

やはり、気心知れている中といっても引きこもりにとっての絶対領域だ

自分の部屋へ入れるのは躊躇われる。


「......これも、本人が来たからには絶対守るしかないよなあ」


そう言いながら俺はこの前、アイツに貰った謎の鉄則が書かれた紙を見る。


「『1.毎日11時までには寝て、朝は7時前に起きること

  2.栄養管理をきちんとして、菓子類を食べ過ぎないこと

  3.勉強の予習、復習はきちんとすること

  4.学校ではきちんと授業に取り組むこと

  5.祐也は祐也らしく生きること

  6.絶対にいつか私に会いにくること

  7.六番は私が会いに来たから、もう良い。これからも宜しく、祐也』」


・・・・・。


「『7.六番は私が会いに来たから、もう良い。これからも宜しく、祐也』」


なんか追加されてる!? アイツ、いつの間に俺の部屋に入ったんだ!?

てか、大事に額に入れてたことバレたじゃねえか。ヤバい。

恥ずかし過ぎる。クソ何で俺、忘れていたんだ。アイツはこういう

変なことをする奴だって......静かな部屋にただひたすら、俺の言葉にならない

叫び声が響いていた。


混乱したかい? 狙い通りだよ。

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