転校生
教室が騒がしい。騒いでいる連中の話を聞く限り、今日は転校生が来るらしいい。自分がこの学校に入学してから転校生が来たことは一度もなかった。まあ、だからと言って興味が有るかと聞かれたら無いが。そう思いながら隣の無人の席に目をやる。
このクラスは全員で43人。つまり、必然的に誰かが一人席になる。そして、席を決めるのは教師ではない。生徒が話し合って決めるのだ。 このクラスで唯一、周りから嫌がらせや無視の対象とされている自分が一人席になるのは当然の摂理と言えよう。
しかし、新たに転校生がやってくるとこのクラスの生徒数は44人になる。余りが出なくなるのだ。私は自分の横に座る事になるであろう転校生を哀れんだ。自分の横の席に座るなんて、いじめの対象とされても文句は言えない。例えそれが転校生だったとしても。
容赦無く、理由も無く、そういった事を平然とする。奴等はそういった生き物だ。それから暫くすると、チャイムと共に教師が入って来た。
「もう噂が広がっているようだが、今日は転校生が我が学校にやって来た。では、入って来てもらおう」
生徒達が騒ぎ立てる。
「女子か? 可愛いといいなあ」
「残念ながら噂では男だってよ」
「ねぇ イケメンかなあ?」
「んー、どうだろう? あれ? でも、転校生が来るってことは、一人席なくなるんだよね。ヤバくない?」
「どういうこと?」
「鈍感ね。転校生クンはアイツの横の席に配置されるってことよ」
「あ! そっか! うわ、かわいそ」
そんな風に教室が騒めいていると転校生とやらが入って来た。男としては少し長めの黒髪に175cm程の身長。決して良くはない......言い方は悪いが、腐った目を除けば整った顔をした少年だった。
「ども、転校して来た上里祐也です。自己紹介は......特に無いです」
「本当に自己紹介、無いのか? 何でもいいか
言って欲しいんだが」
上里祐也と名乗った少年に担任の教師は慌てて尋ねた。それもその筈、少年が『特に無い』 と言った瞬間、教室は騒めき始めたのだ。彼は恐らく『いじめ』と呼ばれるものに出会った事が無いか、いじめられても平気な人間なのだろう。
「じゃあ......まあ、勉強で言うと、生物が好きです。よろしくお願いします」
「すいません 俺 何処座れば良いですか?」
雑な自己紹介に文句を言う声も聞こえる中、彼は顔色一つ変えずに聞いた。
「ああ、ほら其処。一番後ろの列の右の隅、幻中の横だ」
教師は私の横の席を指で指す。
「分かりました」
やはり、彼の隣は自分になるらしい。あの様な自己紹介をしたのだ。あまり良い印象を皆に与えてはいないだろう。おまけに彼は自分の横の席になるのだ。何らかのトラブルになる未来しか見えない。
「はあ......」
こうなれば彼の為にも、彼とはあまり関わらない方が良いだろう。まあ、彼も周りと馴染んで、私を虐げてくる可能性はあるが。そうなったらその時だ。
毎回文字数変わってしまいすいませんw




