自然観察部
「その......先輩」
「どうした? めぐめぐ」
「めぐめぐは止めて下さい」
俺の後輩がお怒りである。
「先輩って最近、ボクの扱いどんどん適当になってませんか? これでもまだ
出会って2週間も経って無いんですけど」
小戸森はただでさえジト目気味な目でジトーと見つめてきた。
「小戸森は何となく接しやすいと言うか、弄りやすい気がするんだよ。それで
気が付いたら、なんか遠慮が無くなってた感じだな」
「もしかして、ボクのこと。馬鹿にしてます?」
「ばっか。お前が特別そう言った魅力が有るって褒めてるんだよ。コミュ障の俺が
此処まで遠慮無く喋れるのはお前ぐらいだからな?」
実際にアイツと家族を除けば今までの人生の中で一番遠慮無く話せる相手だ。
「まあ、そういうことなら悪い気はしませんけど......」
小戸森は少し顔を紅くして呟いた。
「んで、なんか俺に用があったんじゃねえの?」
「ああそうです、そうでした。向こうの方に大きな鳥が居るんですけど
何か分かります?」
そう、小戸森の言葉からも分かるように俺達は今、絶賛自然観察中だ。
今は川の近くで観察をしている。
「ん、ああ。あれはアオサギだな」
結構何処にでも居るサギだ。
「全然青く無いんですけど」
確かにアオサギの羽の色は白と灰色と黒で構成されていてとてもではないが
青色が有るようには見えない。
「昔の青は今よりも幅広い色を表す言葉だったらしいからそれでじゃねえの?
知らんけど」
「成る程。じゃあ早速、あのノートに書きましょうか」
「了解」
俺は小戸森にそう返事をすると、『自然観察記録帳』にアオサギの
発見場所と行動を書き記して置いた。
「取り敢えず、幻中達に新しい生物を記録出来たってことで報告するか」
「そうですね」
小戸森は俺がそう言うとテンションを下げてそう言った。
「お~い。また新しく記録出来たぞ」
俺は手を振りながら、少し遠くに居た幻中達に言う。
「流石私のクラスの生徒だな」
「また見つけたんだ。祐也君凄いね」
「いや、見つけたのは小戸森ですよ」
俺は先輩にそう言って、俺の後ろに着いてきていた小戸森に目をやる。
「小戸森さんも凄いね」
「......どうも」
小戸森は先輩に目を合わせずにそう言った。
「よし。それじゃあ、そろそろ昼食にするか」
俺がまたもや自然観察部の部員達の溝を痛感していると、先生が唐突に声を上げた。
「食べる場所とかって決まってるんですか?」
流石に川沿いで食べるのは嫌なので念のために聞いてみると
「ああ、宿屋の近くに木の椅子と机が置いてあるスペースがあるから其処に移動する」
「それって貸しきったりしてるんですか?」
貸しきっていない場合、座れない場合も有ると思うが。
「勿論、貸しきっていないが?」
駄目だコレ。
「んじゃあ、急いだ方が良いんじゃないですか?」
「そうだな、あまり人は居ないみたいだが、念のために急ぐか。お前ら行くぞ」
先生は頷くと、少し早く歩き始めた。意外に呆気無かったが、自然観察前半戦終了だ。
というか、俺的には自然観察よりも今日の夜のことが気になって仕方がない。いや
別に期待的な意味ではなくその逆だ。女子と寝たことなんて......無いわけでは無いが
アイツは例外みたいな物だ。
普通に女子と寝ることは本当に初めてなので何が起こるのかが恐ろしい。主に恥ずかしさ
的な意味で。まあ、こうして憂いでいても仕方がない。今からは昼飯らしいので、芋天を
小戸森に食べさせるのが楽しみだ。そう考えて俺も先生に続き歩き出した。
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