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前科部!  作者: 蛇猫
前科者が集う部活
15/108

『進化』と『進歩』


「生徒......会長?」


「はい、岬川高等学校の生徒会長です」


「その、息子とはどの様なご関係で? まさかお金を借りていたりは......」


 自分の息子をなんだと思っているのだろうか。


「あはは、違いますよ。転校生の祐也君とは最近、知り合っただけのただの友達です」


「ちょっと、おい、祐也。こんなに可愛い先輩の知り合いを作ってるなんて聞いてないぞ」


 本人は耳元でヒソヒソ喋っているつもりなんだろうが、先輩と単純に距離が近いのと、親父の声がそもそも大きいのとで先輩には丸聞こえである。その証拠に先輩、少し苦笑いしてるし。


「別に言う必要無いだろ」


 俺がそう言うと二人は重ねて


「「可愛いは否定しないのか(しないんだ)?」


 駄目だこれ。やっぱり、この二人、混ぜるな危険だ。気を紛らわせようとハンバーガーにかぶりついても、味がしない。早くこの状況から脱さねばと本能が言っている。


「芦原さん、生徒会長と部長を兼任してるんだろ? 大変だな」


「いえいえ、そんなことありませんよ。ウチの部活、部員が少なくて廃部の危機にあったような、こじんまりとした部活なので」


「そっか。精々、好きなだけ祐也をこき使ってくれよ?」


 ふざけんな。


「あはは、分かりました。これからは祐也君を使わせて頂きますね」


「おい、祐也も黙っていないで何か言えよ」


 親父は笑いながらそう言ってきた。この男、絶対俺が苦しんでいることを分かってて言っただろ。祟ってやる。末代まで。あ、末代俺か。


「別に話す事とか無いし」


「すまん。こんなコミュ障の息子だが、仲良くしてやってくれ」


 こんな奴とは何だ。こんな奴とは。


「はい。祐也君とはこれからも良くさせて頂きます」


「はああああっ......」


 俺は鬼のようにデカい溜息を吐いた。


⭐︎



 それからも先輩と親父は気が合ったらしく長々と喋っていた。そして、その間、ずっと俺は恥ずかしさと気まずさに悶えていた。


「あ、見たい映画が始まるのでそろそろ失礼します」


 不意に立ち上がった先輩が俺と親父に告げた。時刻ら1時。食べ始めたのが12時前だったのを考えると、かなりの時間が経っていた。


「この、ショッピングモール映画館もあったんですね」


「うん、4階にね。じゃあ、失礼します」


 先輩が親父にペコリと頭を下げ、俺に軽く手を振った。


「じゃ、バイバイ、祐也君。また月曜日ね?」


「あ、はい。さようなら」


「ああ、またな」


 俺と親父がそう言うと、先輩は手を振りながらエスカレーターの方に行ってしまった。


「行っちゃったな」


 親父が少し寂しそうにアイスコーヒーを飲みながら言った。


「ああ、行ったな」


 対する俺は緊張と気まずさから解放された事もあり

、非常に脱力していた。


「うし、そろそろ帰るか」


 親父がコーヒーを一気に飲み干し、俺に言った。


「了解」


 すると、その道中、駐車場へと歩きながら親父が


「お前、良い友達に恵まれたな」


と何やら、感慨深そうに言ってきた。


「先輩の事か?」


 俺が聞くと親父は『ああ』と頷いた。


「性格も良さそうだし、フレンドリーだし、おまけに生徒会長で可愛い。ギャルゲーの主人公か何かか? お前は」


 ギャルゲーならもっと学校生活が円滑に進むはずなんだが。


「あのな、俺は転校生でありながら知り合いも殆ど居ないし、クラスの奴らにすら、声を掛けられたこと無いからな」


 しかも最近、調月と険悪になったばかりだ。


「まあ、予想はついてた」


「俺がクラスで孤立するだろうと?」


「ああ」


「酷い予想だな」


 事実だが。


「お前もそうは言うがな実の所、そこまで傷付いてないだろ?」


 親父が見透かした様に言ってくる。


「まあな。前の学校でも似たような物だったし。元々、群れるのは苦手だ。そりゃ、本当に仲の良い相手とたくさん付き合うなら良いけどさ。如何に空気を読んで周りに合わせるか、如何に孤立しないようにするか、そんな事ばかりの関係に自ら飛び込もうとは思えない」


 うまく立ち回り、巧みに駆け引きをしなければそこに残れないのなら、わざわざそんな場所に居る必要などない。すると、急に親父は立ち止まった。幸い、人通りの少ない道だったので邪魔になる事は無いだろう。


「お前.....強いな」


 そして、立ち止まった親父が発した言葉は予想外の物だった。


「はい?」


 俺が強い? ......そりゃあ弱者を極めすぎて逆に強いかもしれないが。


「......俺に守れなかった物をお前になら守れる気がする」


 意味不明だ。


「親父、マジでなに言ってるんだ?」


「祐也、お前はお前のままで居てくれよ。頼む」


 意味が分からない。


「いや、だから何の話......」


「俺が言いたいのはそれだけだ」


 親父は俺の質問を遮る様に言う。思わせ振りな発言

しときながら、自己解決するって、一番嫌なやつだと思うの。


「人間の価値観や考え方なんて常に変わる物だろ。そのままでいるなんて無理だ」


 勿論、その『進化』が『進歩』に繋がるかは別だ。生物学的に言っても進化なんて有利にも不利にもならない『中立進化』が殆どだっていう説も有るし、人間の変化だって似たような物だ。


「常に変わる、か」


 親父は何故か、俺の言葉を聞いて寂しそうに笑っていた。

ポイントが15になりました!

遅れましたが評価してくれた方本当にありがとうございました

そして、感想を書い頂いた方にも心からのお礼を言いたいです

良い点を更に生かせるように 指摘された点を治せるように

頑張っていくのでこれからもよろしくお願いします

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