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第弐話 皇帝

第弐話 皇帝



辺り激しく光った途端、さっきまで富樫が見ていた光景は一変していた。

気品があり奥行きが広がるドデカイ部屋、周りを取り囲む騎兵達…そして極め付けが高貴な衣装を身に纏ったこの老人だ…。


(絶対王様だろこいつ…。)

「で、どうかね? この話は悪くないであろう。この国の領地がすべて手に入るのじゃぞ。」

「いっ…いやぁその。」


富樫は苦い顔をした。

しかしこの王はなかなか引き下がらない…。


「お…お願いしますっ‼ 領地を譲り受けてください‼」


王なら重かろう頭を何の予兆もなく下げた。

それはもう綺麗な下げっぷりである。


「あっ…あの……受けますっ。その願い…受けます。」

「え、本当かい?」


王はキラキラした目で頭を上げた。

それはまた綺麗にサッと。

しかし富樫も半ば強制的にこうなっているわけで、完全に納得しているわけではない。

「受けますけれども、その前にこの国の政治や近隣諸国について詳しく教えていただけるとありがたいのですが…。」

「あぁ、そんなことか…全然いいよ。」

「いいんですか?」


富樫は驚いた。

これから王になるとはいえ、どこぞの馬の骨とも分らぬものに国家機密などを教えていいのか? と思ったたからだ。


「情報を伝えるだけなら良しとしよう…。この前の転移者なんか儂の娘を寄こせという始末じゃ。まっ、そいつも始末したんじゃが…君の物分かりがよくて助かったよ。」

「あっ、あの~、僕は何番目の転移者なのですか?」

「三十七番目の人間であろう。」

「ええええ⁈」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

富樫は城の書斎(自室)で資料を見ていた。

さっきの会話の後、かくかくしかじかがあってこの国の詳細は良くわかった

まず初めにこの国の名はサリエール王国という。

北には強大な兵力を誇るエリジア大公国。

西には広大な土地と天然資源で栄えるオウェリナ大帝国。

南には不戦を唱え、独自の文化でにぎわうジパルシン国。

東には漁業で多大な富を築いたグラミィ共和国

そのちょっとの間に海がある。

要するに列強諸国に囲まれた危機的状況なのである。

次に法である。

この国には憲法しか存在しないらしい。

正直これには驚いた。

しかし意外と治安はいいのだ。


「ふーむ、国民性ってやつかな。そもそも憲法が厳しすぎるだけかな。」

(この憲法じゃだめだ。枝分かれしすぎてよくわからない。もっとこう、憲法とは別になる法律を作らないとな…。)


しかもこの国意外と重税なのだ。

ここらも整備対象にしなければならない。


(トントントン)


富樫が集中しているときに書斎のドアをノックしている音がした


「ひっ…」


富樫は自分が撃たれて死んだ時のことを思い出してしまった。

過去の恐怖やトラウマがフラッシュバックすることで人間の精神とはこうもあっさりと捻じれてしまう。


「だっ、誰ですか?」


富樫の手足はがくがく震えている。


「はっ、はい私はこの国で宰相をしておりますエリゼと申します。」

「どっ、どうぞお入りください。」

「失礼します。」


扉が開くと髪が長く眼鏡をかけた美男子が入ってきた。

富樫には新たな出会いである。

皇帝トガシモミジの物語は未だ序章にすぎなかった。


第弐話はいかがだったでしょうか?

法や経済などでいろいろと悩みつつこの話を書いています。

ともあれ第参話は楽しみにしていてください。


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