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第十伍話 迷彩

今現在、俺はエリゼと一緒に軍事施設を回っている。

サリエール帝国 陸尉空軍技術団 武装技術本部 製造科


「よくぞお越しくださいましたトガシ様。」


陸上軍大臣オルゴが新作の軍服を身に纏って出迎えた。


「久しぶり。作業の進捗はどうだ?」

「はい、順調に進んでおります。メイジ様の提案であるメイサイ? とやらは完成いたしました。」

「もう完成したのか?」

「はい、あと半年ほどあれば第一、第二、第四師団へのメイサイ服の配布が完了します。」


※第三師団に迷彩服が回らぬ理由は第三師団管轄の領土東側の事実的戦力が海軍であること。領土西側の海軍軍人の人口は優に二万を超える。故に陸上迷彩よりも海上迷彩の需要が高いのだ。

此処に目を付けた陸海軍武装技術本部、陸海軍予算企画会が第三師団専用の戦闘服二型を開発した。

色と点が細かくないことから低コストなのだ。

デザインは天鵞絨びろうど海松色みるいろの二色迷彩だ。

天鵞絨は暗い青味の緑で海松色は茶みを帯びた深い黄緑色と考えてもらって構わない。

とまあこんな形で第三師団に一般的な迷彩服が回らない理由でした。


「トガシ様…メイサイとは果たして役に立つのでしょうか? 我々は国民の血税で仕事をしています。ここでメイサイが役に立たないことが解れば即座に生産を中止することになってしまいます。」

「心配はいらない。オルゴ、ちょっとついてこい。」


数十分後、俺はオルゴとエリゼを連れて森に入った。


「こんな森に何かあるのですか?」

「ああ十分に。」


エリゼとオルゴはちょっと不気味そうな表情をしている。


「今、お前らの半径百メートル以内には陸軍第一師団から五十人ほどが此方に銃口を向けているぞ。」

「…此処には私たち以外いないではありませんか…。」

「それはどうかな?」


僕はそう言った途端挙げた手を振り下ろした。

すると。

ドドドド、タタタタ、パパパパパとライフル銃の銃声が辺り一帯に響き渡った。


「なんだと⁈」


オルゴが驚いた顔をしている。


「これが迷彩だ。基地内では目立つがこのような森の中ではほぼ気づかれることは無いんだよ。」

「なるほど! これで私の疑問も解けました。」


正直喜んでいいのかはわからない。

俺らは今、人を大量に殺す準備をしているのだから。

オウェリナ帝国内の緊張も現在は何とか持ちこたえている状態だ。

時間はまだある。

オウェリナ主戦派との開戦予定まで残り約半年。

なるべく犠牲は少なくしたい…というよりこの戦争自体を絶対に回避させたい。

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