第十弌話 救済
第十弌 救済
「いっ……。 何だ?」
「ちょっと失礼しますねぇ。」
教会の天窓から光が差し込む中でクニカロの目は心の無い黒目をしていた。
光も感情も何もなく只々真っ黒だ。
「何をしているんだ⁈ クニカロ!」
「ヒヒ」
クニカロが不気味に笑った途端に手ぶらだったクニカロの手に大きく黒い大鎌が出てきた。
持ち手も鎌も黒く刃は錆びて劣化していてほんのり赤い。 (血だろうか…)
「このっ…」
富樫は腰のベルトから拳銃を取り出した。
「五月蠅い。」
富樫の視界は赤く染まった。
痛みも何もなく「プチッ」という音がした。
「貴方を生き返らせたように生を司るということは死も司るのです。 それは平等に時に不憫に…。」
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「うわぁぁぁぁぁぁ⁈」
「やっと起きましたね。おっそ…」
クニカロが真顔でそう言った。
心なしか目に光りが蘇っていた。
「ん? ここは…」
富樫が初めて死んだ時の花園だ。少し先にはあのガゼボが見える。
何故か木が一本生えていた。
目がパッチリと開いた富樫はいきなり飛び起きた。
「あの木、貴方が創ったんですよ。」
「はっ? 何だよ…って痛っ。」
「あぁ首、今繋がったばかりなので激しく動くと」
「動くと?」
「落ちますよ地べたに。」
「はぁ⁈」
「そんなことより木のことなのですが…」
クニカロ木のことについて話し始めた。
「貴方の政策で潤った民や財力が植物に変化して天界にも影響するのです。」
「つまり何をしろと。」
富樫が尋ねた。
「つまり…幻想世界に森を作ってください。」
「はっ…」
「名目です。貴方にスキルや魔法を与える時には任務も一緒に与えないといけないのです。」
「は? 何を言っているのか…何のために俺を殺した。」
富樫は目を細めてクニカロをギロリと睨んだ。
血の気も失せる赤目だ。
「その目…まさか…」
クニカロはいきなり慌てだした。
本をあさったり、ジッと考え込んだりして。
「すみませんでした。」
「謝罪はいい、それよりなんで殺した?」
「いやそうじゃなくて……」
「どうした?」
「貴方、人間じゃないよ…」
「はっ?」
「貴方、魔人です。」
「魔人?」
「あ、時間だ。そんじゃね~」
「あっちょ…待て~」
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「ここが教会ですか、素晴らしいですねトガシ様。」
「エリゼか?」
「なんですか?」
「なんか、目の前が赤いのか、普通なのか…」
「トガシ様⁈ 左目が赤いです。」
「はっ?」
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「お待たせ致しましたねオウェリナ皇帝。お初にお目にかかります富樫紅葉です。宜しくお願いします」
「こんにちはトガシ君。その眼帯はどうしたんですか?」
「いやお気になさらず…して要件は何でしょう?」
「あぁ単刀直入に言います、オウェリナを救って頂きたい。」
GOMENNASAI。