第玖話 出発
第玖話 出発
「リズリ―、サリエール王国…いやサリエール帝国に使いを出してくれ。」
「了解しましたオウェリナ皇帝。して交渉の内容は?」
「サリエールとの軍事同盟。あとトガシ君にも会いたいよなぁ。」
「それは我が国にトガシ様を招くということですか?」
「いや向かうのさサリエールへ。」
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富樫は自室のソファーで仰向けになりながら資料を読んでいた。
(今更だけど、文字日本語なのな…。最近忙しすぎて気づなんだ)
「ねえエリゼ、この国って外交とかどうなってるの?」
「外交ですか? 我が国は現在グラミィ共和国と協商同盟を結んでいます。」
「オウェリナとは?」
「オウェリナ大帝国とは先の戦争以来、国交は結んでおりませんが…」
「が?」
「はい…トガシ様がサリエールに召喚される少し前にオウェリナで軍事クーデターがおきて新らしい皇帝が即位したんです。」
「名は?」
「そういえば聞き及びませんね…。
エリゼは首を傾げた。
話を聞くと新皇帝は自身をオウェリナ皇帝と称しているらしい。
オウェリナ皇帝は軍人だったので詮索もし難いらしい。
「へ~。大変だ~」(暇だ…)
「すごい棒読みです。トガシ様。」
「そうだ、教会行こう!」
「は? いきなりどうしたんです?」
「教会へ行こう!」
「だからいきなりど、」
「教会へ行こう‼」
「はぁ…じゃあ今日の公務はここで切り上げましょう。いま馬車を手配しますので少し待ってて下さい。」
「いや、馬車はいいや。多分屋敷の裏にパトカー停まってるし。」
「はあ…パト?」
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サリエール宮殿の裏側、外苑の端にパトカーは停まっていた。
「ええっと…トガシ様、馬は?」
「いないよ。」(なに言ってんだ…こいつ…あっそうかここ異世界か!)
「まあまあ乗れって。」
「はい…。」
エリゼは助手席のドアを開けた。
「……血っ⁈」
「あっ…ごめんそれ僕のだ。いま洗浄魔法〈クリーン〉唱えるからちょっと待ってて。」
富樫はクリーンという魔法を唱えた。
詠唱と共に辺り一面が神々しく光る。
気づくと座席はおろか車全体が新品に近い物になっていた。
(恐るべし洗浄魔法…付与でガソリンやタイヤの消費を食らわないからもはやこいつ新品だな。)
↑ ただ富樫の魔法が制御できていないだけ。(魔力相当食った。)
「にしてもエリゼ、よくドアの開け方わかったな…」
「馬車とドアノブが一緒でしたので…」
「へぇ。」
「まあ行こう。」
富樫は車のエンジンをかけた。
ブルるると車が揺れる。
「うお車運転するの久しぶりだなぁ。」
「地が揺れている…」
(エリゼさん(笑)車が揺れてんだよ…)
エリゼは凄くおびえていた。
「じゃあ出発‼」
「ひえええええええ⁈」
こうして富樫たちを乗せたパトカーは女神に会うために教会へと向かって行った。
皆さん明けましておめでとうございます‼
今年初投稿の第九回です
唐突なんですけど前回の後書きに「次は国際情勢が絡んできますよ~」とは言ったものの全く絡んでませんでした。
あの、まあホントすみませんでした。
次回くらいには絡んでくると思います……………ハイ。
今年もよろしくお願いします。