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今。トンネル、といえばいいのかどうかわからないものを潜っている。
よくアニメに出てくるような光線や光以外なにもない空間。なんとなく、水族館にいるみたいな青い光がなにもないところで回っているように見える。
なんとなく気圧されて門を潜ったけど、俺は未だにあの夢みたいな記憶が本当だったことにショックを受けている。
いや、それほどショックでもないか?ただこう、「あれは本当だったのか!」と思わずにいられないだけだ。
そりゃ数日ほどなにも起こらず、そして覚えているだけで何時その記憶を持ったのかすら覚えていないのだ。
いつの間にかその記憶を持っているだけのもの、そりゃあ妄想なのかと勘ぐるのは仕方ないかと思う。
なのにいきなりそれが真実となって、俺は非日常に足を踏み入れてしまうこととなった。
なんだろう。
隠れていた中二心を知られてしまったような変な羞恥心を覚えながらも、思わずわくわくしてくる。
そして俺は思い出す、さっき街の中で見た非日常的な光景を。
「そうだ。さっきのアレは、なんだ?かなりの人が消えて行ったぞ。それが認識されていないだけで、よく起こることなのか?」
あ、そういえば敬語を忘れてた。もう今更か?
「えぇ。あなたの仕事にも関わることなので、後ほど説明するつもりでしたが。簡単に言えば、あれらはこれから別の世界に転生したり、召喚されたりされる人たちですね」
「ラノベみたいな話だな。というか、現実に起こり得るのか・・・」
「えぇ、まさにそのラノベのせいでもありますが」
「えっ?」
疑問に思うものの、あとで説明すると言ってこれ以上なにも説明してくれなかった。
幸いなのは、この会話が終わるころにはもうトンネルから抜け出ているころだったのだ。
会話など他に考えることがあるとそうでもないが、静かになってしまうとどうもいろいろと変な想像してしまう。
考える暇があまりなくて本当によかったと思う。
「さて、着きましたよ」
招かれるままに、俺は光でなにも見えない道へ入った。
一瞬目がまぶしくてなにも見えなかったが、すぐにその不快感がなくなり、俺は目の前の景色に思わず目を開く。
「うおぉぉ・・・」
簡単に描写するのなら、ここは宇宙の中。
本物の宇宙はもっと星の輝きが弱く、基本的に夜空よりは暗い感じになるとは聞いが、俺自身はもちろん行ったことがなかったのだ。
だが今目の前にあるのは、すくなくとも人が想像している美しい宇宙の景色だ。
暗い宇宙空間の中で、石かなにかで作った祭壇がただ宇宙の中でむき出しとなってそこに存在していた。
阻まれることなく見渡せる星はすべて現実にありえないほど輝いていた。
そして良く見たら、もっと距離が近い星はまるで青い光に囲まれているかのように発光しているようにみえる。
「・・・あれ?」
そしてその光は、まるでテレビ画面みたいにいろんな画面が浮かんでは消えてゆく。
「これらは本物の星でもなければ、ここが本物の宇宙でもありません。一応下位次元の情報が集まり、管理できるために作られた空間です。そして貴方が見えるそれらの『次元の泡』はすべて下位次元に存在している世界を象徴しています――」
いろいろと新しいすぎて、俺はいろいろと混乱していたけど。実際に目にみえる非日常やファンタジーものが出てきて、そしてそれから危険を感じないままでいるこの環境にいることで、俺の知的好奇心のほうが未知への恐怖に勝っていた。
そしてわくわくして説明を聞いているうちに、俺のファンタジー脳ともいうべき小説や漫画などから得た知識が反応しはじめた。
なんというか、意外とすんなりと理解できるものなのだな。
この人が言うに――そういえば出会いがショックだったせいで名前を聞きそびれたな、世界には無数の世界と次元がある。
そして水が重力に従い下のほうに流れ行くものと同じように、高位次元から低位次元へといろんなものが流れやすくなる。その逆は困難に極めるが。
基本、高位次元ではあまり力を持たなかったものでも、その元々の質と格の違いに、低位次元では思いにもよらない力を発揮する。そしてそれらが持つ「理」の完成度が高ければ高くなるほど、それらから「一つの世界」が誕生することができる。
理というのは、一種のルールブックに等しいもの。すべての物事に意味を定める、価値を与えるもの。
これを小説や漫画などのものに言い換えれば、作品の中にある世界に関する設定みたいなものだ。
設定の完成度が高ければ高いほど、それが読者が読み取ってから脳内で再生するときに、その物語や世界のイメージの完成度が高くなるのと一緒だと。
すべてというわけではないが、実際下位次元でこういった「作品」が元に誕生して世界が無数にいるのだ。
ここは、そういう俺たちのいる地球が原因で誕生した世界を集めてくれる空間なのだと。
最近気になるゲームが続出していますね。




