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破壊すると決めたからには、まずどうすればいいかを決めなければいけない。

というのも、与えられた選択肢は前に説明してもらった3つから選ぶだけなんだけど。


えーと。世界を物理的に破壊しつくすのと、『核』を破壊するのと、『核』の改造だっけ。

最初のは分かりやすく、だがやり方が面倒。残りの『核』に関する選択というのは、まぁ、すこしくらいしかわからないというべきか。

俺はまず、『核』というものに対して一体何をどこまでやれるかというのがわからないのだ。


『昔の破壊神代行は「魔王」という(アバター)を与えられ、基本的に物理的な破壊をメインとしていたらしいですね。理の核というものが世界の弱点とも言えるため、上位の世界にいくほど、それが見つかりにくくなっています。なのでむしろ探すほうが手間がかかるというわけです』

「でも見つけたら一発なんだし、逆に魔王が出てくる物語だと結構負けているイメージしかないのだが・・・」

『いいえ、「()()()()()()()」であれば、核を見つけ出すにはむしろ物理的な手段のほうが手っ取り早いのです』


生きている世界?

え?何を当たり前のことを?


あれ?ちょっとまって?そういえばこの世界に送り込まれる前にそんな言葉言ってなかったっけ?


『「生きている世界」というのは、単純にいうと「規定な運命(ものがたり)」を持たない世界のことです。理の中に必ず中心と呼べる人物も運命も持たない世界ほど、理の完成度が高いとされています。そしてあなたが今いる世界は、いわゆる物語の世界。定められた筋書きをずっと繰り返す世界です』


物語に始まりと終わりがあるように、理の中でそういった運命(ものがたり)が中心となると、同じように世界は何度でもそれを繰り返すそうだ。

時間のループとはまた違うが、結末は似ている。

その世界に生きるすべての魂は、それぞれの「役割」をずっと同じように背負って生まれ、そして同じ「役割」の通り死んでいく。


『その舞台に立たされた者は真実に気づけることができないまま、物語はずっと繰り返していく。まるで人形劇のように』

「それは・・・」


確かに、生きているとは言えない。

たとえその世界に生きる人間は、本当に生きているとしていてもだ。


名前を持つものは死んでも、次に同じ名前を持つ者として生まれる。

鍛冶屋はやはり鍛冶屋に。貴族はやはり貴族に。

毎度生まれてくるときに同じ幸せと同じ絶望の人生をずっと繰り返し、何度死んでもそこから抜け出すことが適わない。


本人たちは普通に生きている命であるのが逆に始末が悪い。まるで呪いだ。


『創造神の仕事は、そういう世界を「生きている世界」として作り直すことがメインです。破壊神はその前段階というべきか、残しても良い世界を選別して残す役割も持っています』

「あれ?でも創造神も仕事をこっちに回してくるなんてこと言わなかったか?」

『えぇ、ですから人手が足りないと』


どういうことかと説明を求めてみると、どうやら上位次元の成長に合わさって、下位次元に流れ落ちるものの質が上がったせいだという。


上位次元より下位次元へ流れるものは一緒。思念だったり、物だったりと。

思念というよりは概念に近いと言えばいいが、すこしわかりにくい。実際俺も最初にこの言葉を言われたときにはなんのこっちゃと思った。

言葉は知っている、だがここで使われる意味は知らない。どうやったら「概念」なるあやふやなものが流れるのかがわからない。


だが、世界には「信仰」というものが存在している。それは「物事がこういうものである」というある種の「集団が認める概念」だと先輩は言った。

多数派が世間的に正しいのはどこまでも一緒。一つの世界に多くの人間が認めるものこそが正しき真実であり、少数派が信じるものは偽りとして知られる。

その概念は、理の根源になりゆる。


えーと。聞いていて思ったことというと、これってあれだろう。

先に鳥があるのか、卵があるのかというのと似ている?

理が世界を形作っているわけだから、先に理があるはずだろう?んで、その世界に生きる者の信仰によって、まったく別の理の根源が生まれることもありえると、俺にはそう聞こえたぞ?


たとえば、この科学の世界だからこそファンタジーにある魔法が憧れとなり、逆に「魔法が存在する世界がある」という概念を肯定してしまうとか。


『やはり創造神の素質が持つと分かるものなのですね。説明している私ですら、半分もわからないのに』

「えっ?」

『まぁ、私はこれはこういうものだと受け入れて、そのまま説明するしかないのですが』


概念(コア)があり、それを支える知識(ほうそく)があり、そして紡ぐ物語(うんめい)がある。

最低限の『理』として条件が整いた上、それを支えることができる『力』さえあれば、世界は生まれる。


『さて、なにか気づきませんか?』


・・・うん。

さすがにこう言われると、すごく思い当たることがある。

さっきの「生きている世界」のときの話でも思ったし、ついさっき今いる世界に対して思ったことでもあったからだ。


上位次元にいるものは基本的に、その質の違いからして下位次元で大いに力を持つ。

それってつまり、俺たちが作り物の物語である小説やアニメなどとした二次元のものは、それを認めるものが多いければ多いほど、それは――下位次元で現実の世界となりえる。


そして、今の基本的に平和な地球で、人々は精神的な娯楽を求めたがる。そうやって生まれてくる創作が今、世界中で溢れ返っているのだ。

そりゃ、人手不足にもなるな。

さすがにもうちょっとゆっくり小説書ける時間が欲しいです。もう片方の小説はずっと更新していないので。

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