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「上位世界・・・?次元ではないのか?」

『はい、この端末は上位次元のと()()()()から与えられたものです。忘れないでください。この仕事は全次元に存在します。そして我々の世界もまた、検査される対象です』


仕事している側の人間の世界も、もしかしたら破壊されるかもしれない。

なんかどんどんこの仕事がブラックのように聞こえてきたぞ。


そういえば、仕事するにあたって、俺給料とかの話も全然聞いていないなって思い出した。そもそもこの仕事するかどうかすら選ぶこともできなかったわけだし。


うん。ブラックだ。


「それで話を戻すけど、核はどうやって判別するんだ?というより、世界の核みたいなものって一体・・・」

『基本形を持たないものが多いのですが、なにかしらのものに寄り添っていることがほとんどです。この世界の核ならもうさっき見つけました』

「え?見つけた?」

『端末がそう反応しましたね。スマートフォンで画面を縮小するような感じで操作してください』


俺は思わず自分の手と、その指を見る。

目の前の画面は大きい。正直、21インチのモニターサイズ。

まるで自分の家でパソコンのモニターを見ている感じになるし。


これを、あの携帯と同じ要領だと・・・俺の手が小さいな。


思わず手を精いっぱい伸ばして画面を触れる。

そして投げやりのようにそのまま拳を握るようにすると――おぉ、できた。


ホーム画面が遠ざけ、そしてまるでそれに蓋するかのようなものが表示された。

例えるのならば・・・そう、まるでハードカバーの本の表紙みたいなものを。

そしてその中心に輝く石みたいなイメージのものが輝いていて、それを囲むように二つの文字付きのリング状のエフェクトが浮かんでいた。


『それが核を示すもの。今の状態が完全に核を見つけているときの感じです』

「え?なにがなんだかよくわからないけど、簡単だな?」

『普通はもうちょっと難しくなるはずですが、今度はそもそも私が見つけている状態で誘導しましたから』


あぁ・・・そういえば赤かったもんな、この「世界」を外で見る時。


『「核」をまず見つけ、今の状態にするといいでしょう。これは「核」が捕獲されている状態です。とはいっても捕獲する意味は、それへのアクセスを確保することであり、実物として持ち出すことではないのですが』

「破壊しないのなら捕獲するっていうのは、つまり後からいつでも破壊できるようにしているってことか」

『理解が早くて助かります』

「なら破壊はどうやるんだ?」


しばしの沈黙が訪れる。

あれ?なんかまずったっけ?


『破壊するのですか?』


しばらくすると、先輩がそう聞いてくる。

俺はさっきの沈黙もあり、なんだかそのまま答えることができないでいる。またなんか失敗しそうだから。

だが先輩は、それをスルーしてくれない。


『破壊すると、決めたのですか?』

「えーと・・・」

『判断するのはあなたの仕事です。はやく結論出してください』


と、言われてもなぁ。

さっきそれを聞いたときに特になにも考えてなかったわけだし。こうやって聞かれると、なぜか罪悪感を感じるんだけど。


そう。俺はこの世界には来たばかりで、あった人も限りがある。

それでもメイドや執事たちはよくやってくれているから、「はいそうですか」って感じで死なせると聞かれたら、普通に生きてほしいに決まっているだろう?

だから一層、会ったこともないこの世界の人間の運命をそう簡単に決めつけていいのかと改めて考えさせられてしまう。


『破壊するのならば、彼女を殺すか、いやならば端末を通してウィルスを流し込んだりする方法も取れます。簡単に済ませようとするのならば、端末操作するだけでこの世界が破滅してくれます』


え?ますますパソコンとかゲームみたくなったけど、なにそれ?

パソコンウィルスで世界を破滅させられるみたいにしか聞こえるけど。


『兼ねて間違っていません。だから言ったのではありませんか、別にロールプレイのゲームとして思ってくれてもいいと』


いや、それでこの意味を理解できるとするのなら、多分天才だぞ。マジで。

俺は普通だ。フツーメン。一般人。村人Lv.1(笑)だ。


『しないのなら、ちゃんとレポートで理由を書くのですね』

「レポート作る必要があんの!?」

『仕事ですから』


・・・あぁ、そう。仕事だった。


こえぇよ、この仕事。

世界を壊すし。人を殺すし。

だがやはりそれについて何も思わない今の自分が怖い。


『まぁ、今度の核はあの女性です。まるで物語の主人公のように感じられたんでしょう?』

「逆ハー物語みたいには思ったけど、でも《本》の中身で直接そいつを主人公として書いていないし」

『あなたが触れた理から記載される機能ですから、今回はその役をメインとしていることになります。より開放された機能を持つ《本》ならば、この世界の元となる物語まで見れるでしょう』


そういうもん?

ってか、それって今のよりチートじゃない?他に一体どんな言い方ができるの?そんな機能って。


『ちなみに私の《本》からだと、あの女性はいずれ女王となりますね。あなたの役を含め、今相手しているその息子さんもこの家の者も邪魔者として死にます』

「よし、破壊しよう」

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