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いってぇ~~~!!


俺はできるだけ声を押し殺して、俯いたまま、ぶつかった場所を手で押さえている。


いや、わかってたけど。わかってましたけども!

《本》の変わり続けている部分のあとに、ずっと変化しなかった文章にこうなることは書かれていたから、俺も事前で覚悟を決めてたけど。

だからって痛くないわけないじゃないか!!


だってさ、花瓶だぜ?下手したらこれで人を殺せるものなんだぜ?

というより、俺よくこの状態でまだ意識を保てることができているな。この世界の人間ってタフなのか?


『・・・知っていれば避けていれば良いもの・・・』


あ、先輩にも呆れられている。

ってか、避けられるか!ドアを開けてたらもう目前まで来ているんだぞ!!

事前で回避動作をしてからドアを開けると、それこそ怪しすぎるだろう!


『・・・あぁ、そうでしたね。あなたのステータスはまだ村人Lv.1くらいでしたね』


村人Lv.1って。先輩も冗談を言うよになったなぁ。

・・・冗談・・・だよな?


と、その時。


「「旦那様!?」」

「なっ、父上!?」


驚愕したイケメンと複数のメイドの声により、俺の意識は先輩とのやり取りから目の前の現実に戻った。


あ、血だ。

いつの間にか、抑えている部分から血が流れて、片目に染みるそれに視界が真っ赤となってしまっている。

知らない間にすこしだけブラックアウトしていたのか、もしかして。


いや、そんな場合ではないな。

俺は痛みを耐えるようなうなり声をすこしあげて、俯いた頭を上げる。

後方から執事が手当ての準備を整えようとしている指示の声が聞こえるが、俺は邪魔となっている血が染みった目を閉じ、片目で目の前にある《本》の内容を確認する。


変化し続けている空白部分は普通の文字となった。これはつまり、この部分が決定したということなんだろう。

今のこのイベントにいくつか文字化けがあるが、空白はもうない。

次の空白部分は・・・イベントが終わってた後、嫁と喧嘩するところにある。

でもそれは、今より三日後の話。嫁が他の町から帰ってくるまでの。


あれ?

俺、そんなに時間かけないとだめだったっけ?これ。

そもそも、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

言われたとおりにここまで来てしまったけれど、破壊神(仮)として世界を破壊するのってこんなこともしなければいけないものだったのか?


頭がぶつかれたショックかなんなのかは知らないが、俺はいまいろんな思考を頭の中によぎっては消えていく。

思考速度が明らかに普通とは違う速さだ。

そして現実に目を向けると、俺はいつの間にか椅子に座っている状態で、執事に手当てされている真っ最中となった。

ちなみにこの役のイケメン息子は近くに居ない。そいつはわざとらしく女性をかばう姿勢で、俺とその女性の間に立っている。

それを見て、一応知らない人ではあるけれど、思わずイラっときてしまう。


いろいろ考えてしまうけど、まずはやることをやってからだな。

えーと、《本》に書いてあるセリフは、と。


「・・・見苦しいぞ、我が息子よ」

「っ、なんだと?」


低い声で責めたら、同じ低い声で返された。

うわぁ。さすが親子というべきか?


「そんなに、どこぞの馬の骨から生まれた低俗な女に惚れたか」


《本》の内容によると、今この段階でこの体の持ち主は相手本人と顔あわせたこともないし事前情報もなかったから、相手をただの平民だと思い込んでいるらしい。

さらに、花瓶が飛んできたのはその女性のせいだと思い込んでいる。


まぁ、実際それがあたりなんだけど。

怖いだの痛いだのと駄々こねるこのヒロイン?が、手が届くものをあちこちに投げつたのだ。

だからこそ、このイケメンは今この状況下でも、頑固として女性を守る姿勢を保ち続けている。


「彼女が――」

「誰が低俗な女ですって~~!!」


さすがに自分が投げた花瓶がこんなことになるとは思わなかった女性は脅えていたから、そのまま隠れていたのだけれど。

さすがにこのひどい言われ様に我慢ならなかったらしく、話中のイケメンをつっとばして立ち上がった。


そして、やっと初めてのご対面である。


「――」



まじか・・・



『――口、開いてますよ』


端末が映し出す画面がなにかフラッシュを繰り返しているが、詳しく見ている余裕がなく、俺は口を開けたままその場に固まった。


言われて口をあげようとしたけど、あんまりに驚いた俺はそれをするのに適わず、口がぱくぱくと言葉も出ない状態となっている。

それもそうだ。この女性があまりにもあまりな姿を擁していたからだ。

傾国な美女みたいに書かれていたから覚悟していたけれど、だがこれはあまりにも想像の斜め横に行き過ぎている。


「いや、マジか・・・」


あまりにも驚いたから、思わず口に出ちまったが。この際もう仕方ないだろう。

なぜなら。俺の目の前にいるその女性は()()()()()()()()()をしていたから。

(゜m゜*)プッ

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