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ぼくはタケノコ

作者: やまくま

 たけやぶで、大きなタケノコが 小さなタケノコにききました。

「なあ、カエルのこどもって なんていうか しってるか?」

「うん、しってる。パジャマタキシ」

 小さなタケノコが、とぼけたようすで こたえました。

 ずっこけた大きなタケノコは、思わず、じめんから ぬけそうになりました。

「パジャマタキシってなんだよ。オタマジャクシだろ」

「ああ、そうだった。あは、あは、あは」

 小さなタケノコが、のんきに わらいました。

 気をとりなおして、大きなタケノコがききました。

「それじゃ、トンボのこどもは?」

「えーと……、ネコ」

 小さなタケノコが、また、とぼけたようすで こたえました。

 ずっこけた大きなタケノコは、さらに、じめんから ぬけそうになりました。

「ネコじゃないだろ。ネコは『ニャー』ってなくやつじゃないか。きのうも そこで うんこ してただろ」

「ああ、そうだった。ネコじゃなくて、ベコだった。あは、あは、あは」

 小さなタケノコが、また、おかしなことをいったので、大きなタケノコは、またもや、じめんからぬけそうになりました。

「ベコってなんだよ。ヤゴだろ」

「ああ、ヤゴかあ」

 小さなタケノコが、ふうんと、うなづいています。

 あきれながらも、大きなタケノコは、はなしをつづけました。

「カエルのこどもはオタマジャクシ。トンボのこどもはヤゴ。それなのに、なんで、竹のこどもはタケノコなんだ? そのまんまじゃないか。おかしいだろ? なんで、ちゃんとしたなまえがないんだ?」

「ああ、そうだねえ。そういわれると、そうだねえ」

「そうだろう。だからさ、おれたちも なまえを かんがえればいいんだよ」

「そうかあ。それじゃあ、ぼく、ニワトリにしようっと」

 大きなたタケノコは、またも ずっこけてしまいました。ほんとうに じめんから ぬけそうになりました。

「へんなことをいうなよ。ずっこけて、からだが おれそうになっちゃうじゃないか。だめだよ。ニワトリなんて」

「なんで、だめなの?」

 小さなタケノコは、ぼけ~っとしたようすです。

「ニワトリは、コケコッコーってなくやつだろ。ニワトリが大きくなって、りっぱな竹になりましたなんて

おかしいだろ」

「ふうん。そうかあ」

 気をとりなおして、大きなタケノコは、話をつづけました。

「だからさ、おれ、いいなまえをかんがえたんだよ」

「ふうん。なんていうなまえ?」

「ロケット。どうだ。かっこいいだろ」

「へえ、ロケットかあ」

 小さなタケノコは、かんしんしたようすです。

「にんげんの こどもたちがいってたんだ。『ロケット、ロケット、空にむかってズドーン』てな。

おれも、空にむかってズドーンとのびて、りっぱな竹になるんだ」

 大きなタケノコは、空を見あげました。

「そうかあ。にんげんの こどもが いってた なまえに すればいいのかあ。それじゃ、ぼく、『カッペーラ・コッペーラ・ポンポン・カッペーラ』にしようっと」

 小さなタケノコが、わらいました。

 ずっこけた大きなタケノコは、とうとう じめんから とびでて しまいました。

「なんで、おかしなことばかりいうの! ずっこけて ぬけちゃったじゃないか! カッペーラなんとかなんて おかしいだろ! ああ、くるしい。ああ、きもちいいかも……」

 じめんに よこたわった 大きなタケノコは、気をうしないそうです。

 いつのまにか、ながぐつをはいた にんげんが、そばにたっていました。

「ほう。じぶんから とびだしてくるタケノコとは めずらしい」

 どうやら、おじいさんのようです。

「きっと、げんきがよくて、おいしいにちがいない。もってかえって たべよう」

 大きなタケノコは、おじいさんに かかえられて、いってしまいました。

 小さなタケノコは、ぼんやりと見おくりました。

「このまえ、にんげんのこどもたちが、『カッペーラ・コッペーラ・ポンポン・カッペーラ』って、いってたんだけどなあ。まあ、いいや。ぼくはタケノコのままでいいや」

 小さなタケノコが、わらいました。

 大きなタケノコは、おいしいタケノコごはんになりましたとさ。


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