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第二話 転生

「ジリリリリリリリリリリリリリリリリ!!」

「うるせーー!!」


 拳を叩きつけ、安眠を妨害する悪魔を黙らせる。


「やれやれ....」


 名残惜しいも布団に別れを告げ、学校に行くため、身じたくをする。

 俺の名前は池上圭いけがみけい

 ゲームとライトノベルが好きな、ごく一般的な男子高校生だ。


「なんか長い夢見た気がする....」


 制服に着替えながら考え事をする。

 どんな夢だったっけ....


「圭~!もう和樹君きてるわよ~!」


 母さんの声。

 思ったより長い時間寝ていたらしい。急いで支度をする。

 まぁ、覚えていないのなら大した夢じゃないんだろう!


 ☆


「遅いぞ圭!」

「なんでお前はこんな真冬にそんな早く起きれるんだよ...」

「鍛え方が違うからな」


 身じたくを済ませ、玄関に出ると悪友が待ち構えていた。

 コイツの名前は西野和樹にしのかずき。文化系の俺とは違い筋肉質な体の持ち主で、身長は185cmを超えている。小学校のころから近所に住んでいる幼馴染だ。

 ......まことに遺憾ながら男である。


「ん?なんだその目は?顔になんか付いてるか?」

「......べつに」

「変な奴だな」


 幼馴染がかわいい女の子なんてラノベやゲームの中の話さ。


「ところで圭、今日体力測定あるらしいがお前大丈夫なのか」 

「ああ...もうそんな時期か」

「ほ、本当に大丈夫か?」


 遠い目をする俺に苦笑いしながら声をかける。


「だ、だいじょうぶさ!去年とは違う俺を見せてやんよ!!」

「お、おう...」


 ☆


「な......なぜだ......」

「なんというか......ドンマイ......」



 そう、俺こと池田圭は足が遅いのだ。

 小学四年生のころから50メートル走で10秒台を切ったことすらない。

 選手相手なら100メートル走でも負ける速さだ。

 ちなみには、7秒台。文化系の俺とは大違いだ。


「来年までには絶対速くなってやるーーーッ!!」

「それ、去年も言ってたぞ。」

「ぐぬぬ...」


 そんなことを言い合う他愛のない普通な日々。

 いつも通りの日常。

 しかし、破局とはいつだって唐突なのだ。

 運命は気まぐれに人を幸福にし、不幸にもする。


「じゃ、さっさと着替えるか。」

「...おう」


 気づいたらグラウンドには俺としか残っていない。皆更衣室に戻ったようだ。


 不意に、パラパラと音がした。


「ん?なんか聞こえない?」

「?俺はなにも―――」


 の言葉が聞こえたのと足の裏から地面が消えるのは同時だった。


「なッ―――!?」


 数秒の浮遊感の後、全身に走るとてつもない衝撃。

 この日、池上 圭は、死んだ。



 ☆


「初めまして、お二人方」


 不意に、清らかで澄んだ声が鼓膜を震わせる。

 重い目蓋を開けると、そこはやけに広くて殺風景な部屋だった。真ん中には白い椅子がぽつんと置いてある。

 誰かが座っているようだが視界がかすんでよく見えない。


 ――――――なんだろううここは......確か俺はグラウンドの穴に落下して....


 ......グラウンドの穴!!?


 慌てて頭を振り意識をははっきりさせる。

 その椅子の上にはこの世のものとは思えない程の美女が座っていた。その髪はウェーブのかかった金髪。最高のカットを施したダイアモンドのように素晴らしくもどこか無機質な輝きの瞳を持つ端正な顔立ち......ちなみに巨乳である。

 余りに非現実的な光景の状況の中なのについうっとりとしてしまっていると、驚くべきことを告げた。


「若くして本当にお気の毒ですが、あなた方は本日シンクホールと呼ばれる穴に飲み込まれ亡くなりました」


 ......いま彼女はなんと?死んだというのか?俺が?

 突然のことに、頭が全く受け付けない。

 シンクホールとは確か、何の前兆もなしに突然地面に穴が開く災害のことだ。

 頭は必死にその言葉を受け入れまいとしているが、最後の記憶は激しい衝撃と暗闇だけだ。

 やはり、彼女の「あなた方は死にました」という台詞の通り......


 .....あなた方?


 慌てて横を見ると和樹の見慣れたゴツい顔が。

 未だ現実を受け止め切れていないのか奇妙な表情で硬直している。



 .....まぁ俺は実感がなさ過ぎて受け止められないだけだけど.....


 そんな俺達を放置し、美女は一冊の本を取り出し、言葉を重ねる。


「それでは、あなた方の審判を執り行わさせて頂きます。あなた方人間はこの《審判の間》にて生前の行いを鑑みて審判を下され、それによってあなた方の世界で言う天国行きか地獄行きかを決定付けられます」


 ん?かなり重要そうな話じゃないのかそれ?

 しかし、和樹はまだ硬直しているようだ。


「おい、和樹!起きろ!」


「なぜだ...なぜ穴ごときに俺の人生を邪魔されにゃならんのだ.....まだ童貞のままなのに.....キスすらまだしてないのに......こんなことになるのなら千夏ちゃんに告白しておくn」

「えいっ」


 ゴスッ


「八ッ...俺は何を...」

「気が付いたか?」

「圭...。ここはどこだ..?確かおっぱいの大きい綺麗なおねえさんがいた事しか.....」

「うん。和樹が平常運転で安心したよ」


 本当にコイツは......!!


「ではまず西野 和樹」


 その本を広げながら告げた。

 まずは和樹からか....

 見れば和樹も緊張した面持ちだ。


「まずは犯罪経歴。これといってはありませんね。虫や動物の殺害も平均値より低い.....周りに対する態度も裏表のない性格のようですね。ただ、異性に対してかなり慣れなれしいことと特に幼女に対する視線が尋常でない、と」


「......」

「そ、そんな目で見るなよ!俺はそんなことしてないからな!!」


 うわあ......

 ある意味死んでしまったことより衝撃的だ......


「和樹って、ロリコn」

「それ以上はいけない」


「ふむ、どうやら特に問題はないようですね」


 個人的には問題しかなっかったような気がするのだが......


「さて、次に池上 圭」


 本のページをめくりながら言う。


 いよいよ俺の番か....

 ところであの本には何が書かれているんだ?


「こちらも特に異常なし。性格もごく普通...好みのタイプは巨乳。休日も家に子も籠ってゲーム三昧...」


 待て、本当にあの本には何が、どこまで書いているんだ?


「なるほど、こちらも特に問題なしと...では、判決を言い渡します」


 おお...ついにか...


「西野 和樹、池上 圭。共に天国行きです」


 始めてにこりと微笑を見せそう告げた。


「良かった~」

「個人的にはとても重大なものを失った気がするが...」


 思わず安堵する俺と渋い顔の和樹。


「では、天国に送るための準備をするため、少々待ってください」


 そう告げ、椅子から立ち上がると――――――


 不意に幾何学模様の巨大な円が出現した。


「なっ――――()()()()()()の転移魔法陣!?」


 彼女は慌てた表情で言ったがなんの話かさっぱりわからない。


「と、とりあえずあなた方たちはこの陣から出―――――」


 その言葉を聞き終わらないうちに円が真っ赤に発光した!

 視界が真っ赤に塗りつぶされて―――――

やっと序章おわれたよ...。誤字脱字あったら報告してくださるとありがたいです。ブックマーク、評価、コメント等もよろしくお願いします!

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