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序章 第一話 兆候

序章のシリアス回です。たぶん今回だけ。

 

 大小の岩が点在するだけの荒れた大地。空は赤黒く濁っており、またそこを飛ぶゆうに3メートルはあるであろう巨大な影。爬虫類のような鱗が生える漆黒の皮膚に、あたかも蝙蝠のような翼を持ち、狡猾そうな顔つき。

 この世とは思えない光景だ。

 不意に、その巨躯に飛来する三本の矢。

 一本は危うく避けるも次弾、次々弾がその脳天、胸の中心に深々と突き刺さる。

 悲鳴。

 地に伏せられ、絶命する。

 しかし、出てきた体液もまた、大概の生物のそれとは違う青色。


「クソッ!最後の使い魔(ミニオン)もやられたわっ...」

「汚い人間どもめ!我らの移動中を狙うとは!!」

「ラメア様!!ここは私にっ....!『()()()()』を使ってくださいっ!!」


 交わされる会話はもちろん、その容貌も実に怪異だ。

 ラメアと呼ばれた白髪に紅い目を持つ美女だが、その顔には緊張がみなぎっている。

 彼女たちは移動中、突如現れた人間の大部隊に襲われたのだ。


「だけどアレを使えばお前の命は...それになにが()()()()かわからないわ...」

「しかしっ、今は手段を選んでいる場合ではないはずっ!」


 そう応じたのは、巨大な体躯を持つ獣。黒い剛毛に全身を覆われ、その四肢はラメアなど一振りで絶命させられそうなほど力強く、鋭利な爪まで生えているが、その目には確かな知性の光が宿っている。

 しかし、その巨体には幾本もの矢が突き立っており、いまにも倒れ伏しそうだ。


「ここで魔王軍幹部である貴方様が倒されるようなことになれば、我ら配下はとても生きてはいけません。それに、貴方様を守るためにこの命を使えるならば本望です。」

「しかし―――――」

「気を付けなさいっ!奴らまだ何かするようです!一気に畳み掛けるのですッ!!」


 彼女の言葉を遮り、部下に指令を出したのは煌びやかな兜を被った少女。

 その言葉を受け、一斉に剣を持った男たちがラメアとその僅かな部下たちに殺到して行く。


「ラメア様を死守しろっ!」

「四天王直属部隊の意地を見せろ!!」


 その猛攻に必死に耐えるも、やはり物量の差で徐々に減っていく部下達。

 持ってあと数分だろう。


「さあラメア様。今の内に」

「・・・すまない」


 不意打ちとはいえ、たかが人間にここまで追い詰められるとは思わなかった。

 その油断が多くの部下の命を奪った。

 そして、ラメアは手負いの獣人の胸に手を突き刺した。

 しかし、その顔に苦痛はない。もうその体に魂は宿っていないのだ。

 半面、固く唇を噛み締めたラメアがその胸から取り出したのは青白く光る球。


「しまっ――――」


 その球を握り潰し、放出された魔力を余さず吸収する。

 流石、上位種の魔物の心臓とだけあって物凄い魔力を秘めている。それでも、この術が成功するかは五分五分だ。

 しかし、彼女の中に迷いはなかった。

 慌てる様子を見せる司令官とおとぼしき少女。


 ―――だが、もう遅いッッ!!


 ものすごいスピードで口を動かし、術式を唱える。

 ラメアの周りに巨大な幾何学模様が幾重にもなって表れる。

 

『サモンッッ』


 しかし、唱えられたのは余りにも短い呪文。


「なんだあれ?」

「あんなのが奥の手か?」


 剣を握った兵士たちの中には、そんなことを言い出すものまでいる。

 だが、後方で杖を手にしている者達の中には、その表情を凍らせている者が少なからず居た。


 ――――なぜあんなに短い術式に皆は怯えてるんだろう....


 新米の魔法使い(ウィッチ)のシャトラは疑問に思っていた。


「すいません、いまの術式は一体―――?」

 愕然としたままだった魔術師(ウィザード)とおとぼしき女性に問う。

「八ッ...あ、あれは召喚魔法よ....」


 我に返った女性が答える。


「召喚魔法?」

「なっ...知らないの?....まあ、魔法使い(ウィッチ)なら知らないか...」

「す、すいません...」

「...召喚魔法の話だったわね。あれは転移魔法の一種よ」

「はぁ...」

「ただ、その転移元が神界なのよ....」

「神界!!?」

「そっ、そんなものが存在するのですか!?」

「するわ。」

「..........」

「なによその目は。実際に出てくるんだから、しょうがないでしょう」

 疑いの目を向けるシャトラに言い返す。

「プロセスはあっちの世界に大量の陣を出す・対象をこちらに引っ張り出す・ここに転移させるだけと単純だから、術式も短いけれど、向こうに出た陣が運よく対象の上にいるとは限らないから、大きく、大量の陣を出さないといけないので、膨大な魔力を消費するわ。もちろん、必要魔力が膨大な上、究極クラスの魔法だからほとんどの術者は使えない」

「究極....」

「しかも、あの陣は暗黒属性だから神々は通れない。となると、十中八九出てくるのは邪神共ね....」

「邪神!!?それって結構やばくないですか!!?」

「やばいわ。超が三つ付くくらいやばい。」


 次第に事態を飲み込み、静まり返った戦場。

 すべての視線がその陣に注がれる―――――――――――――――――――

初の小説です。色々と拙いところもあると思いますが、頑張ります。

※不定期です

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