第八十六夜:言ってしまっていいの、それ?(2)
1月の話です。時が過ぎるのが早すぎる!
1月中旬、フィールドは本著でも何度か出てきた神戸市の某ため池。
この池の難易度を表現するために敢えて記述すると、昨年は春から夏にかけて4回釣行し、本数は19匹。最大魚は43センチ。まあ、そんな感じの池だ。
う~~ん、見るからに冬のため池。夏や秋に感じる水面のヌメッと感がない。
(何やねん、ヌメッと感て!)という感じだろうけど、よく釣れる池の水って、何となく水面にヌメッと感があるのだ。その水辺に生息する生物・植物のエキスのようなものというか、栄養素のようなものというか。こんなおかしな表現でしか言い表せないフィールドの雰囲気も、本当に釣り人の感性に依るところだ。
タックルは6フィート9インチミディアムパワースピニング。リールはシーバス用のものをそのまま流用したので、ダ〇ワ製の3000番。メインラインはPE1.2号。
バスフィッシングを嗜む方には、きっと大きすぎて太すぎると感じるだろうが、決してタックルを準備する手間を惜しんだ訳でない。
今回の釣行の主題は、(果たして硬いスピニング+PEラインは、ベイトタックルに取って変わることができるかどうか)の検証。だからリールは敢えて大きめの3000番なのだ。
理由は後述する。
さて一投目は冬のド定番メタルバイブ。
思い起こせば2019年のシーバスシーンで大活躍したのが、ミノーシェイプの大型メタルバイブだった。綺麗に飛ばすことができれば飛距離は圧倒的だし、3本のトレブルフックは全く魚をバラさなかった・・・訳ではないが、このルアーでバレてしまうのなら仕方がないと諦めもついた。
たいていの場合は中層ただ巻きで決着が付くのだが、それでも状況として厳しい場面では、ボトム付近のリフト&フォールでも使ってみることがあった。リフト&フォールと言っても、大抵は遠い間合いでの釣りとなるため、実際はボトム付近をトレースするような軌道になるのだが。そしてこの釣法でも何本かのシーバスを、昨シーズンは捕えている。
このメタルバイブのリフト&フォールの様に、ロッドを縦に捌くような操作、これに関してはベイトタックルよりも、スピニングタックルの方が実は向いている。リールをパーミングしている人間の手の構造上、どうしてもベイトタックルは上方向への力が入りにくいのだ。
加えて、大遠投することが多く、魚のバイトも総じて遠いポイントで起こるこの手の釣りでは、PEラインの最大の特徴、すなわち軽くて伸びが全くないというメリットが最大級に活きてくる釣りであると言える。
まさに、パワースピニング+PEラインの為にあるような釣り。
記憶が確かなら、それは2003年冬の東条湖トーナメント。エギングロッド+PEラインを使用したメタルパターンで水深13メートルラインを攻略し、見事優勝したアングラーがいた。今にして思えば、これぞ先見の明。やはり結果を残すアングラーは一味違うと、今更ながらに感心する。20年近くも前の出来事と考えれば、驚愕に値する。多くのバスアングラーには、PEラインをバスフィッシングのメインラインとして使うという概念すら、当時はなかったはずなのだ。
1時間あまりメタルバイブフルキャストからのリフト&フォールを繰り返したが、特に疲労を感じることもなく、それはそれは快適だった。予想した通り、この手の釣りではパワースピニング&PEの方に軍配を上げざるを得ない。この日は釣果にこそ繋がらなかったが。
次にラインの先に結んだのはやや大振りのサスペンドシャッド。これも冬の定番ルアーと呼べるものだが、まあ普通ならばベイトタックルで投げるはずのルアーだ。潜行深度は2メートル弱といったところ。リップの面積も広く、巻き抵抗も小さくない。
このルアーを通常バスで使うようなスピニングタックルで巻き続けると、2000番台のリールではやっぱり巻き重り感が発生する。ここを改善したいがための、バス釣りで使うにはやや大きめの3000番リールなのだ。
そして、ここ重要。当たり前だが、2000番のリールより3000番の方が、大きくて自重量がある。抵抗の重いルアーを巻き続ける釣りの場合、このリールそのものの重さが活きてくるのだ。何でも軽ければいいというものではないという一つの例だ。
もしシーバスで2000番クラスのスピニングリールを使っているというアングラーが居られて、例えばソルトバイブレーション等のやや引き重りのするルアーで、あまりよい釣果を得た経験がないというアングラーがいらっしゃれば、それはもしかしたらリールが軽すぎることが原因かも知れない。
すなわち、一定層を一定速度で巻き続けることこそが最強のメソッドであるこの類のルアーでは、可能な限りティップをぶらすことなくロッドをホールドすること、これこそが釣果に直結する最重要事項の一つなのだ。
一度試してみて欲しい。リールを1ランク重くすることで、ティップの位置がビシッと決まる感覚を得られるはずだ。春先のバチパターン、シンキングペンシルを使った釣りなんかでも、大きく釣果に差が出るかも知れない。全くの余談だ。
そしてこのサスペンドシャッドも投げること約1時間。大部分の時間は、ややスローなただ巻き。全く疲れる気配がない。さずがに時期が時期なので、速巻きに魚が反応することは期待できないが、近年関東のクリアウォーターで流行しているシャッドの超高速巻きメソッドを駆使する場合、このスピニングリールの巻取り速度は、結構な武器になりそうだと感じた。
う~~ん、ベイトタックル大好き柳としては、今のところ微妙な気分。
次に私が選んだリグは3グラムシンカーのライトテキサス。
この釣法も、実はやる前からスティッフスピニング&PEラインを使用すれば、かなり快適だろうと私自身予想していた。
昨年の早春、ソルトシーンのカサゴ釣りでこのタックルを使用したところ、最初の予想を遥かに超えて使いやすいと感じた経験によるものだ。特に投げる距離が長ければ長い程、その快適さは特筆すべきものとなっていく。
何が使いやすいのか、ずばりハーフスタック&ハングオフ。ボトムを這うルアーが半根がかり状態になった後の外し易さである。
バス釣りを嗜む方ならよく判ると思うが、この半根がかり状態からルアーを開放した瞬間こそが、ボトム系の釣りで最もバイトが多発する状況なのである。
池の最深部へフルキャスト。飛距離は圧倒的。それも当然、飛んでいく仕掛けが背負っている糸の重量が圧倒的に軽いのだから。
距離も圧倒的ならば、底取り感も秀逸。たった3グラムのシンカーがボトムを叩いた感触が、乾いた振動になってロッドに伝わった。フロロラインではまずあり得ない感度の素晴らしさ。
1990年に業界初のバス用フロロカーボンラインが登場した頃、多くのバスアングラーが、それまで使用していたナイロンラインを、このフロロラインに巻き直した。
(金属的)と当時呼ばれたこのフロロラインの高感度は、その後のバスフィッシングを明らかに進化させたのは周知のことだと思うが・・・いや、我々にとってはである。読者の方にはきっと分からないだろう。
そんなフロロラインと比較しての圧倒的高感度なのである。やっぱりすごい。
30メートル向こうの、水深8メートルのボトムとのコンタクトが、(カツンッ)と手元に伝わる。その後ズルズルとルアーを引こずると、湖底の僅かな起伏をPEラインの高感度が伝える。手首だけ、いや、指先だけの僅かな動きで、このハーフスタックを外す。扱い良い。実に素晴らしい。
いや、感心ばかりしていられない。
ベイトタックル大好き柳としては、ちょっと困った検証結果にたどり着きそうな予感プンプンとなったのである。




