第六十九夜:前言撤回
短い話が書きたかったのですが、ただのレビューとなってしまいました。
吐いた唾を飲むようでちょっと嫌だ。
でもやっぱり語りたい。釣りに携わる者(?)として、何としても言わねばならない。
そんな人が仮に居ればの話だが、(柳がいいって言ったから買ったのに・・・)
なんて人が、万が一にも存在して、アイツ・・・全く判っちゃいないな・・・なんてなってしまった日には、柳としては、死んでも死に切れないと思うのだ。
という訳で、私、柳は前言を撤回する。
「第六十二夜:一本いっとけ・・・」で高く評価したあのメーカのあの釣り竿。
先週末のこと、やっと本来の使い道、すなわちバス釣りに使用した。日中の釣りである。
そして致命的な欠陥を発見した。
残暑厳しい9月の最終週。昼を過ぎ、いよいよ太陽が高くなった時、涼しい時間帯には感じなかったその欠陥は、あからさまに出現した。
振り返ると、この竿を絶賛したあの頃、時期は5月か6月。
そして夜間のカサゴ釣りと早朝のシーバスゲームに使用した時の感想だった。
だから私としたことが、不覚にも気付けなかったのだ。
以前も同様の不満を、同メーカの某ロッドに感じた経験があるくせに、本当に汗顔の至り。
7月か8月に、たった一度でもデイゲームに使っていれば、すぐさまその欠陥に、私は気付いたことだろう。だって仕方ないじゃないか。その頃は入院してたんだから、俺。
その欠陥に気付き、それが受け入れられないと考えるのは、きっと私だけではないはずだ。
よくよくこのメーカには考えて欲しいと思う。
例えば、どうしてゴルフのレッスンは、クラブの持ち方から入るのか。
それは人とクラブという道具の唯一の接点が、グリップだからである。
よくよくこのメーカには認識して欲しいと思う。
例えば、どうして空手の指導は、拳の握り方から始めるのか。
それは突きを打ち込む際、相手に触れる唯一の部位が、拳だからである。
釣り竿もこれらと一緒。
ともすれば、持ち重りするだとか、古臭いデザインが気に喰わないだとか、アンチな評価を受けることの多い某常緑社のスピニングロッド。
それでもあのグリップ形状を頑なに採用しているその理由。
やっぱり実戦仕様、多くのプロスタッフとアマチュアテスターを雇い、彼らの意見を製品に繰り返しフィードバックしているだけのことは、やっぱりある。
1シーズンに渡ってフィールドテストを実施し、テスターのいずれかが、うだる暑さの中でのテストを経験していたなら・・・
少し掌の小さなテスターが、もし数人存在していたなら・・・
その釣行、釣果自体は悪くなかった。
1時間半ほどの短い釣行で、都合7本のバスを釣り上げた。バラシはなし。
スピニングタックルとしては十分過ぎるパワーを持ち合わせながら、25センチ以下のバスでも、必要以上に水面上を飛ばさなかった。
少し専門的な言い方をすると、アングラーが自らの操作によって、トルクの出し入れが可能な竿だった。パワースピニングに分類される竿で、この特性を持ち合わせたものに出会うことは、けっこう稀だ。
一度絶賛してしまった自分への弁護のようだが、やっぱり評価するに値するのだ。ブランク自体の性能は。
それだけに・・・それ故に残念でならない。
たかがグリップ、されどグリップ。
提案しよう。柳をテスターに採用なさい。
悪いようにはきっとならないから。そこのところ、頼むよ、○ジャ○ラ。