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百夜釣友  作者: 柳キョウ
50/101

第五十夜:電気ショッカー

記念すべき50話目ですが内容が重いです。


[2014年○月○○日 近江琵琶湖新聞(仮名)社会欄記事]より抜粋


ようやく琵琶湖でも電気ショッカーボートによる駆除がスタートしましたが、この日の立役者は北海道職員の志藤司さん(仮名)であり、この日を迎えられたのはまさにこの方のご尽力によるものでした。

 全国に先駆けて道内で電気ショッカーボートの導入を進められ、北海道でのオオクチバスの完全駆除を達成されると、今度は道内のみならず日本各地に出向いて電気ショッカーボートの効果を伝えつつ実演もおこなってこられました。滋賀県へも2005年の“琵琶湖を守ろうシンポジウム”を皮切りに、毎年琵琶湖に来て電気ショッカーボートの効果と早期導入の必要性を訴え続けていただきました。今回の電気ショッカーボート初導入も志藤さんのお力添えがなければあり得ませんでした。北海道での成功を北海道だけのこととせず、日本全国で外来魚駆除に取り組んでいる現場のために奔走されている志藤さんの行動力と、それを勧められている道庁の懐の深さには本当に感銘を覚える思いです。




[2010年○月○○日 千葉県警察HP犯罪発生状況]より抜粋


2010年○月○○日17:45頃、JR総武線南船橋駅南出口付近の商店街で、フィリピン国籍のアンドロピエトロさん(27)とその同僚2名に対し、スタンガンを使用し気絶させ、その後、顔や腹を殴るなどの暴行を働いたとして会社員稲田健一(仮名)を主犯とする5名の日本人が逮捕された。付近の防犯カメラの映像や目撃情報から、稲田健一容疑者を割り出し、任意同行を促したところ、稲田容疑者が応じた模様。稲田容疑者は概ね容疑を認める供述をしており、先月同市内で発生したベトナム人労働者への暴行容疑についても、関与をほのめかす供述をしている。余罪があるものとして現在事情を聴取している。被害に遭ったアンドロピエトロさん達は、全員鼻や肋骨の骨を折るなどの重傷を負った。




[北海道在住の志藤司さん(仮名)インタビューより抜粋]


「もし農水省の許可が下りなくても、一人でやるつもりでした。函館五稜郭の堀にオオクチバスが生息していると分かった時のショックは脳みそが沸騰するような怒りを覚えました。そして2009年に道内から完全にオオクチバスを排除することに成功した。5年掛かったことになります。 (中略) 成功の要因はやはり電気ショッカーボートの導入です。初めは試行錯誤、失敗の連続でした。(中略) 北海道に、いや日本に外来種は要らないんですよ。理想は外来種ゼロ、それが達成されるまで私はこれからも琵琶湖だけでなく全国の湖や河川を飛び回るつもりです。農水省の許可をいつまでも待つつもりは私にはありません」




[千葉警察南千葉署外国人労働者暴行事件調書議事より抜粋]


「はい、俺達がやりました。サイトで購入した高性能スタンガンを使いました。瞬時電圧70万ボルトの優れものでして、それでも重量は2キログラム以下です。はい、外国人就労者を狙いました。だっておかしいでしょう。外国人労働者75万人を目指す?2025年に200万人?ふざけるなでしょう。今ね、内閣府の推計は70万人と言われてますがね、何っていわゆる引き籠りと言われている人達の数ですよ。潜在引き籠りと言われている人達も含めれば、その数は200万人以上だそうですよ。労働者不足?だったら働きたい、勉強したい、でも職場や学校に馴染めない。そんな人達が立ち直る環境を作るのが、まずは政府がやらねばいけない事でしょう。(中略) それは理解しています。法律上は犯罪でしょう。俺達がやったことはね。でもね、俺達は守りたいんですよ。物づくり大国ニッポンをね。反省?とんでもない。しばらく臭い飯を食うことになるんでしょうが、出てくればまた何度だってやりますよ。いつの時代も改革に犠牲は付き物でしょう」




[2014年○月○○日 滋賀新聞社会欄編集グループ中間レビュー録音記録]


グループリーダー:

「よし、電気ショッカーボートの導入効果を大きく表にして掲載しよう。読者が一目でその効果が判るだろう。今回の駆除結果を報告してくれ、調査班、報告」


調査班A:

「2010年○月○○日、電気ショッカー駆除成果に関する報告です。オオクチバス、894匹、総重量は286kg」


グループリーダー:

「ふむ」


調査班A:

「続いてブルーギル、597匹、重量は311kg。タイワンドジョウが143匹で171kg。ついでニゴロブナが164匹、43.6kg。モツゴ、859匹、9.5kg。キンブナ、178匹、64kg、続いてアユ・・・」


グループリーダー:

「待て待て待て、固有種のデータは不要だ。オオクチバスとブルーギルとタイワンドジョウまででいい」


調査班A:

「は、はぁ・・・」


グループリーダー:

「今回の目玉は、どれだけ外来種を駆除できたかだ。本当はピラニアとかが駆除できていれば一番記事としては面白んだが、そんな報告はないのか?」


調査班A:

「ピラニアは・・・報告がありません。でも・・・他に固有種がいっぱい・・・」


調査班B:

「今、アユって言いませんでした?アユまで電気ショッカーで駆除されてしまったのですか?」


調査班A:

「ええ、アユ、結構多いです。駆除されたというより犠牲になったということでしょうが。アユが217匹。オオクチバスとブルーギルの数字が大きいのであまり目立ちませんが。」


編集部員B:

「そんなに国産の魚が犠牲になってるんですね。そもそも今回の外来種駆除は、ニゴロブナやアユという固有種を外来種から守るというのがそのコンセプトですよね。その固有種まで駆除されちゃあ本末転倒な気がしますがね」


グループリーダー:

「いいんだよ。何かを成そうとした時、痛みを伴うのは必要悪なのさ」


編集部員C:

「しかし確かに変な感じがしますね。厳密にはニゴロブナって固有種じゃないんですよ。ゲンゴロウブナの改良種で、そういう意味では金魚と一緒です。ゲンゴロウブナに似てるからニゴロブナって呼ぶんですよ。品種改良されたのが元禄時代ですから西暦で言えば1700年くらいです。タイワンドジョウが日本に持ち込まれたのは室町時代ですから、本当はニゴロブナの方がタイワンドジョウよりも遥かに後に・・・」


グループリーダー:

「おい、記事の腰を折る話してんじゃねぇよ。この記事を掲載する前提で農水省から多少金を貰ってるんだからな。さあ、締め切りまであと2時間だ。巻いていくぞ。俺は今晩絶対に残業しないからな」


編集部員B:

「リーダーが残業しないなんて珍しい。何か予定があるんですか?」


グループリーダー:

「なに、大した理由じゃねぇよ」


編集部員C:

「僕は知ってますよ、その理由。明日少女時代のライブに行くんですよね、リーダー」


編集部員B:

「へぇ、少女時代ですか、いいですね。みんな綺麗だしスタイルはいいし。でも韓国人は歯医者に行く感覚で成形手術を受けるっていいますからね。少女時代のメンバーもみんな成形してますよ、絶対」


編集部員C:

「ニゴロブナみたいなものですね。品種改良ですよ」


グループリーダー:

「てめぇ~、ぶっ殺す!」




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