*1* 天使は神へ使役する
なぜ神は干渉するのか。
この世には人間だけじゃなく、鳥や魚や木や花……様々なものが存在する。
それなのに何故人間だけに神が干渉するのか。
昔はよくそんなことを考えていたな。
煙草をふかしながらふと思い出す。
「フレリエル!またそのような人間の真似事を!!」
奴が来たな、うるさい奴が。
俺はこいつが嫌いだ。
「良いだろ。俺たちには害は全く無い。」
俺がこいつを一服する理由は、分かるだろ?
人間が初めてこいつに挑戦するのと同じ様な動機だ。
「フレリエル!使役もせず下界に入り浸り、少し人間になじみすぎです。そのような振る舞いを続ければ天界から追放しますよ?」
うるせえな。
俺が神から貰った名を気安く何度も呼ぶな。
「ミカエル、天界での立場が神に近いからとは言え、貴様は神ではない。そうだろ?」
えらそうな奴が一瞬ひるむ。
これ以上奴の顔を視界に入れるのはごめんだ。
とっとと下界の仕事に行くか。
「じゃあな大天使。」
"墜ち損ない"と言う声が背中に当たったが、大天使様がそんなこと言うはずがないので神には黙っておいてやろう。
優しいだろ?
それは俺が天使だからだ。
下界へ続くゲートを作ると、門を開ける。
天界はお前らの空にある訳じゃないからな。
「さて、初仕事でもするか……。」
俺は携帯灰皿という人間の発明品に燃えかすをねじ込んだ。
そのときはまだ、俺は何も知らなかった。