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第24話 媚薬と殲滅3/4

「さて、行くか……」

 予定時刻になり、各自好きな装備になるが、大飯が忍者装束になった。

 忍者が四つ目のナイトビジョンゴーグルとか新しいな。しかも二刀流だし。赤いタイツじゃないからいいけどさ。

 ちなみに俺は黒系装備にスカルマスク、ヘイが黒系装備の目出し帽だ。

「俺は東から攻める」

「「なら西で」」

「ではスピナシアさんについて行けばいいんですね」

 機関の人間もついて来るみたいだ。確認のためだろうか?

「配置に付き次第連絡を。まぁ俺の方が早いんだけどな」

 そう言ってから移動し、出入り口からかなり暗くなっている、約三百メートル離れてる場所で寝転がり、G28を構える。櫓と入り口には篝火があり、人は良く見える

『こっちは配置に付いた』

『百八十秒待て』

 コレばかりは移動距離の問題で仕方がないので、人差し指で引き金の上の辺りを押して待機する。



『配置に付いた、いつでも撃てる』

『B地点で落ち合おう。各自発砲』

 そう言った瞬間、速攻で無線から減音された発砲音が聞こえたので、俺も櫓の二人を撃ちつつ、出入り口の眠そうにしている二人も撃ち殺す。

 村中央の櫓を見ると既にいなかったので、ヘイがやったんだろう。そして入り口の二人を引きずり死角に入れようとしたら、組織の人間がもう一人を引きずってくれた。手伝う意志はあるみたいだ。

 そして丸太の壁沿いに、敵の気配を気にしつつB地点まで移動して落ち合う。


「気が付かれてはないな? 今からA地点までの家屋の人間の殲滅を開始する。予定通り、気が付かれたら無線の使用で各自に知らせろ。最悪爆発物の使用もありだ」

 俺がそう言うと二人が頷いたので、サプレッサー付きの短機関銃のMP7を構え、来た道を戻るようにして家のドアをピッキングツールで開け、寝ている奴らをセミオートで二発ずつ撃って殺し、どんどんA地点までの家を制圧していく。

『こちら村中央櫓、見張りが手すりにもたれ掛かって死んでるが……。どうする?』

『無視で良いだろ。多分ばれない』

『了解』

 大飯から連絡が入ったが、ヘイが対応したので、俺はそのまま家を調べ殲滅を続ける。



『こちらA地点、後どのくらいだ?』

 大飯がA地点についたのか、そんな連絡が入った。

『あと三軒だ』『二軒』

『辺りを警戒してる、何かあれば連絡を』

 まずいな、近距離を謳ってる俺よりヘイの方が早いぞ。あいつ色々万能過ぎだろ……。俺は急いで片づけ、A地点まで急ぐことにする。


「すまん、遅れた。それと広い地下らしいから、装備を変える」

 俺は端末をいじり、強化アーマーに盾、いつもの自動拳銃に装備を変える。

「じゃあ自分も」

「僕も」

 そういって二人は、サプレッサー付きのP130や、スコープを外したPP-19-3を持ち出した。大飯の銃のシルエットはP90っぽいけど、実際どうなってんだろうか?

 そう思っていたら大飯がマガジンリリースボタンを押すと、あの長細いマガジン部分が三十度くらい傾き、簡単にするりと抜いて新しいマガジンを差し込み、元の位置に戻していた。

 すげぇ簡単そう……。P90なんか抜く時に引っかかるし、入れる時にも引っかかるしで、あわてないのがコツとか聞いたけど。昔のあのアニメの女の子ってすげぇ訓練したんだろうなぁ。マガジンを縦に投げ捨てるのも流行ったとか聞いたし。


「中では人が動いている。地上一階の制圧はどうする? ドアを開けるか? 吹き飛ばすか?」

「吹き飛ばすと、何が起こったか脳が理解して動けるようになるまでコンマ五秒程度です。なら鍵を開けてフラ――」

「鍵が開いてる……。ここで作業してるんだし、出入りがあるからかかってないと思ってたけど。やっぱりね」

 ヘイが真顔でドアノブを捻り、軽く押したらドアが開いた。

「……スピナさん先頭で、自分、ヘイさんで」

「「了解」」

 俺は少しだけ開いているドアを盾で押し、薄暗い中を確認すると、部屋の角で男達がカードゲームをしていたので、入り口から自動拳銃を二発ずつ撃ち、見張りの四人を殺し、足音を極力殺して素早く中に入ると、大飯とヘイが素早く展開し銃を構えた。

 俺がハンドサインで制圧した事を伝えると、数個あるドアを開け、地上部分の制圧を始めるが、ヘイが手招きをしたので辺りを警戒しながらそちらに向かう。


「粉うことなき地下への入り口」

 そう言って階段を指した。うん、やる気がごっそり減った。

「確かに地下への階段だな……」

「もう少し隠しておいて欲しかったですね……」

「何か不都合でも?」

 組織の男が不思議そうに聞き返してきた。

「全然ワクワクしない」「こういうのは隠してるのが普通ですよね?」

 俺と大飯の言葉に組織の人間に、何言ってんだこいつ等って顔で見られた。あれ? 俺達の常識がおかしいの?


「まぁいいよ。多分この先は交代制で働いてると思うから、常に明るいと思う。数人生かします? 情報的な意味で。製造方法とか、国の指示とかどうかも聞けますし」

 ヘイが組織の人間に意見を聞いている。

「……えぇ、それならばお願いします。貴方達ならそれもできそうだ。動きでわかる」

 組織の男はしばらく悩み、突発的に作戦を変える手に出た。

「四()残せばいいですね。全員で担げば良いだけですし」

 大飯は相変わらず、敵になった人間は匹扱いか。ハンティング気分なのか、脳を切り替えて、人を殺してないと騙してるかだな。


「どうする? 最初からフラッシュバンを使うか? 気が付かれたら使うか?」

「地下の規模だけど、この家の敷地九つ分くらいあるね。奥の方は多分効かないだろうから手前から四人を生かし、残りは証拠をなるべく残しつつ殺せばいい。多分村の外から(・・・・・)加工前の物とか運び込んでるんじゃない? だから残念な階段がある。ビスマス側からの見張りだけで本当に十分なのかも心配になってきたよ」

「おいおい、今は明け方前だぞ? その前に俺達は去ることができる」

「コレが終わったら仲間に話し、アラバスター側の門は兵士に偽装させて立たせ殺します。それなら問題ないはずです」

「決まりだ、全員弾の確認をしとけ」

 一分ほど階段の前で話し合い、家にはいる時の順番で並んで、撃った俺だけがリロードを済ませ、階段をゆっくりと下りていく。


「天井まで多分二メートル五十センチ、土の厚さ五十センチ。中がどんな構造になってるかわからないけど、最悪崩れて地面に穴が開く。大飯が乗っても穴が開かなかったから確実に板で補強してあると思うけど、爆発物系の使用は控えた方がいいし、柱は狙わない方がいいね。一メートル四方で約一トンの加重がかかってると思う。逆にもう少し深い方がよかったよ……。その方が崩れ難い」

「わかった……。気を付けて行くぞ」

 俺は銃を一旦戻し、右手で少しだけドアノブを捻り、軽くドアを開けてからもう一度銃を抜く。

 そして銃口でドアを押し、軽く中を覗くとまだこちらには気が付いてないので、一番手前の奴の膝の裏を撃ち、二人目も膝、異変に気が付いた男の膝。それから堂々と盾でドアをゆっくりと開けて中に進入し、四人目も膝をぶち抜く。膝祭りだな。


「各自展開。足下の寝転がってる、四人以外全員殺せ」

 俺がそう言うと、ドアから大飯とヘイが室内に入り、サプレッサー付きの短機関銃で致命傷になりそうな場所をどんどん撃っていた。

 俺も堂々と中央を歩くようにして進み、目に付いた奴の胴体に二発ずつ撃ち込んで進むが、壁に掛かっていた剣や、持っていたナイフで襲いかかって来た奴を優先的に殺す事にし、近づかれたら左肘を曲げて、盾を体に近づけて体当たりをする様にしてシールドバッシュをして吹き飛ばす。

 転がった奴の胸に二発打ち込み、大振りで切り込んできた剣を盾で防ぎつつ両太股に一発ずつ。転んだら胸に二発。

 右の方の奴が縦切りしてきたので、剣の鍔の辺りに銃を撃ち、自分の右側に反らし、少しだけ憧れだった銃パリィを決めて、顎の辺りを撃って脳味噌を吹き飛ばした。

 そしてどんどん奥に進むと、分厚い鉄板にパチンコ玉を投げた時のような音がし、少しだけ衝撃と強化アーマーにダメージが確認できた。

 そちらの方に体ごと向くと、数人が筒のような物を構えていたのでそいつ等を正面に見据え、盾を前に出すと数回の衝撃が盾にあり、落ち着いてリロードをしてから右上の欠けた場所から銃を出してリズム良く二発ずつ撃ち、どんどん撃ち殺していく。

『フリントロックだかマッチロックだかわからないが、銃らしき物を確認。視線を引き付けるように動くが各自警戒しろ』

『『了解』』


 俺は一回リロードを済ませ、剣やナイフを持っている奴を無視して、盾を構え全力で走り出し、部屋の奥で銃らしき物を構えている奴らの方に向かうと、もう一つの組が俺の方を狙っているが気にせずにつっこみ視線をこちらに誘導し、急いで弾込めをしている奴等を右側から撃ち殺して行く。

「撃てぇ!」

 そんな声が聞こえた瞬間、もう一つの組が一斉に引き金を引いたのか、先込め式の発砲音と共に煙が出て、盾に数発と頭に二発、肩の辺りに弾が当たった。

「着剣!」

 もう一度リロードを済ませると、俺を狙っていたもう一つの組が銃剣を装着し始めた。

 なんで地下に先込め式の銃を持ち込んでんだよ……。数人一組で運用はある意味正しいけどさ……。こんな場所じゃ一発撃ったら距離的に無理だろ。しかも室内で短槍としての運用とか……。

 そんな事を思いながら盾を構え、撃とうとしたら着剣しようとしていた奴等が横からどんどん倒れていき、特に誰がやったか気にせずに更に進み、とりあえず立っている奴を優先的に撃ち殺していく。


 ある程度処理が終わり、今度は室内を歩き回り、まだ生きている奴の頭を撃って回りつつマスケット銃を二本回収しておく。

「一応マップでの反応はそこの四人だけだな。それとさっきは助かった」

「いや、目に付いたから撃っておいただけ」

 とりあえず二人に聞こえる様にお礼を言ったら、ヘイから返事が返ってきたので親指を上げておいた。

「組織の人間に、重要そうな書類とか原材料の確認でもさせるか?」

「ですね、情報は多い方がいいですし、どのくらいの確率で当たりを入れていたのかも気になります」

「んじゃ呼んでくるわ」

 俺はそう言い、一階で待機している組織の人間を地下に呼び、重要そうな書類や、サンプルとして精製された薬品や材料を選ばせる。


「もう施設を破壊するか? それとも応援を呼ぶか?」

「いえ、これだけでアラバスターが関わってる事がわかる書類ですので。命令書です」

 そう言って出してきたのは、サインとスタンプが押して巻いてある紙だった。なんか役人が広場で広げて読み上げてそうな奴だ。

「お偉いさんか、皇帝に縁のある人物かな? まぁもういいなら爆破しちゃおう。全部で十八個のC4が使えるけど、所々にある柱と四隅を破壊すれば、土の重みで潰れるね。心配なら爆破後に地上から爆発物かな?」

「掘り起こされる心配もありますし、天井に数ヶ所穴を開けてから火を放って、中を燃やす方がいいのでは?」

「あー。そうだね。柱も天井も燃えて、自然に落ちるか。そっちでいこう」

 どうやら燃やす方向で決まったらしい。なら俺も口を出そう。

「C4だと威力が強過ぎる。崩落の恐れがあるから使うな。テーブルにある液状の薬剤は木材を濡らさないように床に撒くぞ。何が有毒かわからないから気をつける物がわからない。脱出時に煙をすわないように、空気の流れを考えて穴はあそことそこの角だな、真ん中にも一個開けておくか。地下の扉は開けておくだけで十分だろう」

 指示を出したら二人から冷たい目で見られた。何でだろうか? 


「経験あるの?」「経験者?」

「いや、違うから……」

 俺は液体の入った瓶を床に落としながら言い、マスケット銃を持っていた奴から火薬を回収する。

「壁が崩れるのも怖いから、なるべく角じゃなくて、この辺を撃ってくれ。松材だから、多分散弾だったら平気だろう。様子を見ながら崩す大きさを決めよう」

 俺は着剣されたマスケット銃で天井を突き、大飯がショットガンで撃つと簡単に土と一緒に崩れて夜空が見えた。

 そして俺は強化アーマーを変更し、火炎放射器を装備して出入り口に立つ。

「最後にもう一度聞くぞ? 回収する物はそれだけでいいのか?」

「えぇ、問題ありません」

荷物(・・)の移動は終了。こっちもオッケー』

 俺は奥の方から手前に、粘性のある可燃物を飛ばして一気に燃やし、さっさと階段を上がって家から出る。十秒くらいしか引き金を引いてないけど、ぶっといホースで水を撒くみたいにするだけで十分だ。


「あ、崩れたね」

 とりあえず地面が、盛大に崩れたのを確認してから四人で抵抗する荷物を担ぎ、森の方に急いで走っていく。

「他の家屋は燃やさないんですか?」

「夜中に燃やしたら、村を監視してる奴等がいたら気づかれるだろ? 目的は達してるし、ばれる時間を遅らせた方が色々好都合だ」

「平地で夜中。結構遠くまで火は見えると思うよ」

「何かあれば……。我々が破壊しますので……。ご心配なく……」

 荷物()を担いで、息の上がってる組織の人間が必死に言ってきた。無理しなくてもいいんですよ?

 そして森について国境線を越え馬車の方に向かうと、暗闇の中からお迎えがやってきた。

「後は我々の仕事です。皆様は脱出して下さい」

 そう言われるが、日の出まであと三十分以上あるんだけど? どうするん? 車じゃねぇんだけど?

「わかった、日がでるまで警戒しておく」

 馬の目が発光したらファンタジーだけどな。けどそんなのがいたら怖くて近づけないわー。

緩い武器説明


火炎放射:可燃性のゲル状の物を噴射しながら火をつけると、よく見かけるアレになる。射程は結構短いと思われてるが、30m以上は飛ぶ

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作者が書いている別作品です。


長いので、気が向いた時に読んでいただければ幸いです。


魔王になったら領地が無人島だった

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