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第16話 有名な奴のフレンドはやっぱり有名 前編

注意:酷い下ネタは、文字数や内容にかかわらず『(ピー)』一文字にしてあります。


緩い武器説明があるので、後書きが少し長いです。

丁度いいところで切ったので、前編の方が1000文字長いです。

 あれから半月。特に仕事を頼まれることもなく、平和な日々が続き、夏が終わろうとしていた。

 朝、いつも通りに起き、顔を洗おうとしたら端末にメールが届いていた。

「数字さんじゃないか……」

 俺は急いで端末をいじり、メールを確認する。


 件名:昨日ぶり、ちょっと話があるから気がついたらメール下さい。


 昨日? まぁいい。俺は端末を操作し、メールではなくボイスチャットでコールをして通話を始める。

『お久しぶりです、朝早くから申し訳りません。どうしました?』

『昨日ぶりですよ。仲の良い仮想敵チームと戦うからクラン戦に誘ったでしょう。それはとりあえずおいておきましょう、ココ、なんです? スピナさんしかフレンドいないんですけど』

 どういう事だ? 俺がこっちに来る前は、マルチプレイができずに、ストーリーモードをやっていたはずだが?

『俺も知りません。気がついたら鉱山の中にいました。無事脱出してますが、ココに来て四ヶ月近いですよ』

『四ヶ月……。まぁ落ち着いて話がしたいんですが。どこにいます?』

『世界が違うから地理状況がまだ把握できてません。今はビスマスという国の、ルチルという街に滞在しています。数字さんも場所がわかったら教えて下さい』

『数字さんじゃ、なんかやばそうな世界じゃない? あだ名の方で呼んでよ』


 この数字さんは、半角小文字のローマ字と数字の羅列で法則性は特にないらしいが、有名な四桁の数字が入っているので、ほほえみ男とも言われているが、下ネタヘイヘとも言われている。

 ゲーム内では、長距離狙撃を得意としており、一キロ先で走っている兵士、軍用の車のタイヤや窓を風や未来位置を予測して撃ち、撃ってから三秒後くらいにキルを取ったり、高速移動しているヘリや、戦闘機のコックピットを狙って狙撃したりしてる動画を投稿して、クレイジーとか言われまくってる変態だ。

 敵にいたら、どこにいても殺される可能性があると有名になっている。

 本人曰く、偶然できたからー。と言って投稿している。一ゲーム中に偶然が十回以上あってたまるか。

 言動はものすごく丁寧で、物腰が柔らかだが、フレンドになると下ネタをかなり混ぜてくるヤベー奴だ。

 身長は百九十センチメートルの少し細め。短めの茶髪で細目の茶色の瞳に、髭を剃らないで五日って感じの、現地入りした特殊部隊風だ。

 ロシア系に見えなくもないので、もの凄くかっこいいし、延びた無精ひげが俳優みたいな感じに見える。


 出会いは、数字さんの超長距離狙撃を盾で防ぎまくった時に、しばらくして弾じゃなくてフレンド登録が飛んできた。ただそれだけだ。

 すごいスナイパー足す下ネタイコール、下ネタヘイヘさんだ。もちろんシモ・ヘイヘとかけているみたいだ。


『わかりました、ヘイさん』

(ヘイ)か、いいねぇ。けど僕は黒いのより、ピンクの方がいいな』

 ヘイヘでも良かったんだけど、ヘイの方がかっこよく思えたからだ。けど、こんな返事の返しは期待していなかった。

『……場所がわかったら教えて下さい。俺が知ってる事はメールで送りますから』

 さらに下ネタが飛び出しそうなので、さっさとボイスチャットを切った。そして、今までの事や気が付いた事をメールで送っておいた。


 件名:うわ、これすごいね

 いやー、これすごいね。本当に中身入れたらリュック関係とか戻らないし、銃も分解できない。装備変えたら弾数がほぼ初期に戻る。その他の機能もこっちに対応してるのも凄いね。まるで(ピー)の様だ。


 メールにもさりげなく下ネタ混ぜんな! 朝から少しだけ疲れたが、まぁ、いつも通りに過ごしてれば返事が来るだろう。

 なので俺はいつも通りに朝食を食べていたら、早速端末にメールが届いた。


 件名:ビスマスだって

 ここどこですか? って綺麗な女性に聞いたら可哀想な目で見られたけど、ゾクゾクしちゃったよ。


 ビスマスってこの国の王都じゃねぇか。偶然にしちゃ怖すぎる。まぁ、一応ご近所さんって事で感謝だな。

「なぁ、ビスマスってここからどのくらいの距離だ?」

 一緒に食事を食べていたグリチネに聞いてみた。

「馬車で大きな街に泊まりながらで、二十日くらいかしら? どうして?」

「いや、気になっただけだ」

「ふーん」

 グリチネにジト目で見られたが、そのくらいの事でウェスを頼るわけにもいかないからな。

 お茶を飲み、いつもの時間になったのでギルドに行く振りをして、門の外に出て、防壁に寄りかかりながら座り、ボイスチャットでヘイに呼びかける。


『ヘイさん、そこは王都です。俺はそこから馬車で二十日くらいの場所にある、ルチルって街で暮らしています。よければこちらに来ませんか? そちらに行ってもいいんですが、仲良くなった女性と関係を持っちゃいまして、根無し草の風来坊が心情的にしにくくなっちゃったんですよ』

『いいねいいねぇ、四ヶ月もあればそうなっちゃうか。とりあえずお金稼いでルチルに向かえばいいんだね』

『えぇ。ですがこの世界では銃は目立ちすぎですので、人気のないところで狩りをしつつ、お金を貯めて下さい。ギルドに登録すれば討伐部位の事とか色々教えてくれます』

『……ゲームの世界みたいだ。けど一応無茶はできないって事でいいのかい? ゲームだったら人気のない所でサイレントキルして荷物を奪うんだけどね』


『確実にお尋ね者になりますね。俺だって、鉱山から逃げ出すのに派手にやっちゃって、結局隣の国のココまで逃げてきましたし』

『ヤっちゃったもんはしかたない。とりあえず逐一知りたい事はメールで聞きます。そちらにも生活や仕事があると思いますので、返事は遅れてもかまいません。あ、夜は極力連絡しないので(ピー)楽しんで下さい』

『俺はノーマルですよ……。では、今日は仕事を休もうと思ってたので、メールへの返事やボイスチャットは逐一対応しますね』

『ありがとう』

 なんであの人は下ネタとかモロを混ぜないと話せないんだろうか?

 そのあとはボイスチャットが続き、色々な事を教えながら一日を過ごした。



 三十日が経ち、馬車で今日の昼にでもルチルに付くとメールが来たので、俺は門の出入り口の、馬車乗り場で軽食を食べながら待つことにした。

 そして馬車が到着するごとにワクワクするが、三台目まではがっかりしていた。

「やぁ、久しぶり。その服似合ってるよ、映画でよく見る」

 俺の服装は、グリチネが選んでくれた例の服だ。そういわれても仕方がない。

「そっちこそ、いかにも旅人って感じですね。俺も門の外ではそれですが……。立ち話もなんですし、俺の泊っている宿に行きましょう」

「そうだね、文字とかも色々教えてもらわないと」



「うわぁ。本当に安宿」

「当時は金がなかったから、偶然見つけたココを選んだけど、近くに銭湯があるから便利ですよ。あーそうだ、この見た目でこのしゃべり方は違和感しかないんで、いつも通りいきますね」

「かまわないよ」

 宿屋の出入り口前で、大きな男二人が話し合ってるのも何だし、さっさと入る事にした。

「ただいまもどりました」

「失礼します」

「かっこいいのか渋いのかわからないけど、需要は高そうね」

「初めまして、ヘイと言います。以後お見知りおきを」

 グリチネはタバコの煙を吐きながら、頭のてっぺんからつま先までを見ていた。

「あら、ご丁寧にどうも」

「悪いが、別の部屋のイスを借りるぞ」

「壊さなければ問題はないわ。昼には呼ぶわね」

「あぁ、助かる」

 俺達は階段を上がり、隣の部屋からイスを持ち出し、テーブルに安い紙を並べた。


「国語の勉強だ。なに、簡単だ。母音と子音の記号を覚えるだけで済む。後は組み合わせだ」

「とりあえず表を作ってもらえると嬉しいね」

「あぁ、今やる」

 お互いに、作った設定や人格に笑いつつ、俺は表を仕上げた。

「これが『あ』に当たる訳か、これが『か』……」

「そうだ、それを覚えたら簡単な書き取りと、単語を読んでもらう」

「とりあえず簡単に目は通しましたよ。なにか簡単な単語を書いてよ」

「お、おう」

 俺はその辺にあるもので、目に付いた物を書いていくが、見事に全部読まれた。記憶力良すぎだな。

「俺なんか教会で、子供達と勉強したのに……」

「申し訳ない。子供の頃からついなんとなくで、できてしまうんだ。これで文字が読めるよ。この宿屋の名前は、死者の軍隊であってます?」

「……あってるぜ」

 天才肌かよ。なんで俺はこいつとフレンドやってて、下ネタが出てくるんだよ。

「この街での、混ざり物の扱いはどうなんです?」

「多少差別はあるが問題はない、今からはまだ話してない事とかを言うぞ」

 俺が確認を取ると、ヘイは軽く首を縦に振った。そして今の俺の立ち位置や身の振り方を色々教えた。


「本当にスピナは二千十年付近の、ドイツメーカーと変な銃が好きだね」

「あぁ、そっちは相変わらずとロシアと架空銃か?」

「まぁそんなもんですね。架空銃もですが、狙撃銃なら基本何でも使えます」

 そう言ってヘイは端末をいじり、自動拳銃のGSh-20と、狙撃銃のVSSを出した。近代改修版じゃないところに愛を感じる。

「本当にチョイスがロシアだな……」

「このVSSなんか、アサルトライフル扱いで持ってるんだけどね。運用もそれっぽいし。気分で架空自動小銃AK-35かな。色々付けられるし」

「ドラグノフ狙撃銃は?」

「中距離から使い始めるよ、けどAK-35で全部足りるんだけどね。スコープ乗せるし、サプレッサーも付ければVSSの代わりにもなるし。けどさ、あの木製ストックが好きでね、どうしても当時の物を使っちゃう。近代改修は色々乗っけられて便利だけど、癖がなくて使う気になれない」

 なんだかんだでヘイさんは、エンジョイ勢なんだよな。クソ強いけど。


「まぁ、武器の好みは人の事言えねぇけどよ、AK-35にサプレッサーとスコープでいいじゃねぇかよ」

「わかってないなスピナは。癖のある武器でキル取るからいいんじゃないか」

「……わからなくはない。こだわりは確かにある。俺だってG11やUZIにスコープを付けた変態改造銃で遊んだ事あるし。ハンドガンにも付けたこともある」

「それと同じさ。けど本気でヤる時は、AK-35にサプレッサーにACOG、架空対物狙撃銃のOVS-032使うし。あー小型レールガンの狙撃銃の、シューティングスターもたまに使う。長遠距離でも弾が落ちないから、おもしろくないんだよねアレ」

「レールガンだしな、ある意味初心者向けだったし」

「けどチャージ時間とかもどかしいよ、じらされてるみたいだし」


 軽く雑談をし、勉強させるつもりが一瞬で終わったので、今後の身の振り方を考える事にした。

「一緒に組む? それとも必要な時に組む?」

「俺の友人って事で一緒に組むか。あと、そっちはそっちで地位を確立するとかじゃねぇか?」

「そうだね。あー宿屋も見つけないと。じゃないとスピナが(ピー)できない」

「いや、なんでそんなアブノーマルな単語を出す。俺は普通だぞ」

「俺()? ならあのタバコを吸っていた女性()普通じゃないと?」

 ヘイはニヤニヤとしながら言ってきた。


「……その質問には答えられない」

「まぁいいさ。僕は色町に近い宿を選ぶよ」

「さらっとそんな事言える性格になりたかったです……」

「口調戻ってるよ?」

「えぇ、もうね。下ネタ好きなのはしってましたが、そっちも好きとは思いませんでした。あーけど、敵に回しちゃやばいのはちゃんと選べよ。俺は全てにおいて中立だけど」

「折角だから楽しまないとね、色々動くよ。話によると戻れなさそうだし。おかげで多めに稼いできたお金がもう銀貨一枚さ。明日には即金の魔物狩りしないと、それか借りるか……」

 ヘイはニコニコとそんな事を言ってきた。まぁいいか。

「ほら、ちゃんと返せよ」

 俺は財布にあった、大銀貨三枚をテーブルに置いた。

「感謝する、なるべく早めに返す」

「おいおい、そっちこそ口調が素になってるぞ」

「金銭の貸し借りなのに、ふざけてられるか。スピナ、ありがとうございます」

 ヘイは深々と頭を下げ、感謝をしてきた。そして部屋のドアがノックされた。


「少し早いけど昼食だよ。混む前に食べちゃって」

「今行きます……。ってな訳で飯だ。それから宿でも探しに行こう」

「そうだね。まだこの街に詳しくないから助かるよ」

 俺達は昼食を食べ、まだ客が全然いない時に聞くだけ聞いておく。

「グリチネ、色町ってどの辺にあるか知ってるか?」

「等級にもよるわね。どんなのがお望みなの?」

「普通でいいです、気が向けば上にも下にも行けるので。貴女みたいなハーフやクオーターの方でも大歓迎ですよ」


「なら正門から入って大通りを真っ直ぐ行って、城壁と十字路の奥の中間辺りね。娼館は半円を描くように並んでるわ。左手が下級区やスラム付近だから、等級は下よ。右手が上級区だから、高いのが並んでるわ」

「なら十字路付近が狙い目か?」

「そういう所は高いでしょう。中の色町から少し離れた下級区側かつ、極々普通の宿屋で。グリチネさん。横のつながりありません?」

「ないわね。そっちの友人は女遊びするの?」

「するみたいですね、当時はこんな奴だとは思いませんでしたが」

「人生一度きり、楽しまないと損ですよ。まぁ全て自己責任ですけどね」

「確かにね。隣の奴にも言ってやって、賭事もやらないのよ?」

「僕も賭事は嫌いだからなにも言えないなー。けどちゃんとしたパートナーはいるんだから、女遊びはダメだね」

「ヘイに言われるとは思わなかったわ……」



 食事が終わり、銭湯が近いそれなりの宿屋探しも夕方までには終わらせ、今後の話になった。

「今後どうするよ? 週一くらいで一緒に狩りでもするか?」

「いーねー。なんだかんだで、スピナの背中に着いた事ってないよね。狙撃中心だったし、そっちは前線押し上げだったし。明日にでも行こうか」

「だな。んじゃギルドが開く時間に会おう。ヘイは今日の夜は忙しそうだから帰るわ」

「よくわかってるね。んじゃまた明日」

「あぁ、また明日。あー、一言だけ。俺にお前を殺してくれって依頼が来ないようにしてくれよ?」

「表、ギルド、裏。全部中立なんだっけ。娼館に行って、怖い人が出てきて殺さなければ騒ぎにはならないでしょ?」

「まぁな……。けど極力騒ぎは起こさないでくれよ」

「はいはい」

 その返事を聞いて、俺は自分の宿屋に戻り、風呂に入ってから店の手伝いをしてグリチネと寝ることになった。


「ねぇ、あのヘイって人とはどんな関係?」

「ちょっと昔に、一時期ずっとチームを組んでた男だ。見ての通り遊び好きで放浪してたってわけだ。偶然正門前の馬車乗り場で会ってな」

「ふーん」

 とりあえず誤魔化しておこう。もう俺の設定多すぎてどうにもならなくなってきたな。

「結構……かなり凄腕の射手で、豆粒みたいな奴でも当てられる化け物だ」

「組むの?」

「あぁ、とりあえず明日、狩りに行くことになった。お互い久しぶりだからな、動きとかの注意点だな」

「一匹狼が、ただの狼になっちゃうわね」

「向こうは向こうで好きにするって言ってるけど、たまに組もうぜってなった」

「半一匹狼ね。ってかあの人も混ざり物よね? 毛色的に狐系かしら? それともウサギ? ウサギは常に発情気味だし」

 たしかに金髪ではないからな。茶髪だし。

「どうだろうな。聞いた事ないわ。気にもしないしな。けど人の女には手は出さない節操はあるみたいだ」

「ふふ、そうね」

 グリチネが軽く笑ってランプを吹き消し、とりあえず普通に寝る事になった。明日遅刻できないしね。

緩い武器説明


GSh-20 GSh-18の改良型 グリップが少し長くなって弾が二発多く入るようになっている 架空銃


VSS 消音機付き狙撃銃。有効射程が短いのでヘイは自動小銃として運用


AK-35 AK-47の後継 2035年製のAK 架空銃


小型レールガン式狙撃銃・シューティングスター 架空銃


OSV-032 OSV-96対物狙撃銃の後継 架空銃


割愛

ドラグノフ狙撃銃 G11 UZI

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作者が書いている別作品です。


長いので、気が向いた時に読んでいただければ幸いです。


魔王になったら領地が無人島だった

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