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第11話 豚狩りとパーティー 前編

 翌日、俺はもう宿泊客の枠組みから外れているのか、宿泊客がいない場合のグリチネの起床時間が俺と同じになり、それから朝食を作るようになった。

 俺が宿泊客の枠組みだった頃は、もう少し早く起きて朝食を作ってたからな。

 そしていつも通りギルドに向かうが、森に一人で行く場合は臨時パーティー推奨と書いてあり、いつも行ってる森にオークが集落を作っているらしく、ギルド嬢に無理矢理臨時パーティーに組まされそうになったが、ポーターの時の事を言って断った。

「自己責任でどうにかする。気遣いはありがたいが、一人の方が動きやすい」

 それだけを言って門を出るが、森に行くのに馬車が出ているらしいのでそれに乗る。そこまでして魔物の数を減らしたいってところだろう。


 森まではPMC装備だが、森に入って人目のないところで、強化アーマーと盾を選択し、武器は大勢に対処できるように自動小銃のG36kを選択する。弾を多くばらまける軽機関銃のMG4でもいいが、リロードに時間がかかるので、簡単にマガジンが交換できる物を選択した。

 早速一匹目のオークと遭遇するが、盾の縁に銃を置き、ストックを引っ掛けて跳ね上がりを抑えながら胴体にフルオートで数発打ち込み、動きが鈍くなったところで、首の辺りを撃って止めを刺す。

 そして盾を体に近づけるようにして親指と人差し指でマガジンを取り、マガジンを交換する爪を指で押しながら、人差し指と中指の間に挟んで抜いて捨て、新しいマガジンを差し込む。

 ついでにコッキングレバーを、盾の縁に無理矢理引っかけて、銃を押し出すようにして、一発だけ手動で排莢し、弾を打ち切った場合に薬室に弾を装填できるかを確認した。

「ゲームじゃ盾と一緒に自動小銃とか使ってなかったから、できるかどうかはわからないけど、やってみるもんだ」

 けど盾の場合はマガジンを簡単に換えられる方が良いかもしれない。

 自動小銃のHK416なら側面についている、マガジンリリースのボタンを押すだけだから、こっちの方がいいな。


「交換するか……」

 俺は端末を操作し、HK416を選択し、アクセサリーにサプレッサーとホロサイトに三倍のブースターを付ける。

 この三倍ブースターは必要ない時は横に倒れ、普通にホロサイトを覗けるが、ちょっと遠くを狙う時はカチャリと起こせば、三倍ズームのスコープになる。まぁ、線が太くなるし、点も大きくなるけど……。

 知り合いは四倍のACOGにブースターを付けて、四倍と三倍で十二倍だ! とか言ってたけど、近距離から中距離メインだった俺には必要のない物だったが、三倍くらいなら百メートルまでなら狙いやすい。

 だって普段使っているG36kの純正スコープが三倍だったし。

 一分経ったので、まずは一回弾を撃ち切り、側面のマガジンリリースボタンを押す。そうするとマガジンがするりと真下に落ちたので、新しいマガジンを差し込んで、ボルトキャッチボタンを盾の縁で押して弾を撃てるようにしてから引き金を引く。

 そうすると減音された音が一発だけ響き、盾と一緒の場合はG36kより扱いやすい事がわかった。

 いつもは気分で変えたり、状況で変えてたからな。ただ、HK416の場合はストックが折れない。あと、今まで両手での運用を想定してたから、アンダーレールにグレネードランチャーのM320とマグウェルグリップを付けていたが、今回は片手なので諦める。

 そしていつも通り歩き回るが、本当にオークが増えているらしい。入り口では臨時パーティーの勧誘が沢山いたから、集落がどうのこうのって話は本当らしい。まぁ、無視したけどな。


 森に入って十分もすると、人影がどんどん少なくなり、オークとの遭遇も増えてくる。

 この間みたいに散弾銃ではないので、胸の辺りにフルオートで弾を打ち込み処理をする。

 そしていつも通り盾を胸に近づけてマガジンを取り、リロードを済ませる。

「一応胸に十発程度が安全だな」

 自動小銃を手放し、左肩のナイフを抜いて討伐部位の鼻をそぎ落とし、右腰の袋に入れてナイフを戻して銃を持つ。

 討伐部位を取る時に銃を手放す時間が長いな……。これは仕方ないんだろうか?

 そう思いつつ、光点が少ない方に行くが四つ固まっている物を確認した。パーティーだろうか? オークだろうか?

 一応三倍ブースターを起こし光点の方を覗くが、木の陰から出てきたのはオークだった。

 俺は胴体を狙い、弾を十発ずつ撃つが、最後の一匹だけはどうにもならない。

 急いでマガジンを交換したが、残りの一匹が倒れた仲間を持って前に突き出しながら歩いてきた。少し知能はあるって事か。

 多少牽制の為に指切りで一発ずつ胴体や顔を狙うが、こちらに少しだけ顔を出して、ニヤついている。

「中々面白い事をする……」

 俺は露出している足を撃つと、膝を付くようにして倒れたので、残りの弾をすべて胴体に打ち込んで処理をする。

「ん? 鼻の形が違うな。普段は楕円形なのに、上の方がとんがってて、有名なRPGの最初の敵みたいな……。まぁいいか」


 四匹の鼻を切り取り、袋に仕舞って奥に行くが光点の数がやたらと多い。

 そして光点の数個がこちらに動き出し、残りもこちらに向かってくる。俺は用心をして、盾を持ちながらマガジンを予備としてつかみつつ、自動小銃を盾の右上の欠けたところに乗せ、ゆっくりと歩く。

 そうすると、弓を持った男性達と、杖を持った女性達が走ってきた。

「そこのお前! 逃げろ! オークの集団だ!」

 この男が逃走中の先頭を走り、女性を守りつつ、前衛が逃げる時間を稼いでるってところか。

 俺は急いで盾を地面に置いてアンカーを突き刺し、胸のマガジンを地面に立てて置いて、しゃがんで盾から身を半分だけ乗り出す。

「何やってがる! 逃げろって言ってんだよ!」

「いいから逃げろ!」

 俺は膝を付いたまま光点を見続け、残りの光点がこっちに近寄ってきたので、ブースター越しにホロサイトを覗く。

 鎧を着た前衛職と思われる男達が、オークに背を向けてこちらに逃げて来ているのが見える。

「邪魔だなぁ」

 鎧を着た男達が盾を避けようと左右に逸れたので、中央に見えたオークからフルオートで撃っていき、残りの弾が三発くらいになったら早めにマガジンを交換し、どんどん処理をしていく。

 そしてブースターの根本のボタンを押して横に倒し、ホロサイトの倍率を一倍に戻す。

 そして倒せなかった三匹が、俺に向かって襲いかかってきたので、盾のアンカーを解除し、丸太を持ちやすく加工した棍棒を盾で防ぎ、膝を数発撃ってよろけたところを思い切り盾ごと体当たりをして後ろに吹き飛ばし、二匹目は討伐部位を無視して顔を狙い脳味噌をぶちまけた。

 三匹目を狙おうとしたところで、棍棒で思い切り殴られたのか、横に吹っ飛び、変な角度で頭から着地し数回転がってから何とか止まった。

 アーマーへのダメージ軽微、体や首の痛覚は感じない、銃はスリングで繋がってる。

 冷静に自己分析をし、銃をたぐり寄せ、一応コッキングレバーを引いて、弾詰まりが怖いので一発だけ手動で弾を排莢し、銃も無事だと判断してから、残っていた弾を全て俺を殴ったクソ豚に撃ち込んだ。

「あー、パワーアーマー着てて良かったわー。あのクソ豚めぇ……」

 とりあえずマガジンを交換し、一緒に吹き飛ばされた盾を拾ってから、膝を撃ってから吹き飛ばした豚をその場で撃ち、アンカーを撃ち込んだ場所まで戻る。

 ゲームなら吹き飛ばされないが、こっちだと簡単に吹き飛ぶんだな。気を付けないと。

 そして倒した奴等の鼻をそぎ落とし、ペットボトルの水を飲んで一息いれて森の奥に行こうとしたら、さっき逃げてきた奴が戻ってきた。

 ちなみにペットボトルも捨てれば十秒で消えた。自然に優しいな。

「大丈夫だったか!」

「あぁ、問題ねぇ。しっかり稼がせてもらったからな」

 そう言って、倒れてるオークの顔を蹴ってそぎ取った鼻の方を見せた。

「お、おい。そいつはオークリーダーだぞ!?」

「リーダー?」

「毛色と鼻の形が違うだろ? オークより知識があって力も強いんだ。よく無事だったな」

 ……吹き飛んだのはそれが原因か。盾を向けて、全体重を乗せて踏ん張れば耐えられるか? まぁ、時間があれば後で検証だな。

「あぁ、吹き飛ばされたが問題ねぇ」

 そう男に言いつつ、もう一度良く銃や照準器を確認するが破損はない。

 銃や照準器に弾が当たっても、損傷しない検証動画があったが、それだろうか?

「なぁ、これも何かの縁だ。パーティーを組まないか?」

 男の後ろには、いつの間にか戻ってきた後衛組もそろっており、俺の事を見ていた。

「前に臨時パーティーのポーターをやった時に、性格の悪い奴に当たった事がある。そういうのがなければ問題ない」

 そう言うと、皆の表情が明るくなった。

「ただし、組むのには条件がある。今まで集めた討伐部位は別にして、俺が加入してからの物は別に集めておけ。お前達が集めた物をかっさらうつもりはないからな」

「あぁ、しっかりわけさせてもらう。よろしく頼む」

「あぁ、よろしく……。一応前衛職を謳っている。前衛だが皆を引っ張るのは得意じゃねぇから、誰かが仕切ってくれ。最悪俺が囮になるからそのつもりで動いてほしい。ついでに言うと、多分皆より年上だからおっさんって呼べ」

 推奨パーティーは最低十人一組で動くらしく、とりあえず全員で最低限の自己紹介だけはしておいた。

 とりあえずつかみは良かったらしく、皆からおっさんと呼ばれ、険悪な雰囲気は今のところはない。


「なぁおっさん。もしかしてあんたって、鉄の杖をしごいて魔法をぶっ放すって噂の奴か? 結構有名だぜ? いきなり鎧を召喚したり、頭を一発で吹き飛ばすヤベェ奴ってな」

 まぁ隠すつもりはないが、人目の少ないところで強化アーマーを選択してたりするから、見られてはいるだろうな。

「そうか、まぁ多分噂通りだ」

「なら今日は楽して稼げそうだ」

「おいおい、俺に全部やらせる気か? こんなにいるんだ、少しは俺にも楽をさせてくれよ」

 鎧を着込んだ調子の良さそうな男がそんな事を言い、冗談で返すとメンバーは笑顔になった。

 俺が突っかかっても、険悪な雰囲気にしかならないからな。気さくなおっさんとして振る舞った方が皆にはちょうど良いだろう。

 ポーターの時は俺の努力が足りなかったのと、とある一名の人間のせいで険悪になったからな。

緩い銃説明

HK416 H&K社の銃。なんか泥水の中から出てきた男がいきなり銃を撃っても壊れない動画がある。比較で他の銃も泥水から出した瞬間に撃つが、色々ぶっこわれる。 水の中でも撃てるが、手動排莢っぽい。


ブースター ただの三倍のスコープ。十字線とかはない。純粋に三倍になる。横に倒れるので、場合によっては起こしたり倒したり。


グレネードランチャーM320 グレネード弾を射出するアクセサリー。 取り外して携行もできるので、部隊で数名が持って銃を軽量化したりできる。


ペットボトル 少しでも消費して投げ捨てると消える。自然に優しい。

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作者が書いている別作品です。


長いので、気が向いた時に読んでいただければ幸いです。


魔王になったら領地が無人島だった

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