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第5話 仕事を引き受けたんだけどなんかややこしくなった 後編

 夜になり、いつも通りに窓から抜け出し、久しぶりに強化アーマーを装備する。そして腰にはC4爆弾。

 メイン武器は軽機関銃のMG4。それにホロサイトを付け、いつものmk23はC4を多めに装備してるから諦めた。

 俺は叩きなれたノックのリズムを銃口で刻み、ドアノブが回った瞬間に、たぶん顔があるであろう位置辺りに一発打ち込み、思い切りドアを蹴る。

 歩く度にドスドスと音が鳴り、木製の床も軋むが派手にやれとクライアントの命令なので、やらせてもらう。


 顔じゃなくて、肩に当たって痛がっていた奴の胸に三発ほど打ち込み静かにさせる。

 今回はサプレッサーがないので、かなりうるさい射撃音と、蹴破った音に気がついたのか、数名が玄関の方を確認しようと部屋から体を半分出すが、盾ごと銃を持ち上げ、ホロサイトの円を顔に合わせ、数発射撃して一番手前の奴を黙らせる。

「て、てめぇなにもんだ!」

 そんな声を無視し露出が一番多い胴体を撃ち、何があったかわからず、立っている奴も走って体当たりで吹き飛ばし、仰向けに転がったので顔に三発撃つ。

 そして一番奥の談話室に行き、人がいないかを確認したら腰のC4を部屋中央に置き、一階には光点がなさそうなので、二階に移動する。


 二階に上がり、目の前のドアの向こうに光点があるので、ドアノブの鍵の部分を数発撃って吹き飛ばし、蹴破って中に入ったら剣で切られたが、切りかかってきた奴が剣を手放して痛がっている。

 ダメージ量は軽微、そのまま頭を三発撃ち廊下に出る。ってか剣を手放して痛がるくらい思い切り振り下ろしたのか。むしろ、それくらいじゃ、ヘルメット越しでもあまり衝撃やダメージがなくて安心した。

 廊下に出ると綺麗に三人並んでいてくれたので、そのまま連続して十発ほど撃って立っている奴を処理し、肩に当たって吹き飛んだ奴の腹を思い切り踏みつけ、胸の辺りを撃つ。


 よく見た顔がいないので、残っている光点に向かって歩き、またドアノブの鍵の部分を吹き飛ばして中にはいると、トップが部屋の隅に移動していた。なんで襲撃があった時点で逃げないんだろうか?

「き、貴様! なんで俺達を襲う、俺は喋ってねぇぞ!」

「殺し屋に狙われるって事は、誰かに恨まれてるって事だ。お前はやりすぎたみたいだぞ? それと部下への口止めをしっかりしてないからこうなるんだ。それに、こうなる事は覚悟できてると思ってたんだが?」

 そして膝を撃つと、盛大に叫び声をあげて転げ回っている。


 ふーっ。これでいいか。ついでにC4をその辺に投げて、帰り際にも階段の踊り場の隅に投げておく。

 装備を変えると設置した爆弾が消えるので、そのまま残ったC4を適当に投げ、集合住宅から出ると二人の早足の男とすれ違った。

「変な黄色の包み紙にはさわるなよ」

 ってかC4って粘土みたいに色々形が変えられるけど、装備がゲーム基準だから、シリーズ通して見つけやすい黄色い包み紙に包まっている。

 二人の男が出てきて、少し離れたら黄色いリモコンを数回握り、全ての爆弾を爆発させ、言われたとおり派手にやらせてもらった。

 脳内で、黒人で坊主で丸メガネをかけた男性がいい笑顔で笑っているが、一応仕事中なので無視する。

 爆発した瞬間、トップを運んでいた男二人が一瞬止まって振り向いたが、本当に一瞬だった。

 俺も速攻で装備を変えて、その場から去った。



 翌朝。いつも通りに起床し、挨拶をしてから朝食を食べて冒険者ギルドに向かう。

 そしていつも通り混んでいたので隅のイスに座るが、昨日の男が隣に座った。

「お前はバカか? やりすぎだ」

「派手に殺せ。って注文は守ったはずだが?」

 俺はそのまま正面を向いて、落ち着いた声で答える。

「生かしておいた、その後に派手にやった。何が不満なんだ?」

「限度って物があるだろう」

 あれじゃやりすぎだったらしい。

「俺の中じゃ、アレでも控えめなんだがな」

 今は使えない戦車とか、AC-130っていう航空機の高高度からの射撃とか、戦闘機のA-10。イージス艦とかに乗ってる、ファランクスのガトリング支援とかに比べればだけど。

 それに、何が何でも敵に回したくない奴だと思わせよう。


「ま、まぁいい。お前は脅威だが話し合いの結果、この街の勢力は昨日の件でお前を中立と位置付け、手出し無用とした。お前一人のために、組織が半壊させられたらたまらん」

 派手にやったのがよかったのかな? 少しだけ男の声に焦りがあったな。

「ほう、これで夜中ぐっすり寝られるな。で、おまけついでに聞くがよ、その勢力以外がおまえ達を狩れって言ってきた場合はどうすればいい? おまえ達の勢力の詳細を知らないんだが?」

「気にする必要も知る必要もない。今回は無所属の零細組織がいきがって、我々の末端勢力の一部をお前を利用し襲撃させた。つまりどこの派閥にも所属していない勢力だ。何かしらの派閥に組みしてれば、お前に仕事は頼まないし、頼んでお前がどこかを壊滅させても、頼んだ奴が今回みたいな目に遭う。もちろん潰れるのは末端だから俺達は痛手にはならない」

 気に入らないグループを壊滅させたら、その中の一つに、裏に怖い人達がいっぱいいたってやつだな。


「了解、俺は今まで通り普通にしてればいいんだな?」

「あぁ、その日暮らしの儲けでも満足なんだろう? こっちとしてはあまり関わりたくないのが本音だ。ただし、話し合いの結果次第で、お前に仕事を頼むかもしれない」

「ほう。例えば均衡をいい感じで保ってるのに、それを崩そうとして動いて、潰す事が多数決で決まったり、新勢力が出来上がって、早めに潰しておきたいってところか」

「憶測で物事を言うもんじゃないぜ?」

 あぁ、なんか当たってそう。


「すまなかった。これは俺の妄想だ。それと、俺の泊まってる宿を巻き込んだら、どうにかしておまえ達のところまでたどり着いて責任を取らせに行くから、全員に言っておけ。末端にもだぞ?」

「あぁ、わかった」

 男は、もう話しはないと言わんばかりに席を立ち、冒険者ギルドから出て行った。

 んー、この街こえぇ……。最低でもそういう大きな勢力が二つはあるって事だよな? 機会があったら、情報だけでも手に入れておくか。

 そして俺はいつも通り、余った仕事を求めて壁の掲示板を眺め、仕事を探す事にした。

 お、荷物運び(ポーター)か。なんか面白そうだな。

 ギルドランク3以上で、往復十日予定。食事付、道具支給。末端組織の殲滅の仕事である程度金もあるし、こういうのも経験しておくべきだよな。ちょっと報酬が安いけどな。

 俺は壁に張ってある紙をはがし、受付に持って行った。

「この仕事を受けたいんだが」

「かしこまりました。ではこちらの紙を持って、この地図の場所まで行ってください」

 俺は受付受理の紙と、地図をもらってその場所まで向かった。


 ふむ、ちょっといい感じの宿屋だな……。

「いらっしゃい。一泊かい?」

「いや、ギルドで仕事を受けてきた。ポーターの仕事だ」

「受けてくれたんですね!」

 宿屋の主人と話しをしていたら、奥の方から金髪碧眼の好青年がやってきた。

「昨日皆で話し合って、報酬が合ってないんじゃないかってなって。今日こなければ、値段を引き上げに行くところだったんですよ」

「おい。そういう事は、今度は黙っていた方がいいぜ? 兄さん」

 嘘が付けない人なんだろうなぁ。この人。

「あ、すみませんでした……」

 一日銀貨一枚。高いのか安いのかわからないが、重い荷物を持って歩くんだろう? ある意味重労働だから、安いのかもしれない。


「詳しい話を聞かせてくれ。俺はスピナだ」

「ドミニオンズです、向こうのテーブルで話しましょう」

 なんか強そうな感じの名前だな。天使? ガン〇ム?

「まぁ、単刀直入に頼みますよ」

「わかりました。太陽の出る方角の門から二日ほど進むと沼地があり、そこでリザードマンやサハギン、ゾンビやスケルトンなどが出る場所があり、そこまでの荷物の運搬と、帰りに討伐部位の運搬をお願いしたいのです」

「あぁ、大体わかった。続けてくれ」


「ある程度の荷物とかは自分達でも持ちますが、往復で十日の長旅です。水や食料が必要になりますので、それの運搬と、先ほど言った討伐部位の運搬です」

「日時はどうなんだ?」

「あ、はい。明後日の朝、門が開く時間に太陽が出る方の門の前集合で宜しくお願いします」

「こっちの荷物や装備はどうなんだ? 荷物を入れる袋とかは支給とか書いてあるが、装備は書いてねぇ」

「ある程度自分の身が守れる装備でお願いします、なので最低ランク3という数字にしました」

「了解だ。自分の身(・・・・)だけ守れればいいんだな」

「えぇ。うちの方針で、ポーターに戦力は期待するなって仲間に言われていますので。言葉が悪くてもうしわけないです。それに、この受付受理の紙にもスピナさんは3と書いてありますので、仲間は多分、期待はしないと思います……」

 ドミニオンズは、本当に申し訳なさそうにしている。仲間に少し性格の悪いのがいるみたいだな。自分のランク以下は戦力的に信用できないとか……。

「いや、問題ねぇ。明後日の朝だな。んじゃよろしく頼む」

 俺は手を前に出し、握手をしてから自分の宿に戻った。



「戻りました。それと明後日の朝から、ポーターの仕事を入れたから十日くらい出てくる。もし戻ってこない場合は私物の処理を頼む。まぁ、風呂桶とタオルくらいだが」

「わかったわ。二十日は取っておくわね。それと、この辺で面白い噂が流れてるみたいね。スラムの共同住宅が破裂して燃えたらしいわよ」

「うへぇ、おっかねぇ」

 一応俺がやった事だが、それらしく驚いておこう。

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作者が書いている別作品です。


長いので、気が向いた時に読んでいただければ幸いです。


魔王になったら領地が無人島だった

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