クマの子ライと助けの手
「冬の女王。ワガママはそこまでだ。」
と、そのときです。
塔の入り口に現れたのは、3人の女王様でした。
「……!あなたたち……!また来たのね……!追い出そうとしたって、そうは行かないですわ!」
「まだそんなことを言っているのかよ。」
夏の女王様は言いました。
「みんな冬の女王を心配しているんだ!」
秋の女王様も続けます。
「追い出そうとなんてしていない。ワタシたちは、この国の季節を司る女王。四季を廻らせるのが、ワタシたちの義務だ。」
「わたくしたち、それぞれ司る季節は違いますが……冬という季節、とっても大好きなんですよ。かまくらも作ったし、雪だるまも作りました!」
春の女王様はにこにこしています。
ライとタロは、とっても嬉しくなりました。
「女王様たち、ありがとう!」
「勘違いするな。ワタシたちもそろそろ季節を廻らせないとと思っていただけのことだからな。」
「こんなこと言ってるけど、助けに入ろうって言い出したの秋ちゃんだからな!」
「なっ……!」
「ライとタロの気持ち、わたくしたちにも伝わりました。手助けさせてくださいね。」
「ありがとうございます!」
「ワ……ワタクシは……!」
冬の女王様の声が、ふるふると震えているのがわかりました。
「嘘ですわ、そんなの!どう信じろっていうんですの!証拠なんてないのに!」
ああ、そうです。
ライたちがどんなに語りかけても、それを証明する手段がないのです。
「女王様たちがお話しても、ダメなの……?!」
ライとタロは、顔を見合わせました。
「証拠ならありますよ♡」
「えっ……?!」
春の女王様の言葉に、冬の女王様、ライとタロは驚きました。
「なっ……、それこそ大嘘よ!ココロの中は……お前たちや、民のココロは、目に見えない!そんなものを証明することなんてできるわけ、ないですわ!」
冬の女王様は、トビラの向こうから叫びました。
タロも慌てます。
「そうだよ、女王様。証拠と言ったって。冬の女王様はトビラの向こうにいるんだし、見せようもないだろう?」
女王様たちは臆することなく、堂々と言いました。
「心配するな。」
「簡単なことだ!」
「お外を見てごらんなさい!」
ライとタロが、窓から外を眺めると、そこにはーーー。




