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はじまり
どの時代の、どの国のお話だったか。
その国では、四人の女王様によって季節が移りかわっていました。
国の真ん中にそびえたつ、大きな大きなお城。
そのてっぺんの塔に季節の女王様がやってくると、国はその季節に変身します。
春の女王様がやってくると、季節は春。
夏の女王様がやってくると、季節は夏。
秋の女王様がやってくると、季節は秋。
冬の女王様がやってくると、季節は冬。
ーーといったぐあいです。
その季節のあいだは、女王様が塔から出ないこと。季節の期間は、王様が決める。それがお城のルールでした。
国のみんなは、どの女王様のことも、とっても大好きです。
どの季節のことも大切にして、四季の移り変わりを楽しむ者たちだったからです。
そしてここ、アカシロ山にも、そんな季節の廻りを愛す者がいました。