最初の大地とミラ家
外には一応でたけどまだ1日たってないです。
俺とラルゴは夕日が差し込んでいる廊下を進む。
行きで見た影絵は無くなり少し寂しいなと思う。
「さて、まずはコットさん探さなきゃな。」
別段信徒でもないからさん付けでいいだろう。
「なあラルゴ君は――」
「あっ!コット司教様~」
駆け寄るラルゴを見て思う。帰る方法についてちょっと聞きいのだが、紹介でラルゴは8才って言ってたし、色々厳しいものがある。でも俺は不思議パワーなんて無い世界だし……。とりあえずはだ。
「おや。ドウジギリ様、エクス様。これから伺いに向かいましたのに。」
すれ違わずによかったな。と目的を切り出す。
「コットさん、俺達ちょっと外出て散歩したいのですがいいでしょうか。」
「外ですでございますか。しかしもうすぐ日が沈みますし明日以降でも。」
今日は無理だと言っている。が、異世界話の影響で興奮もあり食い下がる。
「外の空気も吸いたいですし、違う世界という実感も全然なくて。大丈夫ですよ!ほんの少し回りを歩くだけですから。」
「そうですか。ご気分が晴れれば幸いです。あまり遠くへは行かないように。」
出口まで女性の助祭に連れられ神殿出口へと移動する。
ではこれで。と助祭司は踵を返した。
姿が見えなくなると俺はテンションを上げ言う。
「さてラルゴ君!我々は突然見知らぬ場所に来た!」
ラルゴはキョトンとしている。
「異世界最初の大地を踏み出すしな。勢いだよ勢い。」
そう伝えバッと両手を広げ俺は続ける。ちなみに前口上は好きなのだ。
「それに聞いてみれば異世界。読んで字の如く異なる世界!これから先なにがあるか不安ばかり。だが!俺とラルゴ君……いや、ラルゴは不思議な縁で出会った!1人では無い事を各々の神へと感謝する!さあラルゴよ共に踏み出そう!」
片手をラルゴへ差出しニカっと笑い合図。
「うん!ヤスツナ!!」
手を取り、俺達はせーので一歩踏み出す。えへへ。とラルゴはハニカミ状態だ。冷めた少年じゃなくてよかったよ本当に。大地の感触を確かめ手を放す。
「んじゃ探索しますか。」
「おぉー!」
神殿内歩いてても感じたが外から見るとわかる。大神殿だ。
「大きいねぇ。」
「ああ。」
メインの道を歩く。足元は舗装された石畳の道、横眼には程よく緑の葉を生い茂らせている並木。
「あの木も俺達の世界とじゃ名前違うのかな。残念だが木詳しくないがな。」
「ボクも詳しくないよ。」
あれはこれはと植物を指しては結局"花"と"木"という認識しかなくお互い笑う。すまないなラルゴよ、大人でも知らないものは知らない。異世界にきたらそこまで語れるか!?という解説役は未だ居ない。
並木道の切れめに差し掛かり足を止める。
ここから遠くが見下ろせるのと、急こう配ではないところからすると現在地は丘なのだろう。
まず目に付くのが左手に見える城だ。
「ヤスツナ、あのお城かっこいいね!」
見えるのは城壁から突出している2棟、ちらっと出ている1居館。高さがこちらと同じ位置に建っている為それくらいしか見えない。湖が城を囲んでいて城門まで1本道。山切り開いたのだろうか。
「はぁ~。デール国王はあんな凄いところに住んでるんだな。」
城と反対側、右手に見えるのは城下町。組石造りの建築物が多い。
「西洋に近いな。」
「せいよう?」
「ああ。俺の世界だと外国の事さ。実際に見たことないからね。こんな街並みだったのかなってね。」
「ふーん。ボクのところは同じかなぁ。」
しばらく歩いてからほどなく、道脇に腰掛け夕日に照らさる街並みを見つめる。ちょっと憂鬱な気分になるな。
「ねぇヤスツナ。ボクら帰れるのかな。」
「やることやったら帰れるさ。」
それが何をどうするかは今はわからない。
「うん……。」
そろそろ山岳へ夕日が沈む。
「さて戻りますか!」
共だって神殿へと戻る。
並木道を通っていると後ろからカラカラと音が聞こえてきたので俺は振り返る。馬と4輪車が見えるに馬車だろう。ラルゴと横に避ける。
すれ違いざまに車を見る。おっ、目があった。
「ラルゴ君よ見たかね。美人さんだったな。」
「え?ごめんヤスツナ。見てないや。」
「い~や、いいんだ。ハハハハ。」
我ながら煩悩だなと反省。
入口には探索前に出口まで案内してくれた女助祭さんが待っていた。
「お帰りなさいませ。」
恭しく頭を下げられたため窮屈感がでる。
「えっと、ただいま戻りました。」
頭を下げる俺と釣られてペコっと下げるラルゴ。
再度部屋まで案内してもらった。
「お召し物を準備させて頂きましたのでどうぞお使い下さい。」
と、去り際に言われた通り部屋には着替えが2着準備してあった。
「寝間着となんだ紺色のタキシードか。ラルゴ君もう寝る?」
「まだ眠くないや。」
そうだろ。さすがにまだ寝つける時刻ではないと体内時計が言う。それに腹さすってるラルゴ見るとお腹が空いているのだと気付く。そういう時刻だ。
「ご飯。」
「えっ!?ご飯!?」
ぼそっと言ってみたら案の定反応。
「あ……。」
下を向いて頬を赤くするラルゴ。がっつくなと教えてられてるのかな。教えを覆すわけではないが子供らしくていいではないか。
「腹が減ったな。なあラルゴ君。」
戻ってきたら果物回収されたし飯下さいっては流石に言えないだろうなんて話しているとノック音。
「はい、どうぞ。」
「失礼します。」
ガチャりと女助司祭さんだった。
「ささやかではございますが、お夕食の準備を致しました。よろしければこちらへ。」
「飯ですか。いただきますよ。ね、ラルゴ君。」
「はい。ありがとうございます!」
本当うれしそうだ。
早速行こうかと思うが俺はクタクタなスーツ、ラフな格好のラルゴだ。これはこの衣装に着替えてから行ったほうがいいなと女助司祭さんに待ってもらう。
「いやぁ、ちょうどいい頃だったな。異世界の飯かちょっと楽しみ。」
「うん。楽しみだね。」
俺は紺の衣装、ラルゴは同じ紺の子供用だ。
扉で待機している女助司祭さんに連れらて食堂ホールへ行く。
「本日はミラ家のグレゴル宰相様とその孫娘のアリア様がご同席されます。救世主様方には申し訳ないのですが失礼のないようにお願い致します。」
「はぁ。わかりました。」
救世主って言われても何もまだすることもわからないし、相手の役職にピンと来ないしから生返事、飯だ飯。
扉を開けると大食堂だった。といっても大衆食堂のような感じではなくパーティ用に使われる見栄えと神殿らしい清楚感がある。これは結婚式場にも使うのだろう。
3列の長テーブル、椅子の数から60人規模。といっても見るとコット司教と他2名が真ん中に座っている。彼らが言ってたミラ家の人か。
よく見れば馬車ですれ違った一人は美人さんだ。
席へ案内されて挨拶をする。では、ごゆっくり。と女助司祭さんが下がったところでコット司教より紹介が始まった。
「グレゴル宰相様、お二方がデール国へお越し下さいました救世主様です。」
「ど、どうも初めまして。童子切 安綱です。安綱が名前となります。」
「初めまして。ラルゴ=エクスです。」
じろりと目が合い心臓が委縮する。黒を基調とした紳士服を着ていて、細身の上背、ところどころ白毛がまじる頭髪の老人。だが眼光が鋭い。率直に怖いという印象だ。
「お初に御目にかかいます。この国で宰相をしておりますグレゴル=ミラです。これは孫のアリアです。」
「アリアと申します。本日は父の名代でお伺いしました。お目にかかれて光栄です。」
と一礼。アリアさんって言うのか。栗色のアップにまとめている髪、切れ長の目が印象だ。ベージュ色のドレスから胸が強調されている。ドキドキするな。
二人とも表情を出さないのか出ないのか無表情に近い。取っつきにくいなと思うが今は飯だ。あまり話すと緊張で喉通らないからな。
俺とラルゴは出身と仕事だけ。世界の事は抜きでもいいだろ、簡潔に自己紹介した。
そこへ見計らったかのように女助司祭さんともう3人が料理を運んできた。いい香りだ。コース料理ではないので一折並べられる。なんだろ食べつつ聞こう。
「異世界料理待ってました。いただきます!」
俺はナイフとフォークを手に取って、さあ。
「あなた方は本当に救世主なのですか?」
俺は顔を上げグレゴル宰相を見て言う。
「えっ……、それはどいうことですか?」
次は町へ行こう!