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あの後は普通にご飯を食べて、服に付いた泥を落とし、いつものように過ごし、就寝となった。突然始まり、何もなく終わった。私の心は弄ばれたのだった…完。
いや、何かあってもめちゃくちゃ困るからそれでいいので!今の関係を続けることが、きっといいのだ。
ベッドの上でごろごろしつつ今日のことを振り返る。この世界でレイさん以外の人に会ったこと、私が特性持ちってことでしょ、あと何かがレイさんの過去にあったということ。
レイさんがいつもの調子に戻って一安心した。…以前魔法を使いたいと話と時のような様子だった。やっぱり魔法…多分私と同じように人間なのに魔法が使えた人がいて、何かあったのだと憶測を立てる。
その人のことで、なにか悔やむような、心残りがあるのだろうか。だから私にこんなにもよくしてくれているとしたら。
レイさんにはレイさんの人生がある。他人のために生きることが幸せでもいいとは思うけど、私みたいなどうしようもないような人間のために生きて欲しくない。レイさんにはもっと幸せになって欲しい。
でもどうすればいいのだろう。黒はよくなくて、奴隷にされたり、実験体にされたりするって聞いたし、ギャビンさんは「どんな残酷な目に遭うのか想像できない」と評価された。どんな目に遭うのかわからないって何ですか?怖すぎ、ワロエナイ。
「うぅぅ゛~~わ゛がん゛な゛い゛~」
枕を抱え込み唸るが、気が少し晴れるだけ。行き詰まりしかない。
「レイさんのためにできること…」
とにかくそれしかない。今はできることをして、少しでもレイさんのためになるように生きていこう。




