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幸せになりたい。  作者:
3 魔力と春
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 湯冷めしないようにお風呂上りに暖炉前でぼーっとする。数刻前まで私の髪をがしがしと乾かしてくれていたレイさんはお風呂に入った。それにしてはいつもよりお風呂が長い。いつものレイさんなら烏の行水のごとくササッと済ませているのだけれども。

 そう思っていると足音がする。お風呂が終わったのだとわかった。

 

「お風呂長かった…」


 「ですね」と続くはずだった言葉が途切れる。振り向き、レイさんの顔を見て言葉が出なくなった。


「どうだろうか?おかしいところはあるか」


 淡々と、いつものように話しかけてくるけれども、いつもと違うところがある。

 レイさんの髭がなくなっている。いや、今日確かに髭剃って~っていったけれども…


「い、いけ…」

「どうした?」

「いえ…その…」


 い、イケメソ…イケメン…いや、確かに彫が深いし、髭剃ったらダンディなおっさんだろうなーと思っていましたとも。短く切られている濡れた黒茶色の髪と浅黒いの肌と固く引き締まった身体が魅惑的雰囲気を醸し出している。けれども緑色の優しげな眼差しをしていて母性も感じる…私の眼に狂いはなかった、やはり髭をなくしたらイケメンだ。でもそう思っていただけで、実際に現れてしまうともう無理。一緒に住めません。一緒に屋根の下とか無理ですから!右の頬に切ったような古傷が過去に何かあったんだろうかと妄想を掻き立てらそうになる…いや、男の人だし!私、腐女子じゃないし!

 見ているとよろしくないことを考えてしまう。視界にレイさんが入らないように暖炉の火を見る。わーあったかいー。加速度的に速まっていた鼓動も少し治まる。


「おい、どうした?」


 うひぃ!顔の良い顔で近づかないでください!!無理!!イケメン怖い!!

 そう思ってもレイさんは近づいてくる。思わず身体を反り返えらすが、身体を支えるために腰に腕を回してくる。体温が急上昇して、汗がぶわりと皮膚から吹き出す。しっかりとした大きな手のひらが温かくてレイさんに背負ってもらったことをふと思い出す。…そういえば背負ってもらったことあるし、抱きしめてもらったこともある。さらに言えば添い寝してもらったことがあるんだけど。

 もう、キャパオーバーな一杯いっぱいな状態の私にとどめがさされる。


「どうしたんだ…」


 非常に良い御顔が…吐息のかかるほどの距離まで近づきすぎだろ…


「くそっイケメン・・・」

「は?」


 なに言ってんだこいつと言わんばかりにレイさんの顔が歪む。かっちょえー。

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